地底旅行 (光文社古典新訳文庫 Aウ 2-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752774

感想・レビュー・書評

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  •  私は何も言わず、目の前の素晴らしい光景を眺めた。この感覚を言葉で表さすことは難しい。私は自分が天王星や海王星のような、はるか遠くの惑星にいて、地球の感覚では理解できない現象を見ているような気分になった。今までに経験したことのない、この新しい感覚を表現するためには、新しい言葉がいる。けれども、私の乏しい想像力では、その言葉を見つけることができないでいたのだ。私はただ少しばかり畏怖の混じった驚嘆の思いを抱きながら、この不思議な光景に目を奪われていた。(p.327)

     「ああ、アクセル。科学などというのは、まちがいでできているようなもんじゃ。だが、まちがいは犯したほうがいい。それによって、少しずつ真実に近づいていくのじゃからな」(p.343)

     太陽と同じ大きさ―つまり、今の地球の百四十倍にふくれあがった、このガスの塊の中心で、私は直接、宇宙空間に浮かんでいた。私の身体は粉々に砕け、やがてそれもまた蒸気となって、地球の蒸気と―今はただ赤く燃えながら、巨大なガスの集積となって、かろうじて球形を保っている地球の蒸気とひとつになった。私は原子となり、地球を形づくっていた無数の原子に混ざった……。(p.362)

     人間なんてこんなものだ。ほんの些細なことで、精神状態が変化する。腹が満たされてしまうと、飢え死にする恐怖はほとんど顔から消えてしまった。恐怖を感じるには、実務にお腹がすいていなければならないのだ。丸一日、何も食べなかったあと、ほんの少し、乾パンと干し肉を口にしただけで、私はあれほど飢え死にを心配したことを忘れていた。(p.484)

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】953.6||V
    【資料ID】91131532

  • 以前、岩波版を読んだのですがそれよりもかなり軽い感じになっていました。新訳だからこれが今風なのでしょうか。

    ちょっと変わった科学者の叔父と振り回される主人公、寡黙なガイドと地底を探検。と言う内容に当然ながら変わりはありませんが重厚さが無く、読みやすいと言えば読みやすく、物足りないと言えば物足りない、と言う読後感でした。

  • ヴェルヌ恐るべし。
    読みやすく、またヴェルヌらしく見せ場もきちんと用意されている。とにかく科学的知見の造詣が深い。
    解説には科学、哲学、宗教学にも影響を与えると書いてあり、なんだかヴェルヌが途轍もない人間として書かれてる。しかし本編でプレートテクトニクス論を思わせる箇所があり、もしかしたら彼は大陸移動説を当時考えていたのかもと、ヴェルヌをより途轍もない人間なのではと考えてしまった。

  • 本文自体はすばらしく、さすがの不朽の名作という感を覚える。
    ただ、科学的注釈および、間違いなどを指摘するのが専門的かつ多く、しかも物語の本筋とは関係のないところばかりで興ざめだ。
    よって、この点数である。

  • 久々の再読。やっぱり面白かった&読みやすかった。

    地底に広がるセンス・オブ・ワンダー。このイマジネーションに驚きつつも、すべてにそれなりの科学的説明をつけているジュール・ヴェルヌの知的能力の高さに感心します。

    変人のリーデンブロック教授に振り回される常識人のアクセル少年という安定した話型をベースにしつつ、時おり浮かれて暴走してしまうアクセル少年の行動もきいてます。

  • p.482
    「あたりまえじゃ! 人間は心臓が鼓動を打つかぎり、肉体を動かすことができるかぎり、希望を失ってはならん。絶望に身をゆだねてはならん。わしはそう思うぞ」

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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