- Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334763862
作品紹介・あらすじ
始業直前の中学校の教室に包丁を持った男が乱入、学級委員の女子生徒を刺殺した。怨恨か、無差別殺人か?警察は教室の原寸大セットを組み、犯行の再現実験を行うが、再現を重ねるたびに予想外の事実が判明し、迷走状態に陥る。一方、事件の真相を生放送で暴くと予告したテレビ局は、公約を実行することができるのか?第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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純粋に推理を楽しむミステリー小説ではない。
ホラーミステリーといえばいいのか、それともSFミステリーといえばいいのか。
終盤に向かうまではとても面白かった。
テンポの良さ、登場人物たちの動きがわかりやすく描かれ戸惑うことはない。
やたらと多い教室内の図式もいい。
事件当日のようすを探ろうと情報を集める秘書やテレビ局。
証言に基づき事件を解明しようとするふたりは、互いに情報を補完しながら真実へと近づいていく。
事件の本質は思いがけないものだった。
次々と明らかになっていく新事実は隠されていた過去や人の醜さをあぶりだしていく。
ではこの物語の本質はなんだろう?
ホラーという素材をミステリーで味付けしたような、ちょっと変り種の面白さがある物語だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『自由は、野方図の中からひとりでに生まれるものなどでは絶対にありません。『よき管理』のもとで初めてあたえられるものだということを、わかってくれたんです。』
面白かったけど、ミステリの枠を飛び越えてしまったので、期待していたものではなかった。でも、これはこれで良かったな。続編が出て欲しいな。 -
教室で起きた,父兄による生徒殺傷事件の謎を追う話。
タイトルと表紙から,「悪の教典」的な虐殺劇かと思いきや,非常に論理的。
この作者の「ブラッグ 無差別殺人株式会社」同様に良い意味で期待を裏切った作品。 -
3
巻末の綾辻行人との対談で、著者は“広義のミステリーとして書いた”と言っているが、今どきの“広義のミステリー”ほど曖昧なジャンルはない。仮説と否定が繰り返される構成は、ある種のミステリの構造の一つとしてすでにある。しかし本作は基本的に読み手から情報を隠し、作中人物が勝手に仮定を構築し、勝手に否定されていくのを大量の図版と一緒に傍観していくだけなのが物足りない。個人的には、教室を舞台にしたSF謀略小説と感じたが、あながち的外れでもなかったようだ。やはり対談で、著者はかつてはシナリオライター志望でSF好きで映画好きということが明かされるが、なるほどそういった嗜好や特徴が本作には表出している。ラストに向けての図版の連続によるスピード感は圧倒的で、盛り上がりにも一役買っている。このあたりは多分に“実験映像”的で作家受けは良さそうだが、はたしてそうでない向きにはどうだろう。
本作を“面白かった”と言い切れないのは、肝であるはずの“空気感”あるいは“空気を動かす感”がいまいち伝わってこないからだろうか。描写自体はあるのだが、作中人物に陳腐な台詞を喋らせているだけで説得力はあまりない。そのあたりは、状況描写は図版におまかせのシナリオ的筆致が逆に足枷になった感がある。 -
なんか評価が高そうだったが、読了後感はそれほどでもなかった。
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可もなく、不可もなく。
まぁ時間を潰すには良い本。
確かに、斬新だと言えなくもない。 -
面白かったです。でも、これ…図版がかなりあって、その図版で頁数が増えてて(苦笑)そんなに気にはならなかったけど、ちょっと吃驚でした(笑)
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始業直前の中学校の教室に包丁を持った男が乱入、学級委員の女子生徒を刺殺した。怨恨か、無差別殺人か?警察は教室の原寸大セットを組み、犯行の再現実験を行うが、再現を重ねるたびに予想外の事実が判明し、迷走状態に陥る。一方、事件の真相を生放送で暴くと予告したテレビ局は、公約を実行することができるのか?第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作