地獄篇三部作 (光文社文庫 お 9-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334748500

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  • とある事情で60年もの間未発表だった『地獄篇三部作』。その事情を揶揄する内容でもあるが真相はアホらしく下らない。あからさまに相次ぐパロディで喜劇を繰り出す。文芸ジャーナリズムをばっさり切り裂くという正攻法によらず、手のひらで転がし遊んでいる。痛快だ。が、作中作「白日の序曲」主人公の利己主義な似非虚無主義には反吐がでる。これほどまで寄り添えぬ主人公というのも稀だ。戦争の落とし子か、救いない凋落の無限地獄。通して奇怪でユニーク、取っ付けた構成は読者を欺かんばかり。巻末の大西巨人インタビューさえも本文かと疑った

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著者プロフィール

作家(1916年8月20日~2014年3月12日)。福岡県生まれ。九州帝国法文学部政治学科中退。新聞社勤務の後、1941年12月召集され、以後敗戦まで対馬で兵営生活を送る。敗戦後、福岡で発刊された『文化展望』の編集に携わる傍ら、文筆活動を開始する。46年新日本文学会に入会、以後『近代文学』や記録芸術の会など、さまざまな文学芸術運動に関わる。48年日本共産党に入党、61年以降は関わりがなくなるが、コミュニストとしての立場は生涯変わらなかった。公正・平等な社会の実現を希求し、論理性と律動性とを兼ね備えた文章によって個人の当為を形象化する試みを続けた。1955年から25年の歳月を費やして完成した『神聖喜劇』は、軍隊を日本社会の縮図ととらえ、主人公の青年東堂太郎の精神遍歴の検証を通じて絶望的な状況の中での現実変革の可能性を探った大作で、高い評価を受けている。ほかの小説に『精神の氷点』(1948年)、『天路の奈落』(1984年)、『三位一体の神話』(1992年)、『深淵』(2004年)、批評集に『大西巨人文藝論叢』(立風書房、全2巻)、『大西巨人文選』(みすず書房、全4巻)など。

「2017年 『歴史の総合者として』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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