失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社
3.83
  • (17)
  • (24)
  • (19)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 298
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752538

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 失脚、巫女の死は登場人物の多さで窒息する。
    トンネル、故障は分かりやすく、楽しめる。

    中でも故障は名作。知的で愉快で残酷。特に自分の人生に気づき、完成させるまでは滅多にない盛り上がり。

  • 新書・文庫  943.7||デユ

  • 「トンネル」「故障」は既読(ただし、「故障」は結末が違うバージョンだった)。某国を彷彿とさせる「失脚」と、オイディプス王の物語を二転三転するミステリーのように描いた「巫女の死」はどちらも、登場人物たちが己の窮地を何とかしようとしながら、「どうしてこうなった」と頭を抱えて呻く声が文面から聞こえてきそうな展開で、まさに「笑うに笑えない皮肉な結末」といった印象。四作いずれも何かしら危ういにおいを感じる魅力的な話だが、「失脚」と「巫女の死」は、最初は登場人物についてメモを取りながら読んだほうが、後々混乱が少なくてすむと思う。

  • こっちも、買ってしまったよ。
    (2012年9月27日)

    ちょっとだけ、読み始めています。
    (2014年10月26日)

    「故障」は、巨匠のワザです。
    「巫女の死」ともども、21世紀の重要なテーマです。
    (2014年11月3日)

  • スイスの作家デュレンマットの短編集。どれも特異なシチュエーションが人間心理を照射し、物語を動かして行く。悲劇的だが、圧倒的に面白い。

  • おもしろい.いや,本当に面白い.ドイツ語圏では重要な作家,兼,劇作家ということだが,ソ連の政治局でのお互いの疑心暗鬼が生む暗闘を書いたとしか思えない「失脚」と,セールスマンがたまたま車の故障によって一夜の宿を提供してもらった屋敷で,主人とその友人の裁判ごっこに巻き込まれる「故障」は,どちらも舞台化して欲しい,それを観てみたい,と思わせる.「巫女の死」はオイディプスの一連の事件についての証言が食い違い,黒澤明の羅生門形式かと思ったけど,そうではなく新しい真相が次々にあきらかになってゆき,かつ,劇中の巫女とその友人曰く,それすらも真実でないかもしれない,でも,深入りすべきでない,と.いずれも文学の深みを堪能させてもらいました.本の帯に書かれた内容は「誇大広告だろ」と思わせるものが多いんだけど,今回ばかりは豊崎由美の「こんな面白い作家,今までどこに隠してたんですか!?」に激しく同意.

  • 今まで全く知らなかったスイスの小説家、デュレンマット、劇作家なのでどれも映像にしたくなるような視覚に訴える作品。「失脚」はしおりを見ながらパズル感覚で読めるのが楽しい。古典新訳文庫の良さが改めて認識できた。

  • 癖が無いようで癖が強いかった。
    なんだろう、自分にとっては理屈が過ぎたというか、不条理なようで実際は梯子を一段ずつ慎重に上がっていくようにバッチリ条理。でも、オレは梯子から飛び降りてあさっての方向に飛躍して着地ついでに首がもげてしまうくらいのほうが好みなんだなあというのが感想。
    いや、収録作全て面白いことは面白いし、この辺りストライクゾーンの人には堪らないんだろうとは思う、思うけどもう一冊読むかと聞かれたら、もう十分ですとなるし、まぁそんな本をチョイスしてしまう日もあるさ。

  • 文庫の帯で鹿島さんをはじめみなさんが激賞しているのもあり読み進めたが、なかなかどうして素直に楽しむには難しい小説。「トンネル」「故障」はなかでも比較的楽しむことができたが、表題作の「失脚」「巫女の死」は登場人物をフォローするのが大変で簡単に楽しむことは難しいといったところ。
    とはいえ、どの作品も作者の意図はわかるのでそこの点は楽しむことができる。「故障」で前半が理論で後半が実証となっているようにバカにしていた理屈に徐々に取り込まれていく様子はうまく書かれている。最後に殺されずに自殺するところはとはいえ理屈通りにもいかないといったところではあるのか。
    訳者の増本さんの解説でスイスにおけるドイツ語方言について記載されていて、そこまで違うものなのかということは興味深く思った。アフリカにおける英語やフランス語も同じような状況にあるのだろうか、とも。

全44件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

スイスの劇作家、小説家。1921年、ベルン州エメンタール地方のコノルフィンゲンにプロテスタント牧師の息子として生まれる。ベルン大学とチューリヒ大学で哲学などを専攻。21歳で処女作『クリスマス』を執筆。1945年24歳のときに短篇「老人」が初めて活字となる。翌1946年、最初の戯曲『聖書に曰く』(鳥影社『デュレンマット戯曲集 第1巻』収録)を完成。1940年代末から60年代にかけて発表した喜劇によって劇作家として世界的な名声を博したほか、推理小説『裁判官と死刑執行人』(同タイトルで同学社刊。また早川書房『嫌疑』にも収録)がベストセラーに。1988年、演劇から離れ散文の創作に専念することを発表。晩年は自叙伝『素材』の執筆に打ち込む。1990年、ヌシャテルの自宅で死去。代表作に『老貴婦人の訪問』、『物理学者たち』(以上2作は鳥影社『デュレンマット戯曲集 第2巻』収録)など。

「2017年 『ギリシア人男性、ギリシア人女性を求む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フリードリヒ・デュレンマットの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×