1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751418

作品紹介・あらすじ

ユーモア、犯罪、皮肉な結末。アメリカの原風景とも呼べるかつての南部から、開拓期の荒々しさが残る西部、そして大都会ニューヨークへ-さまざまに物語の舞台を移しながら描かれた多彩な作品群。20世紀初頭、アメリカ大衆社会が勃興し、急激な変化を遂げていく姿を活写した、短編傑作選。O・ヘンリーの意外かつ豊かな世界が新訳でよみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • o・ヘンリーという作家を初めて知った。古典の本を読むのも初めてかもしれない。短編とは言っても、わかりやすいオチはない。なんとも表現しずらいが、一世紀前に書かれたものだから、のんびりとした平和という感じだろうか。アメリカの昔の白黒映画のような世界だ。記憶に残るというよりは、なぜか、オチのわかりづらい短い小説に、黙々と付き合うという感じだろうか。あとがきには、o・ヘンリーの足取りが書かれていて、銀行に勤めるが、横領の罪に問われ、服役中に、その名を知られるようになり、最後は酒浸りになり、早くして亡くなってそうである。名作といわれるものも多いらしいが、また機会があればどこかで、その功績を知ることになるかもしれない。

  • 短篇23編。O・ヘンリーはやっぱりいい。「最後の一葉」「賢者の贈り物」ばかりが有名だけど他の作品も知られてほしい。

    「献立表の春」…可愛くて甘酸っぱいラブロマンス
    。可愛いの一言に尽きる。いつ読んでもほんわかする。

    「甦った改心」…個人的NO.1。金庫破りの恋。

    「十月と六月」…印象的な文章が多かった。

    「警官と賛美歌」…刑務所のほうがマシというのは今も昔もあまり変わらない。

    「ミス・マーサのパン」…女性のささやかな思い込みがもたらす悲しい結末。タイトルとしては「魔女のパン」のほうが好き。

    全タイトル
    多忙な株式仲買人のロマンス
    献立表の春
    犠牲打
    赤い族長(レッド・チーフ)の身代金
    千ドル
    伯爵と婚礼の客
    しみったれな恋人
    1ドルの価値
    臆病な幽霊
    甦った改心
    十月と六月
    幻の混合酒(ブレンド)
    楽園の短期滞在客
    サボテン
    意中の人

    心と手
    水車のある教会
    ミス・マーサのパン
    二十年後
    最後の一葉
    警官と賛美歌
    賢者の贈り物

  • 道徳の授業で使われた話の原作だったり、英語の教科書に載っていた話であったり、思い出しました
    結末にはオチがあり、起承転結がはっきりしている
    装飾的な表現が多いけれど翻訳の質が高くて読みやすかった
    久しぶりに米文学に触れたなぁ
    最後の解説が大変詳しくて著者の生涯が分かり、各話の理解が進んだ

  • 「最後の一葉」「賢者の贈り物」等、感涙ものと言われるこれらの作品でも皮肉な結末だと感じるひねくれ者の私ですが、すべての話がこの短いページ数の中ですとんと落とされることには感激します。岩波文庫の傑作選を読んでいるたのでいくつか重なっていたものがあり、同じ話を読むと訳者さんの力というものを見せつけられる思いがしました。岩波も読みやすいですがこちらの方がさらに理解しやすく砕いてある気がします。「献立表の春」などはこちらの訳がとても好きです。でも岩波は言葉選びの美しさを感じましたので甲乙つけがたいですね。今回は一度に読まずに一か月かけてのんびりゆっくり少しずつ楽しみました。「甦った改心」「二十年後」は再読でも好きで、今回初めて出会った中では「サボテン」にやられました。すごく情けないけれど誰もが多かれ少なかれ心当たりがありそうです。/覚え書き…第2回O・ヘンリー誕生日読書会参加http://bookmeter.com/event/event_show.php?id=2493

  •  23編収録の短編集。

     これは日本人男性作家じゃ書けなかった作品だな、とそれぞれの短編を読んでいて思いました。アメリカの様々な姿を舞台にしている、というのもその一因ではありますが、一番の理由は話の内容です。短編という制約があるからかもしれないですが、一切の迷いや、ややこしい表現もなく、ストレートにハッピーでロマンティックなエンディングを用意、男女の愛の成就を描く点です。

     イメージですが日本の恋愛ものは、一直線に愛の成就を描くのではなく、良くも悪くもうじうじした男女が右往左往し、言外にメッセージを込めつつ恋愛を成立させる、というイメージがあります。O・ヘンリーの作品たちはいい意味で非常に分かりやすく恋愛に向かっていきます。それがロマンティックさの理由のように思います。

     そうしたロマンティックさのイメージと裏腹なシニカルな短編も何編か選出しているあたりも、この短編集の良さだと思います。作品集の最後に近づくにつれ「また幸せな結末だろうな」と油断しながら読んでいて見事に転ばされたことが何度かありました(笑)

     しかし、それを最後の『賢者の贈り物』でチャラにするどころか、見事にロマンティックさを取り戻します。これは作品の並び順も結構計算されているのかな、と考えてしまいますね。

     このロマンティックさは、有川浩さんファンの方が読んだら案外はまるんじゃないでしょうか? 一編一編のページ数も少なめでとっつきやすいと思うので、いろんな女性層に読んでもらってときめいてほしいな、と思いました。

  • 「最後の一葉」「賢者の贈り物」がパロディ化されるくらいあまりにも有名だが、もっと多彩な面のある作家。笑いもウェットドライ両方。詩情もある。サキ程毒はないけど、棘はあるかな。

  • 現代の感覚ではベタすぎと思うのもあるが、よく考えたらいくつかはそもそもどこかですでに読んでたかも。
    日本人にとってはショートショートといえば星新一たが、あちらの研ぎ澄まされた理系チックな雰囲気と比べると、読者への呼びかけなどいちいち詩的なのが印象的。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742608

  • 一編一編に引き込まれ、結末が気になってしまう作品ばかりでした。

    どの作品も風景描写や登場人物の感情を巧みに表現していて、日常の些細なことでも文章にするとこんなに面白くなるのかと思いました。

    個人的には「水車のある教会」のラストが印象に残っていて、思わず泣いてしまいました。

  • 一つの話が短いのにどれも意外な結末が待っていて凄い。十月と六月、私も騙されたけど、これ男の方が年上っていう価値観、思い込みが無いと騙されないよなと。(勿論大尉という位もあるが)騙されるタイプの話、読者が持っている常識に左右されるなと思った。

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著者プロフィール

1862年、ノースキャロライナ州に生まれる。20歳のときにテキサス州のオースティンに移り、銀行に勤めるが、まもなく横領の容疑がかかり退職。後に起訴されると、中米のホンジュラスに逃亡。妻が病気に倒れたと聞いて戻り、服役する。模範囚として過ごし、小説を書きはじめる。ニューヨークにやってきたのは1902年。翌年から短編作家として人気を博す。1910年没。 

「2022年 『O・ヘンリー ニューヨーク小説集 街の夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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