- Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334742423
感想・レビュー・書評
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3年前の水族館職員の不慮の死。
そして、3年後の命日に、突然、水族館を襲う攻撃予告。
姿なき脅迫犯は誰なのか?
そして、その狙いは何なのか?
次々と展示生物を狙った攻撃が続く。
やがて、職員の不審死が発見される。
謎に包まれた事件の鍵は、同様に、3年前の職員の不審死に行き着く。
いったい3年前に、何があったのか。
3年前に、彼がやろうとしていた事とは?
石持作品らしい、随所にロジックが散りばめられています。言われて、なるほどと分かりますが、中々難しいですね。
最後は、ハッピーエンドで良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
水族館で起こるある事件の謎解き。
しかし、うーん。
個人的には、腑に落ちなかったというか。
別に正義を求めるわけではないけれど、そう終わってしまっていいのか・・・?と。
水族館が舞台であるっていうのは少し興味があったのですが、その分ちょっと残念だったかなぁ。 -
水族館で働く職員たちの展示や企画への工夫が興味深く、水族館に行きたいなという気持ちになりました。
作者らしいと思われるクローズド・サークルの作成や、論理的な考察など概ね楽しめたのですが、いくらフィクションとはいえこの結末は・・・。
「ホントにこれでいいの?」と言いたくなるような、釈然としないものが残ります。 -
出口が見えない海底トンネル...
頭上と足元を自由に泳ぎ回る魚たち...
そんな、海の中を歩く事が出来たらどんなに素晴らしい事でしょう。
水族館は人の手で海を再現しています。しかし敷地の広さや資金計画といった現実的な問題が本物の海の再現を阻みます。
序章で不慮の死を遂げた片山雅道、彼は羽田国際環境水族館の為に何かをやっていた...
物語は彼が死んだ3年後の命日が舞台...
物語の欠片の全てが繋がった時、どうしようもない感動が瞼の裏から溢れ出す...
取り敢えず水族館に行きたくなりました。 -
話は面白いが、ちょっと無理やり過ぎるかな?夢の為に殺人事件を2件も無かった事にするのは、ちょっとおかしいだろう!
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水族館で起こった脅迫事件を中心に、右往左往する話。
この人の話は、大抵飛びぬけた探偵役がひとりいて、周りがその人に感嘆しながら話が進み、解決までその人がつきすすむ。小気味良いっちゃーいい。
いかにも怪しい奴が、結局犯人だったけど、そんな事どうでも良くなる話でした。感動。泣いた。 -
水族館に行きたくなる一冊。推理小説なのにハートウォーミング。
深澤さんの謎解きが鮮やかすぎる。 -
装丁とタイトルに惹かれて買いました。
予想を裏切らない、きれいな物語でした。
舞台は羽田国際水族館。
もとは小さい、冴えない水族館だったものを、片山というひとりの男が孤軍奮闘し、死んでしまうという過程を経て、ついには日の目をみるところとなった水族館。
水族館で発見された携帯電話。そこに送られてきた「金魚を百万円で買ってください」という脅迫メール。
事態を飲み込めず戸惑う職員たち。
開放型の水槽にひっそりと投げ込まれる異物。入浴剤や、アルコールや酸。
さらにその脅威は魚だけにとどまらず、職員のひとりまで殺され、水族館は客全員を人質に取られたかたちとなる。
犯人の真の目的とはいったい何なのか?職員たちは通報することもできず、自分たちの手で事態を収束させようとするが−−−。
起承転結の「起」の部分が上手な作家さんで、導入部で次々登場してくる人物を無理なく読者に印象付けるところからはじまり、事件がつぎつぎ起きていくまでをぐいぐい読ませます。
予め解説で「甘い」というのは読んでいたので、そう厳しい目で読まなかったというのも事実ですが、わたしはこの物語は好きです。
出てくる登場人物の行動に無理がない。それぞれの思惑が交差して起こった出来事であり、かつ、ハッピーエンド。
殺人まで起こってるのにハッピーエンドですか、とか、おめでたい、とかいう意見もありだと思いますが、わたしは好きです。
だってこれは「水族館の物語」であって、ミステリじゃないと思うから。
最後に出てきた、タンカーを使った水族館、ほんとにできたらいいのになあ。そんなのがあったら見に行きたいなあ。
そして一つだけ言わせてくれ。深澤はかっこよすぎる。 -
胸を打つ感動と美しい謎 (文庫帯より)
水族館の中で突然発生した脅迫事件。
水族館にいる8500人の客を人質に取るかのような緊迫した状況の中、職員のひとりが謎の死を遂げた。
3年前に夜中の水族館で職員が突然死した事件との関係はいったい――?
推理小説ではめずらしい、水族館が舞台の物語です。
ところどことに挟まれる水族館の描写がすごく丁寧で、架空の水族館なのにイメージが目に浮かぶようでした。
夏に読むといいかも。
最初は展開が早くてぐいぐい読めていたんですが、話が進むにつれて徐々に違和感を感じるようになり…そしてラストで「ありえない」
探偵役が、私には魅力的に感じられなかったのがひとつの敗因かとおもいます。
探偵がお話の中を生きているのではなく、物語を作者の意図する方向に展開させたいがために、洞察力があり思慮深く、だれからも信頼される魅力あふれた(という設定の)人物を転がしているようにしか感じられなかったです。
(そしてその探偵にひたすら感動する主人公……いかに探偵が素晴らしい人物であるかを説明するだけの役に見えてくるのですが、穿ち過ぎ?)
ほかの登場人物が、凡人ながらもそれぞれが一生懸命頭をはたらかせて推理している部分と対比して、なんかとってつけたような感じ。
二次元人たる探偵に責任はないんですが、やっぱり探偵って大事だなあと思いました。
そして結末…これは賛否のわかれるところかとおもいます。
フィクションとして読めばこういう結末もアリなのかもしれませんが、私は特に胸を打たれなかったし、美しいともおもいませんでした。
夢の実現のために多すぎる犠牲が払われ、たくさんの人が傷ついたという重みや悲壮感が、あの結末でまるで薄っぺらくなってしまったように感じました。せっかく夢は大きく、美しかったのに。
「胸を打つ感動と美しい謎 」という文庫帯からしても、都合の悪いものを全部まとめて丸めてどっかに押し込んて、べったり「美しい」という都合のいいレッテルを貼っただけの印象。
わざわざこの結末にしなくったって、あのエピローグのシーンは迎えることができたと思うし、そのほうがよっぽどお話としての奥行きも出て、感動も何倍にもなるとおもうんですが……私は。
フィクションだから、というかもしれませんが、フィクションだからこそ、現実以上のリアルがどっかに存在してないと、読めたもんじゃないと思うんですがどうでしょう。
ご都合主義といわれましても作者は確信犯だから、となぜか解説でフォローが入ってますが、それも謎。
プロの作家にプロの作家がフォローって。作者にも読者にも失礼じゃないかとおもうんですが……
水族館の描写、作中で描かれていた壮大な夢。
ミステリ以外の部分は大いに評価できるだけに、なんとも残念でした。 -
数年前、不慮の死をとげた男性の命日に起こる事件…
私は途中で犯人がわかってしまったけれど、最後まで飽きることなく読めました。
でも、本のオビに書いてあった「胸を打つ感動」はおおげさです…