洗濯屋三十次郎

著者 :
  • 光文社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912352

感想・レビュー・書評

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  • クリーニング業の歴史と日常の謎をからめつつ展開する、ほのぼのとしたお話。

    一見能天気だけど、優しい三十次郎。
    シミ抜きの技術は誰にも負けない、ベテランの長門。

    パートやアルバイト、常連客とのやりとりもテンポよく、和気あいあいとした雰囲気。
    ときにじーんとくる。

    小学校時代に安室奈美恵やKinkiKidsを聴いていた世代の名前が、三十次郎と民子なのに、違和感。

  • 登場人物の思いがストレートにはわからなくて、行間をしっかり読みこんでいく、想いを馳せていくことが必要で、少し読むのに苦労したところもありました。

    三十次郎はふわふわしていて何事にも深入りしないキャラクターですが、ここぞと決めた時には周りを大事にする決断をできる、優しい人だなぁと感じました。
    「だいじなだれかが生きてるって、その時間を目に映せるって、それだけですげぇことなのに」
    という三十次郎のことばが、胸に残りました。

  • 東京にほど近い神奈川の私鉄沿線にある古ぼけた商店街の中で営業をしている中島クリーニング。
    腕っこきのシミ抜き老職人荷山長門と、なんとなく店を継いだハリボテの店長、三十次郎。
    なんとも言えない凸凹コンビのふたりが、クリーニング店に持ち込まれる衣服を片手に、少しずつ変化する日々を生きる様を描いている。
    何というほどもない大きな事件はない毎日の積み重ねが人の関係や気持ちの変化をかたちづくっていくんだなあ、ということがふわりふわりと伝わってくる。

  • 内容は堅苦しいこともなく読みやすい方だと思うのになぜか読むのにすごく時間がかかった。
    面白くない訳でも無いのに不思議。

  • 図書館で借りたもの。
    優秀な兄に代わり中島クリーニングの店長を継ぐことになった三十次郎と、先代の時から仕えてきた荷山長門。どこかかみ合わない2人のもとに、ナコという少女がケチャップの染みと祖父の遺灰がかかったブラウスを持ってきて…。
    初読みの作家さん。

    クリーニング屋にまつわるちょっとした謎ときとか。
    先が気になる話じゃなくて読むのに時間かかった…。
    装丁は可愛い!

  • 面白かった。
    自分で毎日洗濯するようになって、洗濯機では洗えないもの、手洗いしないといけないものって、手がかかるなあってしみじみ思うようになった。
    特にお気に入りのものは丁寧な仕事をしてくれるクリーニング屋さんに持って行きたいけど、チェーン店ばかりで昔からのお店は跡継ぎいなくて閉まっちゃうし、中島クリーニングみたいな店があったら、季節の変わり目には絶対行くのになあ。
    冒頭、血だって染み抜きできる、とかゆーので、
    ミステリーものかと思ったけど、
    まあ、なくはないけど、どっちかというと人情もの。
    ザ、プロ、な染み抜き腕前の結構なお年でも女性に大人気な長門さんと、急にクリーニング店の店長をやるはめになったなんだかぼーっとしてるっぽい、けど意外と繊細(?)な三十郎が、だんだんといい相棒な感じになっていくとこが好きだな。
    こーゆーひとつの職場が家族のような関係をもってるってゆーあったかさが、ほっとする。
    出てきた人がそれぞれ関係していって、染みをつけたり、ぬいたり。
    三十郎の初恋は残念ながら実らなかったけれど、
    生きてるアイロンかけられるようになったし、
    良かったよね。
    と思う。
    母親からの言葉は呪いの言葉のなることが往々にしてあるのは何故なのか。
    あったかいシャツって幸せな感じ。

  • 継ぐ気のなかった実家のクリーニング店を継いだ三十次郎。
    染み抜きの達人・長門に、繕いが得意な大塚さんという二大ベテランとお調子者だが出来る若者良平という社員に囲まれて、特にやることもない。

    三十次郎が幼いころから感じていた、取らなくて良いシミ、邪魔にならないシミというテーマが全体を優しく覆いながら、店に現れる様々な客や三十次郎や長門らを取り巻く人々のドラマが描かれる。
    アンバランスのようで上手く収まり、寂しいようでちゃんと囲まれている。
    三十次郎の初恋の顛末は意外なようで結果的にはこれで良かったようにも思える。

    畑違いのクリーニングという仕事に前向きになったように、プライベートにも前向きになって欲しいけど。

  • ええ〜。
    みそちゃん、自分のことガンバって。

  • 店長、そこは押しでしょ!

  • 優秀な兄に代わりクリーニング店の店長を引き継いだ三十次郎。しかし、ベテラン職人の長門は、能天気な三十次郎に不安を感じていた。ある日、お店にナコという少女がブラウスを持ちこんでくる。ブラウスにかかった祖父の遺灰は取らないで、というのだが……。

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著者プロフィール

作家、イラストレーター。ニューヨーク在住。98年「パンの鳴る海、緋の舞う空」で小説すばる新人賞受賞。主な著書に『フラグラーの海上鉄道』『宇宙でいちばんあかるい屋根』『カチューシャ』『世界のはてのレゲエ・バー』『おどりば金魚』『チェリー』『犬のうなじ』『ぴしゃんちゃん』『鴨とぶ空の、プレスリー』『海鳴屋楽団、空をいく』『つまのつもり』など。

「2016年 『虹の巣 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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