長い長い殺人 (光文社文庫 み 13-10 光文社文庫プレミアム)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334749712

感想・レビュー・書評

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  • 殺人事件に関わる人物10人の財布が語手という一風変わったミステリー。それぞれの立場で事件が語られるので、断片的な情報を繋ぎ合わせて読み進めるのが面白かった。

    その分、登場人物が多かったから何度も戻りながら読んじゃった。

  • 本来ならものを語らずそこにあるだけのものでしかない財布が語り部をする、という画期的な作品。

  • 小学生だった次男坊から私への誕生日プレゼント。

  • 財布が語るミステリーということで、切り口が面白いなと思って拝読。刑事の財布や子どもの財布など、それぞれが個性的なキャラクター性をもっていて、飽きずに読める。

    「長い長い殺人」というタイトル通り、殺人事件とその容疑者は本編を通して変わらない。驚きの大どんでん返しも特にないように私は感じたので、少し「長すぎる」印象もあり。※その意味で★3

    あとは、出てくる登場人物の描かれ方に少しブレがあるように感じた(たとえば「証人の財布」の持ち主は、「なよなよ型」と最初に描写されるが、かなり芯が通った人物だと思う)。

    2000年以前の作品だけれども、褪せないストーリー性で面白く読めるのではないだろうか。

  • 2021.12.09 読了

    語り手が財布という斬新な着眼点が非常に楽しませてくれました。
    人間の支配欲は末恐ろしく感じる。殺人に明確な動機など必要ない。

  • 本当に長い殺人だった。
    主人のお財布たちが現状を伝えてくれる。
    しかし殺人を計画し殺人を依頼し、自分を誇示するために4人の命を奪いながらほくそ笑みマスコミの寵児となっていた愚かな3人。
    小説とわかっていても空恐ろしい。

  • 財布目線で語られるミステリー
    財布たちが持ち主に対して抱く感情に温もりがあって、卑怯な事件ではあるけれど普通のミステリーとはまた違った読み心地でした。後半の展開が急すぎたように感じたのと、探偵や刑事が暇すぎ?と思ったので星3つ。

  •  連作短編。元々は十三編から成る連作を想定していたらしいが実際には十編から成る。

     何と言っても最大の見所は視点の妙であろう。各編が殺人事件の関係者の所有物であるところの財布を擬人化し、此れを視点として登場人物の人間模様を浮き彫りにして行く。此の試みは面白かったし、充分成功していると言って差し支えない程には技巧的であった。

     ただ推理小説としては或る種妙味に欠ける部分は否めないとも思う。尤も此を推理小説と見るか否かは議論の余地が有るかとは思うが、「犯人」の概念が成立し、且つ其れが物語の最終盤迄秘されている以上、推理小説としての読みは充分可能であると自分は考えている。

     自分などは推理小説を読む時、漫然と話の筋を追うだけで、真犯人は誰かなどと言った事には然程執着しない方だが、読者によっては犯人探し(或いは犯人当てと言った方が適当か)に血道を上げる人も居るだろう。
     そう云う人達にとっては稍娯しみに欠ける感は否めない。

     物語の割りと初めの方で犯人はあっさり判明する。一応実行犯は最後まで秘されるものの、途中で読者自身が推理に依ってその人物を特定することはほぼ不可能に近いと思う。それは取りも直さず、その為の条件が充分に開示されていないからだ。


     無機物たる財布を擬人化し、その語りに因って間接的に人間像を浮き彫りにする技巧は確かに妙味がある。但し純粋なミステリファンにはお勧めし兼ねる。

  • *轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は、森元の妻・法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度もきこうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが…。刑事の財布、探偵の財布、死者の財布―。“十の財布”が語る事件の裏に、やがて底知れぬ悪意の影が*

    登場人物が所有するお財布それぞれが語り手となって進む、異色の形式。このお財布たちがとにかく個性豊かで、持ち主を愛し心配している様がほっこりするやら、哀しいやら。
    事件そのものは残酷で後味も悪いのですが、お財布目線でのストーリー展開に救われます。

  • 知人から借りて読む。様々な人の財布の視点で描かれる殺人事件のあらまし。当時の時代背景の中ではありうる動機なのだろう。今とは異なる時代を思い起こしながら読むことができた

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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