- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927448
作品紹介・あらすじ
30年続いた鹿間四重奏団は、最高のメンバーで円熟期という名の終焉を迎えていた。静かな包容力でカルテットを支えるチェロの伊井山。奔放な紅一点・ビオラの遼子。妖しげな美貌を誇るセカンドバイオリン文字相馬。老いてなお、禍々しいまでのエネルギーに満ちるファーストバイオリン鹿間五郎-。その鹿間四重奏団最後の日。違う場所、交わることのない世界でそれぞれの日々を生きる人々が、同じホールに向かう。ばらばらに生きる人々の人生が鹿間カルテットの音楽という横糸を得て、繊細なレース模様のような物語を紡ぎだす。胸をうつ語りと調べに彩られた、人生模様。
感想・レビュー・書評
-
読後、心に雪のように降り積もる、残響。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めて読んだ作家さん。詩人でもあるそう。
カルテットの最後のコンサートに臨む、さまざまな立場の人のこれまでが語られていく。登場人物のほとんどが、中年から老いを迎える年代であるため、語られることに厚みがある。厚みはあるが、重くはないところが、交響曲ではなく四重奏の粋なところと言うべきか。 -
一人ひとりのキャラクターは必ずしも枯れた印象を持ち合わせないのだけど、深々と降り積もる寂しさに凍えそうになる。人それぞれの越し方や想い、そんな交々の錯綜に紛れて繊細な余韻が聴こえてくるよう。
-
2020年7月5日
音楽の重さという表現が気に入った。
このカルテットを聞いてみたい。
いろいろな立場の人がこのラストコンサートに関わっていた。
その特別な日を迎えて自分の来し方行く末についてしみじみ想いを馳せる。
後悔なく、自分の来し方を受け入れている。
でも、はたからみると、離婚したり、独り身だったり、子どもに恵まれなかったり不幸せな人が集まっている。
芸術に身を置くと、自分が大事で自分の感性で動くからそうなるのかもしれない。
ラストコンサートのプログラムはネットで聞いてみようと思う。 -
ホール専属の鹿間四重奏団。30年の歴史を閉じるラストコンサートに向けた、カルテットの人間模様を描いた作品。さざなみのような静かな波動が、読者の胸を打つ。
-
カルテット最終公演から振り返る過去。音楽家の孤独を想う。
-
30年続いた男女4人からなる鹿間四重奏団の最後のコンサート。
それに関わってきた人々の回想や思いが綴られる。
チェリスト伊井山の衰えが身にしみた。 -
20121008読了
#音楽 -
ラストコンサートをむかえた弦楽四重奏団の物語り。
団員だけでなく、コンサートホールの従業員や四重奏団のマネージャー、地域紙の記者など、四重奏団にかかわる様々な人々の視点から語られる点が興味深い。