江戸川乱歩全集 第10巻 大暗室 (光文社文庫 え 6-2)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (595ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334735296

感想・レビュー・書評

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  • あれよと展開する陰謀と復讐の捕物帖は、変態エロスを加味しながらも清楚な雰囲気を醸し出す不思議な感覚に襲われる。これは読者がまんまと騙されているのかもしれぬ。やはり乱歩による変態世界に招待されているのよ。きっと。

  • 満島ひかりのドラマで見たぞ、怪人二十面相…
    なるほど、これがあのシーンの…ここが…

    大暗室は、ま〜たパノラマ島作ってる…
    いや分かるけどね

  • 火星の運河!

  • 大乱歩、生誕120周年ださうです。
    さう聞くと、何か読みたくなつたので、我が家の本棚から『大暗室』を取り出したのであります。わたくしが所持するのは角川文庫版ですがね、ここでは入手しやすい光文社文庫版を挙げるとしませう。

    大暗室。タイトルからしてすでにおどろおどろしい。登場人物は、悪の天才・大曽根竜二と正義の青年・有明友之介、そして有明君の父親に仕へてゐた忠臣・久留須の三人が主要なところでせう。
    大曽根の父は有明の父母を殺した悪い奴。そして大曽根と有明は実は義理の兄弟なのであります。

    親子二代に渡る復讐劇ともいへますが、本書の眼目は何といつてもタイトルにもなつてゐる「大暗室」。悪の権化・大曽根君がその財力に物をいはせて帝都東京の地下に創り上げた、一大ユウトピアと申せませう。無論常識人にとつてはおぞましい地獄以外の何ものでもないのであります。

    現在の読者には噴飯物の設定かも知れません。登場人物の性格付けは実にステレオタイプであるし、ストオリイも結末が容易に想像が付いてしまひます。
    でもね、それで良いのです。王道の勧善懲悪、正しい荒唐無稽。川内康範的痛快娯楽活劇。とにかく無条件で面白い。いたづらに複雑化した現代の物語に慣れてしまつたわたくしたちは、いつのまにかかういふ世界を莫迦にすることで自分が進化したやうな錯覚に陥つてゐたのではないでせうか。

    あ、違ひますか。それならいいけど。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-176.html

  • 『怪人二十面相』と『大暗室』
    どちらも冒険ものって感じですね。

    『怪人二十面相』は子供向けに書かれたもののようですが、大人の私が読んでも純粋に楽しめました。
    もちろん子供が読んでも夢中になれるような内容だと思います。
    明智小五郎も二十面相も好きです。

    『大暗室』は、最初の方は引き付けられたんですが、後半は乱歩によくある展開で、ちょっとお腹一杯感が…
    まぁよくいえば乱歩らしいし、あまりまだ乱歩作品(特に冒険色が強いもの)を読んでないかたはもっと楽しめるんじゃないかなとは思います。

  • 怪人二十面相」はかなり昔に読んだのでとりあえず「大暗室」の感想だけ。非常に乱歩らしい作品だと思った。雰囲気やエログロ的な面、そして変装や入れ替わりなど。ただ地底王国というのは目新しくてよかったのだがどちらかと言えば変装がメインな気がする。私自身はこの前に読んだ乱歩の長編も変装物だったため、少しお腹一杯。とはいえ、乱歩のこの独特の雰囲気はやはり心地いい。

  • 見返し
    収録作品
    怪人二十面相
    大暗室

  • 「怪人二十面相」「大暗室」を収録。

    子供の頃夢中で読んだ少年探偵団。
    小林少年のようになりたくて、
    その辺の一般人を尾行してみたり(ただの迷惑)
    屋根裏に秘密基地をつくったり(母に怒られました)。
    そんなワクワクする心を思い出す「怪人二十面相」。

    大して「大暗室」は大人の乱歩。
    すごーく分かりやすい白と黒の対決なのですが、悪い奴が
    とっても奇抜でセクシーで我侭なのが魅力的。
    エロとグロが入り混じり、「吸血鬼」と「パノラマ島綺譚」
    が混ざりあったような雰囲気。

    どちらも結末は分かりきっているし、先の展開も
    見えています。
    それでもその過程を面白く読ませるのが作家の力量。
    ハラハラドキドキして、最後は皆が望む大団円。
    老若男女に愛された乱歩作品の中でも、バランスの良い
    2作が収録されていると思います。

  • 5月15日

  • 『怪人二十面相』
    怪人二十面相に狙われた富豪・羽柴壮太郎の所有する6つのロマノフ家の宝石。羽柴家の長男・壮一の帰国。壮一に変装した二十面相に奪われた宝石。逃亡する際に羽柴壮太郎の次男・壮二君が仕掛けた罠で負傷する二十面相。運転手に化けて逃亡する際に誘拐された壮二君。外国にいる明智小五郎に代わって二十面相と対決する小林少年。二十面相から壮二君と引き換えに要求された仏像。仏像の受け渡し、乞食の親子に化けた二十面相。仏像に化けた小林少年と二十面相の対決。囚われた小林少年の伝書鳩。美術城と呼ばれる屋敷に美術品を溜め込む日下部老人。二十面相からの予告に折よく近くに滞在していた明智小五郎に護衛を頼むが…。帰国後の明智小五郎と二十面相の対決。北小路博士の美術品盗難予告。明智小五郎に襲いかかる赤井、明智に恨みがあることで二十面相の部下になる赤井。誘拐された明智小五郎。予告当日奪われた美術品。明智小五郎の登場。明智に弟子入り志願した男の秘密。北小路博士の腕を離さない明智小五郎。少年探偵団の活躍。

    『大暗室』
    船の事故により漂流する有明男爵と親友の大曾根五朗、有明男爵の家令・久留須左門。有明男爵と久留須を殺害し有明男爵の妻・京子と結婚した大曾根五朗。有明男爵の息子・友之助、大曾根五朗の息子・竜次。生きていた久留須の証言から罪を暴れた大曾根は京子を殺害。焼かれかけた久留須は友之助を連れ逃亡する。20年後、飛行機ショーで再会する友之助と竜次。大曾根竜次こと大野木隆一が組織した殺人会社に依頼を持ち込んだ辻堂。財宝のありかを示す暗号をとく星野親子を殺害し財宝を独り占めしようとする辻堂。辻堂に化けて親子に接近する大野木隆一。星野の娘・真弓と親しい有明友之助こと有村清。辻堂に化けて星野氏をつれて財宝を探しに出掛けた大野木隆一。自分の正体をあかし星野氏を殺害しようとするが、星野氏に変装した有村清。1度は大野木隆一を倒すが騙され、星野親子を誘拐される有村清。久留須と共に大野木隆一との対決を決意する有村清。世間を騒がす黒い渦。背中に黒い渦の現れた花菱ラン子。ラン子の替え玉を勤める野沢少年。舞台上で血塗れになったラン子。運び出されたラン子は蝋人形にすり替えられ誘拐される。ラン子の誘拐を阻止した久留須。明智小五郎の名前で呼び集められた6人の新聞記者たち。大暗室への招待。大曾根竜次の大暗室案内。囚われた少女たちの人魚。ラン子を再び誘拐した大曾根竜次の前に現れた有明友之助。警官隊に包囲された大曾根竜次の最期。


    2009年1月29日初読

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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