平場の月

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912567

感想・レビュー・書評

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  • すごくよかった!
    小中と同級生だった男女が50歳になって地元で再会。お互いいろいろあって「平場」な、つまりは庶民的で冴えない生活を送っているけど、孤独な中高年の侘しさを埋めるだけの関係ではない、本当の純愛が描かれていて、胸が締め付けられるようだった。

  • 登場人物は皆どこにでもいそうなザ・庶民。中学の同級生男女が50歳になって再会。中学時代2人の間にほろ苦い小さな思い出はあるものの、その後は全く別の人生を経て何十年振りかで再会した2人に起こるなんとも切なく愛しい物語。ほんのちょっとしたはずみだったり思い違いによって会話の展開が変わってしまい…なんて事はどこにでも起こり得るけど、それによって欠けがえの無い大切なものを失う事になってしまったとしたらそれは悲劇。感情を映す仕草の細かい部分の描写や今風の会話から主人公青砥と須藤お互いバツイチ独身50歳の微妙な関係性が良く描かれている。

  • 話としては大きな盛り上がりがあるわけではないが、主人公が本当に愛しているという行為をする日常、これをやせ我慢で受けたり受けなかったりする彼女とを、淡々と描いていて良書であった。

  • 直木賞の候補作を見てて、中年の男女の恋愛物語、てのにひかれて図書館で予約しててやっと回ってきた。(人気で予約数多かった)
    開いてびっくり、この目次なに?中年が主役なのに軽くない?読み始めてなんか文体も軽いし、妙に現実に寄せようとしてるのかLINEが出てくるのに(まあこれは現代のコミュニケーションツールとして必須なんだろうから仕方ないのかもしれないけど)、ラノベを読んだことないけどラノベじゃないのかと思いながら読み進め。

    そうこうするうちに文体には慣れてきたんだけど、主役の2人どちらにも感情移入できるような印象を持てず、キャラクターとしてもそこまで際立つものがない。情景描写にしても表現が絶妙というようなところはなく、その分無駄だなとはしょり読み。それに須藤、頭のいい人だろうとは想像つくけど、それをわざわざ直接表現する必要はないし、てかそんな人が首をかしげるポーズをしょっちゅうとるもんか、という違和感。

    でもストーリーそのものはまあよかったかな。中年になってからの恋愛の難しさの部分がよく出てたと思う。

    けどやっぱりこれが直木賞候補だったのか…と感じた読後。

  •  心に沁みた。
     50歳を過ぎた二人の心のやり取りは、やはり50歳を過ぎた僕の心にしみ入り、最後の1ページに入ったところで涙があふれた。

     小説の舞台である朝霞や新座、志木といえば、1時期生活圏にしていたこともあり生活の雰囲気がわかる。中学校の同級生グループの緩い囲いの中で、各々の暮らしに立ち入る距離感の疎ましさも想像できる。その中でこそ育まれた、想いのやり取り、いや、思いやりのやり取りか・・・が、切なく、心に染み入った。

  • 友人の評価が高めだったので興味を持ち、読んでみました。
    アラフィフの純愛を描いた作品です。

    著者が、ガン治療についてとてもよく調べていることを感じました。

    闘病についての描写がリアルで、ヒロインが一生懸命現実と向き合おうとする様には感動したし、心の揺れなんかにもドキッとしたりして。
    30代で逝った友人のことを思い出してしまいました。
    彼女も落ち込んだり立ち向かおうとしたり、揺れ動きながらも最後まで社会復帰に向けて頑張っていましたから・・・

    が、全体としてはとても読みづらく(特に前半)、私の評価は低めです。

    まず、主人公の彼は「青砥」と呼ばれ、ヒロインは「須藤」と呼ばれる。
    三人称的に進行する箇所も一人称的な箇所もかまわず、「青砥は」「須藤は」で統一されているのが不自然に感じて仕方ない。
    それから、会話で進行する箇所が多いのに、ブツ切り的な会話が若い子っぽくて幼すぎる。中年の男女とは思えない。
    特にヒロインは、50代女性の設定とは思えないほど言葉遣いが悪いため、若い男性同士の会話のようでどちらが話しているのかがわかりづらい。などなど。

    そもそも出だしから現実のシーンの中に唐突に回想をいれるので混乱しました。ココが売店なのか花屋なのか、現実なのか回想なのか、皆スッと理解できてるの?
    少なくても私は置いてけぼりにされました。出だしから何度も読み返さなければならないなんて!!と不満です。

    文章力がない、という印象ともちょっと違うので私自身の読解力に問題があるのでしょうが、内容云々の前に読みづらさが気になって、ストーリーに集中出来ませんでした・・・
    本当は色々思うところはあるんです。
    例えば、同じ生い立ちの姉妹でも50年経つとこんなに違ってしまうんだ、やっぱり、自分も他人も許せない人生って幸せになれないよね、としみじみしたり、男性の幼さの描き方が上手いなあと思ったり。

    編集者がもっと口を出してくれればよかったのに、などど思わずにはいられない作品。。

  • 泣けなかった。主人公二人に感情移入できなかった。屈折しすぎ。過去に大きな失敗をして、死を宣告されたら、そうなるのかなあ?人工肛門の話はリアルだった。勉強になりました。

  • 『さよならを待つふたりのために』を思い出しながら読んだ。10代があれならば、50代はこれということか。
    会話も2人のキャラもよかったのだけれど。須藤も意固地だなあと思ってしまう。

  • 令和2年元旦に読む本として選んだ。けど、お正月にはもう少し静謐な文章が読みたかった。ストーリーは悪くなかったし、切なくもヒロインに潔さを感じた。少し“太いし”冷たいなとも。文体はちょっと苦手なタイプかも。すみません。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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