新選組の料理人

著者 :
  • 光文社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912222

感想・レビュー・書評

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  • 二本差しが気がついたら料理番!それも泣く子も黙る鬼の新選組の屯所において…いやぁ~発想が面白い。確か健康面や食生活などは文献に見ると近藤勇が狙撃され、その傷の治療のために屯所に通った松本良順が徐々に改善していったとどれも書いてあるんですけどね。それにしても痛快

    「新選組の料理人」

    賄い方が気が付くと監察の山崎丞のような働きをみせれば、やはり基本的には武士には向かない、どこか一つ抜けている感はある。

    左之助に妻子を託されるものの鉢四郎の足は敗戦で足取り重い隊列へと進む。中途半端に終わりだが、ここまで作ったのならいっそのこと江戸、奥羽、蝦夷と進みいろんな地域で料理をするその時代のグルメ系の本にでもと思ってしまう。料理人というならそこまででもありかと

  • 剣の腕はからきしだが、料理の腕には自信のある武士・鉢四郎は、京都の大火で町民のための炊き出しを命令された原田左之助にその腕を見込まれ、半ば強引に新撰組に入隊する事に。ただの賄方のはずが、スパイやら勘定方やらさせられる中で、意外と隊士の様子や、めまぐるしい幕末の情勢やらに目が効いていたりする。武士でありながら、そんな肩書きを意識していない鉢四郎の目から見た新撰組、幕末の模様が面白かった。この後、鉢四郎はどのように戦乱を生ききったのだろうか…

  • 火事の炊き出しで左之助にスカウトされ新選組の賄方になった、巻き込まれ主人公が見る新選組。左之助の物語でもある。時勢が変わっていくのを止められない切なさがありました。タイトルから想像してたグルメ要素はなかったです。おにぎりは美味しそう。

  • 20181026読了
    #食

  • 幕末新選組を賄い方の視点で描いた歴史小説。

    架空の賄い方の鉢四郎ではカバーしきれないと思っていたら、著者の新選組もの前作「颯爽録」では取り上げられなかった原田左之助をもう一方の主人公として、史実を網羅していて物語としての完成度を挙げていると思いました。
    ちなみに新選組のキャラは前作を踏襲していて、門井新選組としてシリーズ化してもよいと思います。
    ラストが中途半端でその後の展開を読者に任せるのはちょっと物足りないです。
    自分としては、左之助と最後まで一緒なことを望みますし、できれば死なずに左之助の最後を伝えるという展開を創造したいです。

  • 主役はひょんなことから新選組の賄い方として雇われた“菅沼鉢四郎”が主人公だけど、賄い方の目線では見えない部分の場面も多くて、結局は新撰組の話。だし、決して新撰組をヒーロー視はしていない角度から描いてあるかんじ。
    いま考えると新撰組も龍馬もある意味極悪人でもあるよなあと思いつつ読んだ。なんというか、タイトルから期待したよりもずっと、調理や食に関する描写などの割合が低かったので、あれっ?て読後感ですが、新撰組のたとえばストーリーとしては、きっと好きなひとは好きだろうとおも、います。
    この方の「銀河鉄道の父」も良い評判きいてるからまたさがしてみよう。

  • これといった特技のない男だった菅沼鉢四郎は、料理の才能があることに気が付き、新選組の賄方(料理番)となる。本書は賄方から見た幕末を描く。武士の視点ではない日常の新選組が描かれ、武士の矜持だけでなく、男としての弱さや、政治での駆け引きなど、歴史書にはない視点で新選組を知ることができる。どこまで史実に忠実なのかは分からないが、当時の空気感が読み手に伝わってくる。

  • ひょんなことから、新選組の賄い方(料理人)として採用された、菅沼鉢四郎の目を通して、江戸末期から明治へと続く、時代の流れと新選組の盛衰を描く。
    菅沼さんも剣の腕はからっきし、世渡りもえまくなく、奥さんには愛想つかされて、というかわいそうな人という感じ。
    新選組隊士として出てくる人たちが、大河ドラマのキャストで脳内変換される(^-^;。

    収録作品:新選組の料理人 ぜんざい屋事件 結婚 乳児をさらう 解隊

  • 新撰組の賄い方をやることになった青年のおはなし。

    新撰組に詳しいとさらに楽しいのかも知れない。

  • 思わぬきっかけで新撰組の賄い人として入隊することになった菅沼鉢四郎。
    いわゆる剣人とは全く真逆にいる彼から見た新撰組。
    新撰組の在り方が変化していく丁度その時に入隊したために、新撰組という組織も、近藤や土方を始めとする新撰組の面々の変化も描かれている。
    菅沼の、胆が据わっていないんだか据わっているんだかよく分からないキャラクターがなかなか魅力的。
    剣人や武士というよりは町人に近いような感覚の彼視点でずっと描いて欲しかったが、彼は下位の人間なので仕方ないか。
    時代の激変に沿って、新撰組が組から軍へ、剣から銃や大砲へ、守護組織から闘う組織へ、武から政へと変わっていく新撰組。
    その結末は分かっているだけに、菅沼が新撰組の変化を敏感に感じとり違和感を感じつつも付いていくしかない姿は切ない。
    でも彼もまた彼なりの覚悟や意志を持ってのことだからそれで良いのだろう。

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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