人間性剥奪

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911027

感想・レビュー・書評

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  • 中学の給食に毒物混入。そのクラスではいじめに似た「結界」という行為が行われていた。被害者はいじめの被害者側と加害者側。なので教室という密室の中での犯人当てだと思ったら親とか塾講師とか出てくるし犯行声明なんか出て世間を揺るがす大事件に発展するし。の割には小さくまとまった印象。派手なタイトルに派手な結末を期待したせいか。

  • 「人間性剥奪」
    教室内で突如起こった、毒物混入殺人事件。


    ★あらすじ★
    <blockquote>
    都内のとある中学校の給食時間。突然、複数の生徒が苦しみ出し、五人が病院へと搬送、うち二人が死亡した。デザートのフルーツみつ豆に毒物が混入されていたのだ。捜査を担当することになった刑事の岩崎尚子は、給食時の座席表を見て、被害者のひとり宮内祐里の席のまわりだけが、ぽっかりと空いていることに違和感を覚える。さらに生徒が撮影したスマホ動画を調べていると、皆が混乱しているなか、奇妙な動きをする男子生徒を発見し。
    </blockquote>


    無差別殺人の現場となった中学校ではいじめが蔓延し、後に犯行声明を発表する”人間性”は、更なるテロを予告する。根底になるのは曲がった正義。その正義を実行しようとする”人間性”、そして忘れるべからず”報道”が、事件を皿更なる混沌へ導く。そんなミステリーです。


    犯人と思しき人物、刑事 等複数の登場人物の視点で物語が進行し、犯人候補がどんどん出てきます。一人の犯行に対して、別の人間が犯行を被せ(犯行を行うことを人間性を剥奪することで出来ると、この小説では言い表している)、読者を惑わす設計になっているように思います。


    一番、恐ろしいのは担任の女性の先生。女子トイレを盗撮したことを自白する際、”!”が出てくる表現に違和感が合ったのもあるのですが、介護の資金を稼ぐ為に盗撮に走るとは。恐ろしい。因みに盗撮を買っていた業者の逮捕から、彼女の犯行が露呈するのですが、結局、彼女の言い分が正しいのか業者の言い分が正しいのかよくわからず、話は終わってしまいます。全体的に、犯人候補がどんどん出てくる割には、その犯人候補が犯人ではなく別の犯行をしていたとわかると、さくっと描写は終了する傾向が強かったかなと思います。真犯人ではないにしろ犯罪は犯罪なのだからもう少し描写を描き切ってもよいような・・・。


    全体的に警察は振り回されっぱなし。唯一一人の刑事だけが、真相についていくのですが、この刑事は主人公ではない立場で出てきたと思いきや、結局、彼がメインでしたw。犯罪者の思考が分かるという点では草彅剛主演「スペシャリスト」の宅間と若干似ていますね。ちなみに、この刑事、一時犯人ではないかと疑われる始末。どうして犯人説が浮上したのかしっくりこないけど。


    ミステリーとしては、さくっと読める仕上がりになっています。複数の犯行が被さって、本当の犯行が隠れ、最後に真犯人が出てくる。いったい誰が真犯人かを考えながら読み進める点は、王道を踏んでいるかなと思います。


    人間は、人間性を剥奪するからこそ、犯行を犯す。だから真犯人の動機はすごく直感的なものだったんだろうと思います(おそらく、これが動機?と感じると思いますが、結局人が犯行を犯すときは、そんなもんだということを言いたいのではなかろうかと)。

  • 意外と軽く読めた
    もっと重苦しい話かと思いきや、展開も早いし、変な説明めいたところもなく(ちょっと状況は察してみたいなところがあるけど)
    犯人の目星は早いうちに想像がついたんだけど、犯行の理由がなんだかなぁ…と
    伏線もちゃんと話に綺麗に繋がってて良かったけど、最後がなぁ…
    もったいない

    2016.829読了

  • ミステリ。サスペンス。いじめ。中学校。
    なかなか複雑な物語。
    思わせぶりな展開が続きながら、真相は少しインパクトに欠ける気もする。
    それでも、非常にテンポが良く、先が気になる展開に一気読み。
    なかなか楽しめた一冊。著者の他の作品も気になります。

  • ブクログの献本に初めて当選した!!!凄い!嬉しい!お茶でもいれて早速読もうかな。
    ↓↓
    タイトルだけ見て、グロテスクな話だったらちょっとしんどいかなあ…と思ってたけど王道ミステリーで安心した笑
    話の舞台は現代ど真ん中だけど雰囲気は平成初期って感じがする。メディアの位置付けとか捜査のアプローチとか。
    フィクションなのは分かってるけど、この事件は実際に起こってもおかしくないなあと思った。嫌な時代やねえ。

著者プロフィール

1960年埼玉県出身。北大教養部理Ⅲ系中退、一橋大学経済学部卒。2010年『ラガド煉獄の教室』で第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。著書に『人間性剥奪』『ブラッグ』『ハンザキ』『困った作家たち』など。ショートショートから長篇まで、幅広く執筆している。twitterで「両角長彦の140字小説」発信中。

「2020年 『ある実験 一人選べと先生が言った』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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