一心同体だった

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914677

感想・レビュー・書評

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  • 一章読むたびに湧き上がってくる自分の思い出。
    開けてはいけないタイムカプセルの蓋を開けてしまったような気がしてくる。

    読後なんとも落ち着かなくて、明日から仕事(というかあの職場)に行けるかすごく心配になる。

    サウナいこ。

  • まさに「現代の女子の生態」を描いた小説。私たちが今まで通ってきた道を、恥ずかしいから振り返らずに急いで通り過ぎてきた道を、改めて丁寧に差し出されたような。

    “千紗は一人っ子だから、友達を、きょうだいだと思いなさいね”

    “人生は、友達と一緒には進めないんだ。”

    “私たちって交換可能な部品みたい。”

    “状況証拠を思いっきり無視して、男の人にも自分と同じくらいの、愛情や思いやりや、やさしさや、まっとうなハートがあるはずだと好意的に解釈するところが、女たちの弱点なんだとも知らず。”

     10代から40代までの女子が、どんなことをしてて、どんなことを考えてて、どんな目にあって、こんなふうになるのか。誰でも思い当たる節どころか、隠してた恥ずかしい時代をもう一度体験させられてるみたいな、もう、色んな意味で身を捩りたくなる話ばかりだ。そんな連作短編集。懐かしくも、恥ずかしい。あの時私もこうだったけど、こんなふうに表現できてたら。とも、思わなくない。

     子供の時は、ずっと一緒ね!と約束して、あっという間に他の子と仲良くし始めた子がいた。男子と喋ると「男好き」と言われた。かわいく着飾ることに照れがあり、わざとボーイッシュにしたり。サブカル好きをこじらせて、周りのかわいくしてる女子たちをバカにしてたり。結婚式に呼ばれるけど、そんなに仲良くなかったり。いつの間にか、結婚できない人という枠にカテゴライズされていたり。ふと気がつけば、周りには不倫相手しかいなかったり。なんかもーあーーーーーって走り出したくなる。そんなお話。

  • 面白かった。
    あー、わかるわかるという感覚と世代はズレるけど、当時の流行りなど懐かしい!
    ラストの「会話とつぶやき」はハッとさせられた。
    そうか、「女性」の立場ってそんなものだったのかと目から鱗というかしっかり文字にされると、ものすごく納得させられた。
    多様性の今だからこそ、女性の立ち位置って難しいんだなぁと実感。

  • 平成の時代に子供から大人になった自分にとってこの本はどの時代のどの主人公も自分のことで、友達のことで、あの子のことでもあって、女であることへのうんざりする感じも苦しみも楽しかったこと含め胸がギュッとなる。それでもどの主人公たちも懸命に今を生きている切実さが眩しい。

    女子は陰険で意地悪で悪口ばっかりで男子と一緒にいるほうが良いっていう女子の発言(実際たまに聞くし、私にもそう思ってしまう時があるのだけど)、そういう発言や思いに何とも言えないモヤモヤした気持ちがあったけれど、その原因や考え方の和解が最後に書かれていてすごく腑に落ちた。

  • 世代的にもドンピシャなので懐かしいし、女子の色々な感情が共感できて、なんだか身近な話に感じてしまった。

  • 最後の2章が特に好きです。登場人物と自分を重ね合わせて読みました。
    身につまされる箇所があったり、思わず泣けてきたり…。
    コロナスランプを乗り越えての1冊と巻末にありましたが、書いてくれて、出してくれてありがとうございます、の気持ちです。

  • これ女性にとって共感できるフレーズが絶対ひとつはあるんじゃないかな。女性っていつまでたっても女の子で、誰かと比べて悲しくなったり、嬉しくなったり...。本を読みながら、急に自分の物語の該当する時期のワンシーンを鮮明に思い出してしまう。なんであんな事したんだろうって情けない事や、逆になぜあの時、あの子は私にあんな事言ったのか。でも今では理解出来る。読み終えた後に懐かしさを感じました。

  • 平成の約30年間を舞台に複数の女性の人生が交差する連作短編集。地方都市×シスターフッドと称した瞬間に自分が本作を記号的にしか解釈できない男性であるように思えて情けなくなる。それでも「さすが山内マリコ」と言わせてほしい快作。全編に渡って元トモの話でもある。個人的には社会人になりカルチャーへの興味が薄れていく過程が描かれた『ある少女の死』が一番グッときた。

  • 「イノセンスは原点方式で、減ることはあっても増えることはない」
    確かに…深いい!
    エントロピーの法則の逆ですね。
    女性の話です。私は男性です。
    女子を覗き見た感覚になりました。多分20年前の私だったら読まなかったと思いますが、今の自分はほぼ一気読みでした。
    どれ位の女性が共感するのか知りたくもあり、知りたくなくもある。
    私からすると男と女を考えさせられる内容が詰まってた。女性が読むと全然違った感想になると思います。
    ぜひ男性にも読んでもらいたいです。特に大人の男性に!

  • 女性が生きていく上で目の当たりにした不当な出来事を綴っている。
    平成の30年史と共に描いているので、サンリオの鉛筆、交換ノート、幽遊白書、セブンティーン雑誌、アナ雪、などなど平成に流行っていた物が続々と現れて平成の懐かしさも味わえる。

    この本の中で、1つだけ心に留まった箇所を挙げるとすれば、恋愛至上主義というのは女の子の罠であるという所。
    一生、男から与えられる幸せだけを指標にして生きていくことになる。

    是非、この本は皆に最後まで読んでほしい…!

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山内マリコの作品

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