- Amazon.co.jp ・本 (577ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334768249
感想・レビュー・書評
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新宿鮫はハードボイルド警察小説である。
ハードボイルドのなんたるかをよく知らない自分にも、それと分かる。
特に、気取ったようなセリフはない。
が、すべての登場人物が、絶対に譲れない矜持を持ち寄り、ぶつかり合うのである。
その、ときに善悪をも超えた行動が、ハードボイルドなのだ。
惹き込まれる。
今回の第十弾は、一つの節目。
主人公、鮫島の周囲もいろいろと変わってしまう。
十一弾もすでに発売されているらしい。
楽しみだ。
一作目から読んできて本当に良かったと思える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
えーーーー!
嫌だ。
涙がこぼれないように
上を向いたけど、
あふれちゃった。 -
鮫島と晶に会えないかと思うと淋しい。次回作が、いつか……いつか……あるなら、再会した二人がまた、くっついてくれる事を願います。新宿鮫シリーズを読むと、これ以上のハードボイルドには、なかなか出会えません。鮫島、カッコ良すぎます!
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久しぶりに新宿鮫を読みました。以前読んだのが、何年前で何巻目だったのかも思い出せないのですが、これを読み始めたら、鮫島さん、晶ちゃん、藪さん、香田さん、ママホースのママ、桃井さんなど次々に以前も登場した方々が出てきて、新宿鮫の世界へのめりこんでいきました。今回、としみさんと言う方が出てきたのですが、とても健気で一途なので、私は鮫島さんより、としみさんを応援したくなりました。
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久しぶりに疾走感溢れる新宿鮫が帰ってきた。
大変面白かった。孤立する鮫島の今後が気になるが、
永昌がこれからのライバルになるのではという予感を
感じる。
10までの面白さをランキング
1.新宿鮫
2.毒猿
3.無間人形
4.絆回廊
5.風化水脈
6.狼花
7.屍蘭
8.氷舞
9.灰夜
10.炎蛹 -
500ページを越えるのにその重さを一切感じさせない表現力は秀逸。
22年間も獄中にいながら桃井刑事を殺すことだけ考えていた樫原。樫原に借りを返そうとする吉田。樫原を想い待ち続けた笠置。自分を信念を貫き捜査にあたる鮫島刑事。鮫嶋の身を案じる桃井。
それぞれ立場の違う人間の思いが交差し、信念を貫き通す描写は流石。
面白い作品は時間を忘れてつい没頭してしまう。最新作の暗約領域も速く読まなければ!と読む人を魅了する作品。 -
まず、桃井さん…この喪失感はどうしたら?という感じで読みながら泣きました。
このシリーズ、これで終わり?だとしたら、いろいろスッキリしないことが多くて…
悪い奴は全員逮捕してください!(大沢在昌さん、お願いします!)
それから、香田さん!前巻で退場かと思っていたので、正直嬉しかったのですが、二人は何故いつもそうなってしまうの?残念でなりません。やっぱり、続編希望です!-
おはようございます!『二進法の犬』読みたいリストにしていただき、ありがとうございます(*^_^*)
ただ、女性の方には面白いと感じてい...おはようございます!『二進法の犬』読みたいリストにしていただき、ありがとうございます(*^_^*)
ただ、女性の方には面白いと感じていただけるかは謎ですが・・・。
それにしてもchie0305さんの本棚を見させていただきましたが、なんとなく趣味が似ているようでびっくりしています(^o^)
それに、読むスピードもめっちゃ速いですね!
私も負けずに読まなくては・・・^_^;
では!2017/02/17
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新宿鮫を読むのは超久しぶりです。最初に出版されたのが1990年のカッパノベルスだったので、もう20年以上前(?)で、「新宿鮫」「読猿」「屍蘭」「無間人形」までは読んだ記憶があります。
おそらく自分はこの作品を通じて、新宿の裏社会のこととか、警視庁公安課の闇とか、けん銃や麻薬の密売の手口とか、麻薬常習者の異常さとか(無間人形の「アイスキャンディー」はとってもリアルで、読んでいて恐怖を感じたことを今でも覚えています)を知ったのではないかと思います。
そんな新宿鮫の10作目がこちら。
主人公は新宿署生活安全課の鮫島。キャリアながら過去のいきさつから一匹オオカミとして新宿区内の犯罪に対処しており、その強硬な捜査手法と、食らいついた絶対離さない執念深さから、裏社会では「新宿鮫」と呼ばれている人物。
今回はその新宿に、25年の服役刑から出所した男が、刑を服している間に家族を引き裂かれた恨みとして「警官を殺す」ため、銃を入手しようとしいる、という情報から事件が発生する。
銃を手配しようとする男を追う鮫島が、その過程で中国残留孤児らで組織される犯罪組織の存在を知り、さらにその集団に、新宿の暴力団も関与していることをつきとめ、一人でその捜査を行うことに。
・糖尿病、肝硬変、痛風はヤクザの職業病。それにかかったら刑務所入って規則正しい生活して、治ったころにまた出てくる。
・芸能人が薬物やってる場合、警察は徹底的にこれを宣伝に使う。これが一番防止に役立つから。
・北朝鮮と中国の国境線には麻薬の密売ルートがある。麻薬取引の際、北朝鮮の役人には金よりもぜいたく品を渡すほうが喜ばれる。
といったようなちょっとした知識が入ってくる。
この新宿鮫の人気は、一人でコツコツと捜査を進め、犯人を追いつめて、最後は銃撃戦を含んだバトルが繰り広げられますが、その中に、関わった人物達との友情や、恋人同士の愛が描かれていて、バイオレンスなのに、読んでいて最後はハラリとするところかと思います。
で、今回は、10作に渡って鮫島を支えていた、鮫島の恋人で「ロケットおっぱい」の晶、「まんじゅう」と呼ばれる上司の桃井、「名前が理由で医者を諦めた」鑑識課の藪といった仲間との別れが描かれていて、やはりハラリとくる感じで終わっております。久しぶりに読むのも良いかもしれません。 -
「酷く目立つ分厚い文庫本…」に変に惹かれて紐解いた『暗躍領域』の前に出ている<新宿鮫>シリーズの作品が本作だ。『暗躍領域』の中で、鮫島刑事が「少し前の出来事を想い起して…」という風に触れられる出来事が、“進行形”で起こっているのが本作の物語である。
何やら、発表された順番を度外視して、シリーズ作品をランダムに読み漁るような体裁になってしまっている。が、頭の中で、何年か前のこと、数日前のこと、当日のことと時間軸が乱れ飛びながら色々と思い出すというように、記憶している事柄の時間軸が何時も整っているのでもない面は在ると思う。それ故に、シリーズ作品をランダムに読み漁るような体裁も悪くないと思う。他作家による別シリーズだが、そういうことは過去にも色々とやって来た経過が在る…
<新宿鮫>シリーズは「訳アリ」な新宿署の鮫島刑事が活躍する。キャリアとして警察官になった鮫島だが、色々な経緯で警部の階級に留め置かれたままで、新宿署の現場に在るという人物で、部内的には「近付かない方が…」という扱いで敬遠されているので、刑事の定石を外れて単独で活動する場合が多い。逮捕することを「噛む」と隠語で表現する場合が在り、その「噛む」ことに関して遠慮が無く、執念深く被疑者を追うことから、姓に引っ掛けて<新宿鮫>と綽名される鮫島刑事である。こういう彼だが、理解者で協力も支援も惜しまない上司の桃井課長、「アイツは銃のオタク」と言っている好き仲間の鑑識係の藪という警察部内の数少ない人達、そして交際を続けているロックバンドのボーカリストである晶(しょう)という、近しく大切な人達も在る。そういう中、鮫島刑事はシリーズ各作品で様々な事案に臨んで行くことになる。敵役ということになる犯罪事件関係者等に関しても、シリーズの複数作品に跨って登場している例が存外に在るかもしれない。
<新宿鮫>シリーズは、本稿を綴っている2023年5月時点で12作の長篇が発表されている。それらの中の11冊が文庫本化されている。既読の『暗躍領域』は11番目で、本作『絆回廊』が10番目ということになる。
シリーズ各作品に共通すると思うが、大半の部分で、視点人物は鮫島刑事である他方、適宜他の人物が視点人物に切り替わる部分も在る。<新宿鮫>シリーズの作品を原案にした映像作品(映画やテレビドラマ)も在るのだが、本作を読んでいても、何となく「映像作品に触れるような感覚」も在る。テンポが好く、映像作品のように巧みに素早く場面が切り替わるような感じがした。こういう感じも好きだが、本作もそこは変わらない。
何か前置きめいた話題が長くなってしまった…
冒頭部に、20年を超えるような長期間に亘って不在をしていた人物が戻って来るということに関する、或る人物の独白のような短い節が在る。本作の鍵になる人物達のことが示唆されている。
そういう辺りから鮫島刑事の新宿での日々というような展開に入って行く。違法薬物の密売を、長い間に亘って巧みに続けている、他方で証拠が無いので逮捕に至らないという、顔馴染の「街の売人」に出くわして言葉を交わした鮫島刑事は、「ネタが在る」と言う男の話しに耳を傾けた。
男は、出くわした男に拳銃を売ってくれというような話しをされて当惑したのだという。出くわしたのは少し目立つ程度に大柄な男で、やや年配と見受けられた。その大男は、拳銃を入手して恨みが在る警官を撃つというように息巻いたという。その時の話しの中で、一昔も前に解散した暴力団の組の名を口にしていたことから、「長い間、刑務所に在って、出所して日が浅い?」と推定されるということになった。
警官を撃ち殺すと息巻き、拳銃の入手を図ろうとしていて、本気であるように見える者が在るというのも物騒な話しである。鮫島刑事は男と話し合い、情報を集めながら警戒するということにしたのだった。
他方、鮫島刑事の個人的な事柄でも動きが生じた。交際を続けている晶がリーダー格であるバンドのメンバーがその交際相手の事案を契機に薬物事案で逮捕され、晶自身を含むメンバーが捜査対象になってしまった。晶は悩んで鮫島刑事に相談する。
問題の「警官を撃ち殺すと息巻き、拳銃の入手を図ろうとしている」という“大男”の影を追う中、鮫島刑事は“大男”が口にしたという、一昔も前に解散した暴力団の組に関係が在った者等を探るのだが、何やら死人が発生する事件が相次ぐ。そして正体が判り悪い、犯罪や暴力を厭わない集団の影に行き当たる。
“大男”の正体、犯罪や暴力を厭わない集団の実体と、鮫島刑事は桃井課長のバックアップを受けながら奔走して探り出す。その事案の行方、そして晶の問題の行方と、最終盤まで目が離せない。
長くシリーズを読み継いで来たファンが衝撃を受けるような結末かもしれない。他方、いきなり本作に触れたにしても、ハミダシ者な主人公にとっての、年長の好き仲間であると同時に上司の桃井との共闘振りは熱く、意外に過ぎる組合せである互いの立場を超えて、人対人として絆を保ち続けた晶との情愛の行方も心揺さぶられる。
シリーズ各作品を愉しんだ後に愉しむべき作品かもしれないが、最初からこの作品でも酷く熱い…御薦め!! -
待望の「新宿鮫」第10作。何かが終わり、物語は一区切りを迎える。個人的に切なさを強く感じた作品。