コクーン (光文社文庫 は 36-3)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334778309

感想・レビュー・書評

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  • 「オウム真理教」を彷彿させる「シンラ智慧の会」が引き起こした無差別銃乱射事件、その教祖である天堂光翅を中心に、彼の関係者達の繋がりを描いた作品。

    そこに共通し登場するのが金色に光る翅を持つ✨蝶✨

    人生の分岐点とも言うべき分かれ道に差し掛かった時にどこからともなく現れ、「こっちだよ」と言わんばかりに導いていく。

    もちろん、違った選択をしていればどんな未来が待ち受けていたのかは誰にもわからない。

    どこか幻想的な雰囲気を醸し出していたが、時間を跨ぎ、登場人物の視点がコロコロと代わる為、私には読み辛い作品でした。


    内容(「BOOK」データベースより)
    一九九五年三月二十日、丸の内で起こった無差別乱射事件。カルト教団『シンラ智慧の会』による凶行の首謀者は、忌まわしき過去を背負う教祖、天堂光翅であった。彼や教団に関わった者たちの前に現れる一匹の煌めく蝶。金色の翅が導くのは地獄か、それとも…。平成を揺るがすテロ事件が生み落とした絶望とかすかな希望を、幻想的かつスリリングに物語る衝撃作!
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    葉真中/顕
    1976年東京都生まれ。2013年、『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、デビュー。第2作『絶叫』は第36回吉川英治文学新人賞、第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)の候補となり、大きな話題を呼ぶ。’19年、『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    • ヒボさん
      かなさん、こんにちはこんにちは♪
      夜にレビューあげますが、読み終えるのに4日もかかりました^^;
      あくまでも個人的な感想ですが「ロスト・ケア...
      かなさん、こんにちはこんにちは♪
      夜にレビューあげますが、読み終えるのに4日もかかりました^^;
      あくまでも個人的な感想ですが「ロスト・ケア」「絶叫」ほどではなかったかなぁ...って感じです。
      2023/04/13
    • かなさん
      ヒボさん、おはようございます!
      あらためて、レビュー読ませて頂きました。
      ありがとうございます(#^.^#)
      ヒボさんには読みにくく感...
      ヒボさん、おはようございます!
      あらためて、レビュー読ませて頂きました。
      ありがとうございます(#^.^#)
      ヒボさんには読みにくく感じたというこの作品、
      私も読みにくいと感じるかもしれないけれど
      そうなったらなったとき!ということで、
      読んでみたいと思ってはいます。
      いつ手にとれるかわからないけれど(^-^;
      2023/04/14
    • ヒボさん
      かなさん、こんにちは♪
      ただたんに私の力不足です^^;

      なので、かなさんのレビューみてショック受けそうですが、楽しみにしていますね♪

      長...
      かなさん、こんにちは♪
      ただたんに私の力不足です^^;

      なので、かなさんのレビューみてショック受けそうですが、楽しみにしていますね♪

      長編なので、読むのを躊躇っている「凍てつく太陽」、そのうち頑張って読んでみます!
      2023/04/14
  • 1995年の事件を主軸に過去と現在が行ったり来たりのバタフライエフェクトもの 登場人物が多い はじめはそんなに多いと思ってなくて、年代的に合わないからだれの話だろうと混乱するけど、読み進めていくと緻密によくできていて凄いなあと感心する

  • 葉真中顕『コクーン』光文社文庫。

    平成という時代に起きた大事件と関係者の人生とをコラージュしたような幻想的な小説。金色の翅を持つ蝶が時代を超えてもたらす『バタフライ・エフェクト』。何が正解で何が間違いだったのか今となっては誰にも解らないが、少なくとも善と悪だけは明確である。

    東京丸の内で無差別銃乱射事件を引き起こしたカルト教団『シンラ知慧の会』の教祖・天堂光翅と彼に関わった人たちの因果応報の人生を描く。カルト教団『シンラ知慧の会』は『オウム真理教』がモデルであろう。

    タイトルの『コクーン』……繭は、物語全体を象徴する存在であり、金色の翅の蝶が引き起こすバタフライ・エフェクトの根源は繭なのだという事なのかも知れない。

    本体価格640円
    ★★★★★

  • 個人の選択の違いで少しずつ分岐し存在するかもしれないパラレルワールドでも、歴史の大きな流れは変わらないとしたら。。
    主人公の、カルト宗教団体の教祖としてテロを起こした息子が、生まれてない世界の方がより大きなテロ事件も原発事故も起こってたら、わたしと息子の存在にも意味があったのだ…という着地は主人公の救いにしかならないけれど、主人公にとっては唯一の救いだろうな。
    丸の内で銃乱射事件を起こす《シンラ智慧の会》も東日本大震災も、ハルピンの描写も生々しい。群像劇で連作短編集なので前の話に出てきていた人物がこの人だったんだ…というつながりが恐ろしいです。“沼”はこれから天堂光翅みたいになるんだろうか?
    「原因と結果は、常に強力な因果律で結びついているのだ」。だとすると、今起こっている事も因果応報なのだろうか。思いの外落ち込みます。

  • 葉真中作品にしては評価が低かったのでイマイチなのかな…?と思いながら読み始めたけど、あれよあれよとイッキ読みでした。
    最後まで読んでパズルのピースがピタッとハマったけど、、バタフライ・エフェクト、、なんか怖いなぁっと思った。
    でもその後、何気なくページを捲っていたら、続きのようなものががあって、、、うわぁぁぁ、、、やめて、、、ってなりました。。
    彼女達のことは唯一の希望って感じだったのに、、、負の連鎖はどこまで続くの……?
    当分の間、、ちょうちょ、、怖いかも。。

  • 『ロスト・ケア』から派生した、行き場のない人々の姿が、こちらでも描かれているように思う。ロスト〜ではぎこちなかった文体や物語性は、強く確かな骨格を持って、鍛えられた鋼のようだ。
    余談だが、こちらを読んだ方は、ぜひ、中村文則『教団X』も読んで欲しい。

  •  絶望の世界の物語なのに、なぜか神々しい世界へ連れて行かされる。今まで経験のしたことがない物語体験でした。

     カルト教団、診療報酬、自殺サイト、震災、戦争、性的虐待……、

     『ロストケア』『絶叫』と同様に今回も葉真中さんは社会の闇、人間の闇に容赦なく光を当てます。

     各章に登場するそれぞれの登場人物たちが見る闇と地獄。そして幕間に登場するある女性の壮絶な人生。葉真中さんの筆力はますます乗ってきているというか、光無き世界とその運命に翻弄される人物たちを、容赦なく描きます。どれもシリアスで暗い話ばかりですが、ついつい引き込まれます。

     そして、第4章を読み始めたとき「ん?」と思う人もいるのではないかと思います。 なんとも意味深な夢から始まり、そして4章の語り手の幼少時代も、人によっては「ん?」と勘ぐる人もいるかもしれません。

     そしてその意味は最後に明らかになります。そして4章以外にもところどころで描かれていた、引っかかりたちにも、途方もない意味があったことが分かるのです。矛盾を最後に意味を持たせるということに置いては、これはミステリーなのかもしれません。しかし、そこから導き出される世界の真実は、ミステリという概念を大きく飛び越えてしまうのです。

     介護、貧困……自分の世界も運命も、ふとしたきっかけで容易に反転しうることを、これまで読んできた葉真中作品では描いてきたように思います。それは個人ではどうしようもない、社会がそして世界が個人の上に乗っかり、押さえつけているからのようにも感じます。

     しかし、その社会や世界を相対化するような光景を葉真中さんは用意します。それはある意味このどうしようもない世界の、一つの究極の真理なのかもしれません。

     多分この種明かしに納得できない人もいると思います。ただこの物語の到達点は、おそらくそんじょそこらの作品では、決して描ききれないものだと僕は強く思うのです。

  • 1匹の黄金蝶が導く、数多の人たちの過去、そして現在。
    全ての人の運命は、1995年にカルト教団「シンラ智慧の会」が起こした銃乱射事件で繋がっている。
    それぞれの人が各々の考えで行動し、生きていると思うことは当然なのか、それともこの世界の全ては巨大な装置に牛耳られ決まったルートをあたかも運命かのように選ばされているだけなのか…。

    さすが葉真中顕さん、今回もめちゃくちゃ深かったです。
    本書のキーワードであるバタフライ効果の着地点、なるほど!面白い!
    「社会小説」「ミステリー」だけでは到底表現し尽くせない緻密さに酔いしれる作品でした。

  • 読み応えはあるのに、なぜかとてもモヤモヤします。

    新興宗教団体によるテロ事件に何らかの形で関わりのある登場人物の昔と今、ふたつの時代。モヤモヤの原因はおそらく最終章。事件を起こした教祖の母親がわが子を出産したことを悔やみつつ、自分がこの子を産まなかった場合、わが子の上を行く外道が出てきてさらなる大惨事が起きたであろうパラレルワールドを想像します。自分の息子が起こしたテロのほうがまだマシだったと考えることにモヤモヤ。

    フィクションであっても、被害者や加害者の遺族のいつまでも癒えない思いや、その思いを抱えたまま暮らす様子には触れることができた気はします。事件を起こした犯人の思いはわからないから、とてつもなく不気味。

    新興宗教のみならず、満州、行路病院(=生活保護を受ける患者を「転がす」病院)、東日本大震災のことまで盛り込まれてややこしく、誰が誰やらわかりにくい点と、性的に嫌な話が多いのと、それに目をつむったとしても陰惨すぎるのでめげます。それでも読み応えはあったから、他作品も読んでみたい作家。

  • 主人公が違う4編とインターリュード。
    確かにつながっているけれど、「絶叫」のようにスカッとしない。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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