貌(かお)なし

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 65
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910549

感想・レビュー・書評

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  • 憲法で定められている基本的人権の尊重。それさえも保障されない「無戸籍」の人々。
    現代日本でこのような人がいること自体、信じられないが実際に1万人ほどの人がこの境遇に身を置いている。

    以前NHKのクローズアップ現代で、この無戸籍者の人を取り上げていたことがあった(色々と問題が取り沙汰された番組ではあるが、この回がそうだったわけではない)。
    にわかには信じがたい事実。法的弱者を助ける弁護士でさえ、救済しているのはごく僅かな印象だった。

    そういったにわか知識をもって読んでみたが、本当に過酷としかいいようがない。
    最近は法務省でも無戸籍者への呼びかけをホームページで行なっているようだが…。時代の急速な変化と古すぎる民法との乖離、その狭間に落ちてしまう人々の抗いようのない姿が如実に描かれている。本書の発行は2015年だが、四年後の今どれだけ状況は変化したのだろうか。2019.9.29

    • やまさん
      ロニコさん
      こんばんは。
      やま
      ロニコさん
      こんばんは。
      やま
      2019/11/09
  • 24無国籍を救済すること、不法滞在者を混在させないこと、旧態依然の家長制度の残滓と折り合いをつけること。難しいけど権利としての生存権を重要視して欲しいです。

  • 11月-3。3.5点。
    主人公の女性、母と妹を亡くしており、父親が突如失踪。
    父親を探すと共に、過去も調べていく。

    無戸籍の問題。丁寧な記述で読みやすい。
    身につまされる話だった。

  • 図書館で借りた本。評価は星4つに近い3だな。主人公の香の父親がある日突然行方不明になり父親を探す話だが、追跡していく毎に哀しい真実も知る事になる。無戸籍児が日本で生きていくには過酷な現実が有る。離婚後再婚した場合、300日以内での出産は前夫の子とみなされる。前夫がDVする人間で親子関係無しの証明を取る為の話し合いや裁判も無理なパターンだったが、他にも無戸籍児になった事例は出てくる。戸籍が無いと就学、社会保障や免許証など様々な面で不都合が生じ子供の未来が閉ざされてしまう。本書はミステリーなので父親の行方を捜すのがメインではあるが掘り起こさる父親の人生が哀しいながら贖罪も明らかになる。

  • 無戸籍だと世の中に存在していないのと同じ扱いになってしまう。おそろしいことだ。基本的な社会的なサービスを受けることができない。

    子供には落ち度がない。親が届出を出さないからいけないんだと思っていたけど、どうしても届出を出せない理由があって困っている人がいることを知った。逆にお金を出して不正に戸籍を手に入れて、他人に成りすましている人もいる・・・矛盾している気がする。だからといって、右から左へとホイホイ戸籍を与えればいいという問題でもないと思う。それをビジネスにするような悪い奴もいるだろうし・・・難しい。

  • 初めて読んだ作家さんだし、テーマでした。
    全く私の中では現実感がないのですが、法務省のHP見たら今でも存在するんですね…。
    にわかに信じられないし、法務省のHPで無戸籍者の方は連絡して下さいで呼びかけ出るのを見て、寒気しました。
    なんでこんなことがあるのか、途中泣けてしまいました。
    基本的人権の尊重、どんな人であれば憲法の下、守られてるはずです。

  • 失踪した父の行方を追う娘の前に、次々に明らかになる事実…。父の過去と娘の捜索が交互に描かれ落ち着かない。結果として読みにくく、訴求力のない作品になてしまっている。代理処罰、無戸籍者問題と、重いテーマを描くが、書ききれていないもどかしさを感じる。ごめんなさい。

  • 何らかの事情で無国籍な状態で過ごさなければならない児童をベースとし、自分の過去の過ちを悔い、自分が犠牲となり再度その罪を負わせる。

  • 160122図

  • 並行して進む2つの話がだんだん1つになり真相が徐々にはっきりしていく。無戸籍という社会問題をテーマにしながらそのことで一生悩み誠実さを失わなかった一人の男の生き様を描くサスペンス。香にとっては父親像が変わったばかりでなく生き方まで大きく変わることだろう。

  • とつぜん失踪した父親を追う娘は・・・。「無戸籍」がテーマのサスペンス劇なのですが、今の日本でこんなに簡単に「無戸籍児」が生まれるという事実には圧倒されました。この書をきっかけに民法が見直されると良いのですが・・・

  • 無国籍

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    突然失踪した父。行方を追う娘は、父が25年前の殺人事件の法廷で、被告に有利な証言をしていた事実を知る。真相を求めて父の過去をたどる娘は、「無戸籍」という不条理な境遇に生まれた彼の、あまりにも過酷で無慈悲な人生に向き合う。『代理処罰』で第17回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した著者渾身の書下ろし長編ミステリー!

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著者プロフィール

1961年、 千葉県生まれ。東北大学理学部卒業、東京工業大学大学院修了。国際宇宙ステーション利用業務に従事。2013年、『代理処罰』で第17回日
本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。
著書に、無戸籍者の苦悩を描いた『貌なし』、国際宇宙ステーションでの国際テロを描いた『天穹のテロリズム』、死刑制度に翻弄される者の
悲哀を描いた『死刑狂騒曲』など。

「2022年 『ここでは誰もが嘘をつく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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