- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334793289
感想・レビュー・書評
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読み終って心がほんわかとしてきます。
3年前に鎌倉のはずれの村からやってきて、お江戸日本橋の二十一屋という菓子屋で働く小萩は、つきたてのお餅のようなふっくらとした頬に黒い瞳、小さな丸い鼻。美人ではないが愛らしい顔立ちの娘だ。此度、好きな職人の伊佐と一緒になり。いままでよりも菓子への取り組みが違ってくる。
【牡丹か萩か 祝い菓子】
牡丹堂(二十一屋の別名)の小萩と、職人の伊佐が祝言を挙げる事となった。二人は、なかなか動かない、そうすると周りが勝手に動いて行く。祝言の日取りも来月に決まり、菓子も幹太と留助の二人で考えて綺麗なものが出来上がった。鎌倉から小萩の両親や祖父母も来て楽しい祝言を挙げた。
【忘れがたみの大工道具】
伊佐が最後まで世話をしていた政五郎が亡くなった。伊佐が譲り受けた遺品の墨壺が二十一両の高値で売れた。それをめぐって長屋中から金を分けろと押しかけられた。伊佐は、この長屋の人たちが好きで。この金は、政五郎の墓を建てて残りを長屋の井戸浚えに充てることにした。
小萩は、自分の部屋で話したことが壁が薄いので筒抜けになり、言いたいことを言ってくるこの長屋の人達に戸惑うが、伊佐が好きなら私も好きになりたいと思う。
【雲海の城と御留菓子】
山野辺藩から藩を代表するお菓子を作ってくれと。そして、その菓子は、他には販売しないで製法も教えてくれと。徹次、留助、幹太、伊佐は、仕事の合間に考えている。小萩は、祝言以後菓子のことについてあまり考えていない事に気がついてビックリする。
自分一人が取り残されたような気になってくる。小萩が、菓子屋千草屋に行ってお文に会ったら。お文は、新しく作った菓子「福つぐみ」が好評で仕事に夢中になっている。そしてハッとするほど女らしくなっていた。
【菓子で巡る旅の思い出】
小萩は、菓子を作りたくて鎌倉の田舎から出てきたことを思い出し。お客様から自分の店を持っては言われたのが刺激になる。小萩が、山野辺藩に出す菓子を藩邸で説明したら、隠居の弥兵衛が営業ができる小萩がついているのなら伊佐と二人で、将来、店を出すことを考えてはと言われる。
【読後】
小萩のけなげで、明るく、人の話をよく聞き、スッと人に寄り添う。そしてお菓子を作るのが好き。これは将来が楽しみです。読み終って心がほんわかとしてきます。
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あたらしい朝 ー 日本橋牡丹堂菓子ばなしシリーズの9作目
2022.03発行。字の大きさは…中。2022.08.04~05読了。★★★★☆
牡丹か萩か 祝い菓子、忘れがたみの大工道具、雲海の城と御留菓子、菓子で巡る旅の思い出、の短編4話。
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2022年3月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ9作目。牡丹か萩か,祝い菓子、忘れがたみの大工道具、雲海の城と御留菓子、菓子で巡る旅の思い出、の4つの連作短編。小萩と伊佐が世帯を持ちましたが、果たして、この先どうなるんでしょう。心配です。
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日本橋牡丹堂シリーズ第九弾。
伊佐との祝言を経て、小萩は新しい生活へ。菓子への想いもまた。
牡丹か萩か、祝い菓子・・・祝言と新居の準備に力を尽くす。
そんな皆の気持ちを大事にしたい。菓子は二人を繋ぐ縁。
忘れがたみの大工道具・・・初めての長屋生活に慣れてきた頃、
伊佐が貰った亡き大工の形見が騒動を起こす。
雲海の城と御留菓子・・・見世に山野辺藩の顔になるような菓子の
依頼が。だが小萩は千草屋のお文の縁談が気になる。
菓子で巡る旅の思い出・・・某氏の話から、お文の覚悟を知る小萩。
では自分は?菓子への想いは何処へ?水江の言葉や
お滝の出産を経て、未来への気持ちを巡らせる。
そして、御留菓子は・・・。
夢を持つのは大事。夢を描かなかったら、その日は来ない。
水江の言葉が胸に染み入ります。
新妻、初めての長屋生活。そして伊佐と暮らす日々。
暮らすことで知る相手のこと、出産で生まれる親としての決意。
だが、ふと忘れてしまいそうになった、菓子への想いは、
お文の覚悟や、この水江の言葉により、未来への想いへとして、
心に刻まれたようです。何時かは自分たちの見世を持ちたい!
それにしても幹太の成長の著しいこと。
また、裏では勝代が何か企んでいる気配がします。
それらと、お文の今後のこともあり、次巻が楽しみです。 -
牡丹か萩か、祝い菓子/忘れがたみの大工道具/
雲海の城と御留菓子/菓子で巡る旅の思い出
やっと祝言を上げた小萩と伊佐。住むところも変わる小萩にとって新生活はどんなことになるのかな。 -
おめでとう!おめでとう!
伊佐がまぁ丸くなって…まぁかわいい。
長屋の人はちょっと面倒な人も多そうだけど、お寅さんみたいな人がいると(面倒だけど)安心かな。
これからの小萩も楽しみ -
よかったね、小萩ちゃん
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御留菓子食べたい
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小萩と伊佐が祝言を挙げました。
結婚で「めでたしめでたし」とならないのが現代風ですね。
仕事と家事育児の両立に悩むのが主に女性だけというのは、今も昔も変わらない。
お文さんの生き方に口を出すのは余計なお世話すぎではありますが、頑なで心配という老婆心もわからなくはないです。
お店を軌道に乗せたお文さんを理解し支え、助け合えるお人とのご縁があればいいかもしれません。
夢がないといけないとは思いませんが、小萩と伊佐夫妻で営むお店を夢見るのは自然な流れかと。
小萩の願いが叶う時まで、シリーズが続くのでしょうか。 -
202203/日本橋牡丹堂シリーズ第9弾。幸せな新展開で何より。特段好きなキャラはいないけど、ほんわかしてて楽しめるので次巻も期待。