地に巣くう

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910631

感想・レビュー・書評

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  • 弥勒シリーズ 6

    心に虚空を抱える同心・小暮信次郎。
    人斬りの往昔を背負って武士から商人へと形を変えた・遠野屋清之介。

    遠野屋に拘る、信次郎。
    その信次郎から目が離せなく、いつの間にか、事件の解決に手をかしてしまう、遠野屋。

    身を守るためとは言え、急所を外したとはいえ、とうとう人に刃を向けてしまった、遠野屋。
    商人として全うしたい遠野屋はどうする。

  • たとえ肉親であろうとも、情なんぞには欠片も揺るがない。さりとて罪を赦さぬ正義感ではない。興が乗るかどうかだけのこと。信治郎は、亡き父が墓場に持って行ったはずの闇に触手を伸ばす。背後で巣くうのが手に負えぬ巨大な闇だと悟っても、コトが難解であるほどにそそられた心は収まらない。その異様な凄みを改めて示す。対して清之介は、自身に潜在する闇を、凄みを懸命に抑え込む。それを嘲笑い、本性を露わに生きやがれと誘う信治郎に恐れつつ、心は揺らぐ。それにしても信治郎、今回はたやすく毒を盛られ運に任せて生き延びたのはらしくない。

  • 相変わらずの信次郎で嫌味たっぷりだが全体的には楽しめた。
    今回は仕掛けも敵も大きく、清之助も遂に太刀を手にする場面がある。
    もう一作くらいは読みたい。

  • 遠野屋清之介の生き方を誤魔化しとしか見られない町方同心の信次郎、魔力のような彼とのかかわりを断ち切れないながらも商人として生きようとする清之介、彼らの剣呑な関係に危うさを感じ仲を取り持とうとする岡っ引きの伊佐治。
    三人三様の心奥を綴りながら、人間の心の闇を活写する『弥勒』シリーズ。
    今後どういう決着が待っているのか、清之介は信次郎の思惑に絡め取られてしまうのか、ハラハラドキドキ、読み手の心も絡め取られ、このシリーズはまだまだ目の離せない。

  • 信次郎の父親、右衛門についてあきらかになった。
    信次郎の父親が何もない訳ないだろうなぁくらいに思ってたけど、まさか抜け荷の片棒担いでたとは。
    さすがにこれは予想外だった。
    伊佐治がべた褒めするし、信次郎の印象も悪いものではなかったから何か裏があったとしてもこういうのではないと思ってた。
    抜け荷かぁ。それに口封じと島流しまでしちゃうとは。
    島流しも口利きしてやると言いつつしないで、ご赦免願いも出さず。
    信次郎の父親がまさかこんな人物だったなんてな。
    信次郎もさすがに驚いてたし、見直したらしい(笑)
    見なおしたというあたり流石信次郎だわ。

    遠野屋、ついに刀を抜いてしまった…。
    信次郎の思う壺なんだろうな結局。
    あの隙は偶然だったかもしれないけど、それでも抜かせる算段をしてたんだろうな。
    脇差を投げ渡すってとこも細かい伏線なんだろうなあれ。
    遠野屋、刀を抜いた割には予想よりも冷静だった。
    今回、遠野屋は信次郎が自分にとっておりんと対極の位置に並ぶ唯一無二だとはっきりと自覚したから、この部分が大きいんじゃないかと思ってる。
    あの遠野屋がねぇ…としみじみしちゃったよ。
    信次郎のことをついに唯一無二だと自覚した遠野屋に謎の充足感が(笑)
    余程自分にとって感慨深いことだったんだな。
    同じ気持ちの読者さん、きっといるはず…!

    弥勒シリーズは巻を増すごとにキャラ達が自分について考え、思い至るよな。
    こういうとこが本当に好きだし、このシリーズの魅力な気がする。
    今回、遠野屋が信次郎の内面に切り込んだのは伏線だと思っていいのかな?
    期待してしまう(笑)
    信次郎は自分の正体を知るのが怖いのか…。
    どうなんだろうなぁ。
    自覚して必死に目を背けてる、とか有り得そうな気がしなくもない。
    自分の正体を知った時の信次郎の反応がとても気になる。

    このシリーズは毎回次が出るまで待ち遠しい!
    早く続き読みたい。

  • 「弥勒の月」にはじまったこのシリーズ6冊目。同心木暮信次郎と、岡っ引きの伊佐治、途中から加わった遠野屋の主人清之介。今回の謎解きは、信次郎の父と関わっているので、伊佐治は落ち着かない。
    物語は主に清之介と伊佐治の、心の内を語りながら進みます。理詰めで解いていく信次郎と、過去を封じ、今は商人として生きる清之介の行き詰まるやりとりが、ねっとりして、やりきれなくなる頃に、伊佐治が人間らしい対応を差し挟む、その間合いが絶妙。台詞が多すぎるところもあるけど、江戸ことばが調子よいですね。
    私には映画の脚本を読んでいるような小説です。謎解きは、今回半分当たったので嬉しい(←推理小説が苦手)

    それにしても、いくつものシリーズを抱えて、しかも、どれも面白いあさのさん。次の話が待ちきれません。
    「ミヤマ物語」は3部作でよかったけど、「燦」、おいち不思議語り、「№6」、どれももう少しまとまってから読もう。と思いつつ、つぎはどのシリーズを読もうかと考えてしまう私です。次を待たされるのに・・・。

  • このシリーズは最高に痺れます!
    主人公、二人の緊張感がなんとも言えず、巻を重ねる毎に高まっていくようで、ある意味最高のコンビです。その緊張感を和らげる役目の親分がまたいい味出ています。こんなに最新刊が待ちどおしい本もないです。ずっと続いて欲しい!
    今回のセリフで痺れたのは、「殺してやってもよい」 清ノ介、かっこいい!
    個人的には、信次郎のが好きですけど……

  • 面白かったー。もっと読みたい。

  • 信次郎と清之介の間の空気感を例えるなら、じりじり、いやひりひりか。
    その間で常に自分の立ち位置を意識している伊佐治と。
    そんな張りつめた状態から抜けられなくて、一気に読み進めてしまった。

    ただ、最後の事件の種明かしがやや性急に感じられて、少し物足りなかった。

  • 2022.03.14

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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