はじまりの空 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(六) (光文社文庫 な 43-7 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)
- 光文社 (2020年7月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334790479
感想・レビュー・書評
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はじまりの空 ― 日本橋牡丹堂 菓子ばなしシリーズの6作目
2020.07発行。字の大きさは…中。
書けない戯作者は春しなむ、猫が運んだ福つぐみ、父と母の蓬莱山、珈琲に合う金色羹(こんじきかん)の短編4話。
鎌倉のはずれの村から菓子が好きで、菓子作りがしたくて江戸へ出て来た小萩が、牡丹堂の皆に助けられて、菓子に係わっていく物語です。
看板→『菓子調製処 小萩庵 ひとつからご注文をお受けします』
牡丹堂の主人・徹次が小萩を呼び、小萩を名指しした注文も増えてきた。ここらで看板を出した方がやりやすいだろうと、言って大きな看板を店の入り口の脇に掲げます。
それからすぐ小萩を名指しで来た注文が山野辺藩の杉崎様の強い紹介で、書けない戯作者・恋川さざ波に、歌舞伎の脚本を書けるようにするため菓子の注文が来ました。
【読後】
小萩が作る菓子が素敵です。恋川への菓子は、道行から凝っていて最後に菓子を食べて恋川がすっかり元気になって、歌舞伎小屋の市村座は、立ち見が出るほどの大評判になります。
固定観念にとらわれず新しい発想と、小萩を応援してくださるお客様のもとでのびのびと成長して行く小萩を見ていると、心がほっこりしてきます。
2020.09.08読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
18歳になった小萩は「菓子調整処小萩庵」の看板を貰った。
牡丹堂や縁のある人々に支えられ、自分の菓子に取り組む。
書けない戯作者は春しなむ・・・戯作者が台本を書く気にさせる
菓子の依頼。西行?差し伸べられたのは、菓子の縁。
猫が運んだ福つぐみ・・・猫がいなくなって気落ちしている女性に
菓子を届けた小萩だったが・・・。菓子のご縁、猫のご縁。
父と娘の蓬莱山・・・男性向けの菓子の依頼が入る。
見世を出したお景からは粋な男が手に取る菓子。
薬種屋の娘からは父に贈る菓子。そしてもう一つ・・・。
珈琲に合う金色羹・・・牡丹堂への山野辺藩の依頼は珈琲に合う菓子。
薬種屋の禄兵衛との縁、帰ってきた鷹一との縁が味を添える。
小萩と牡丹堂での出来事の連作短編です。季節は夏。
小萩庵で注文の菓子を考案し始めた、小萩。そして、
牡丹堂で新しく働き始めた清吉の様子が中心になっています。
素直で一生懸命だが、何か事情がありそうな理由が、徐々に
明らかになってきます。悲しい過去とパワハラ、トラウマ・・・。
でも牡丹堂の面々の一致団結な温かさ。ここで働けて良かったぁ。
あの勝代のブラック企業な経営ぶりもわかってきました。
が、どうも彼女周辺も気になる動きが・・・こちらがどうなるかも、
気になるところです。
そして、弥兵衛の、薬種屋の禄兵衛の、思い出話と娘への
父親の気持ち、商売への志の語りは、しっとりとして良かったです。 -
2020年7月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ6作目。書けない戯作者は春しなむ、猫が運んだ福つぐみ、父と娘の蓬莱山、珈琲に合う金色羹、の4つの連作短編。10才の清吉が、新しい仲間になるお話と、小萩が考える新しいお菓子の話が楽しいです。次巻が待ち遠しいです。
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看板出してもらえるなんて!
小萩の成長を皆が認めて応援してくれているのがわかって気持ちがほっこり
体に染み付くほどのつらい経験、清吉の来し方を思うと不憫でならない…牡丹堂の一員になれてよかった
お景さんがますますしゃっきりしてきて格好いい -
Audibleで。猫のみーちゃんの話が好きで何度も聞いた。
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相変わらずいい話。
読み続けても、どこでやめても問題ない、そんな優しい作品。 -
202112/シリーズ全8巻まとめて。江戸の菓子屋が舞台というのも好みだし、読みやすく面白かった。主人公が、菓子に見せられ鎌倉で旅籠を営む実家を飛び出してきたわりには、菓子への情熱や職人としてのひたむきさがあまり感じられないのでそこは残念。でも職人らしい気難しさもありながら気のいい菓子屋の面々や、我が道をいく呉服屋の女将お景など、周囲の人々の描写も魅力的で、楽しく読めた。
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次作で大きな動きがありそうな予感!!
珈琲って単なる当て字だとおもったらそんな意味があったんだ! -
小萩庵という、看板を貰った小萩。どんなお菓子が良いのか、あれこれ考えるのは難しいけど楽しいのだろうな。さて、牡丹堂に、口入れ屋が連れてきた少年。もうね、健気な子供が出てくるだけで応援したくなっちゃうのよ。良いお店に来られてよかったね。一生懸命働いて幸せになるんだよ