- Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927639
感想・レビュー・書評
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私が70代になった時、どんなことを思うのかな。今はまだわからないことがたくさんあると思う。
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2017/9/4
今までとは違って、薄めの本で、字も大きく?と不思議な気になってましたが、やっぱりいつもの藤岡さんでした。
初老の医師と看護師の慎ましいやり取り
年齢が
30程離れているとはいえ、慕っていけば2人で暮らしていけるだろうと思われるが、男性は彼女に別の道を勧める。それも、思いやりなんだろうな
懐の深さを感じる。 -
老医師の晩年の人生の過ごし方
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静かな作品です
「死様」という競作のテーマで書かれた作品の一つです。
70才を過ぎた孤独な開業医とその診療所に勤務する40才を過ぎた孤独な看護師
二人の静かなやり取りの中から、孤独、年をとるということ、死について考えさせられます
重いテーマですが、作者はあまり深く掘り下げず、その分読み手に任されているので読みやすいです -
海の向こうはあの世に繋がっているんだろうか。
もしそうなら、その波にさらわれていきたい。 -
内容紹介
「私」は、「月島診療所」という個人医院に看護師として勤めている。月島は、七十過ぎの医師で、十五年前に離婚して妻子は出て行き、医院の二階に一人で住んでいる。「これで終わりですか?」最後の診療が済み、月島先生が口にするいつもの言葉だが、「私」は、何年も聞いてきた言葉なのに「オワリ」という先生の声が特別な響きをともなって耳に居座る。ひと月ほど前に、診療所を閉めると聞かされた。月島先生はゆっくりと診察室を出て行く。「私」は無言で後ろ姿を見送り、先生の背中に影が張り付いていないかを確認する。長年看護師をしてきた「私」は、人の背中に「命が終わる影」を見ることがあるからだ。「私」は、二十七のときから十六年間診療所で働いている。大学病院に勤めていたのがあまりに忙しく、結婚を考え始め、夜勤がなく規則的な勤務ができる職場を求めていた。七年前まで一緒に暮らしていた男がいた。最初の一年でどうしようもない類の男であることは確信したが、その後惰性の数年間だった。月島先生は、本人に、君はジガバチのような男だと言ったことがあった。予め告げられていた閉院の前に、突然月島先生はいなくなった。「私」は先生を捜す。沖縄の離島でやっと再会できた。そこで初めて月島先生の本音を聞かされた。一人で死ぬのが怖いという。──精一杯務めた老医師、その晩年に悔いはあったのか。 -
「死様」競作小説・海路切なくやるせなく、優しい物語。人生に於いて、これまで手に入れたもの、失ったもの、手放さないもの。そして、人生の終末へ向かうなかで、自然的に取捨選択がなされ、満ちて引く海のような、穏やかな感覚を受けました。人と人とは目には見えなくても、鎖のように確かなつながりを持つのだけど、そんな確かなものでも、ながーい時間の流れでは、風化し失われていくのでしょうね。失われたものの持っていた意味が、当人には掛替えの無い事であるのが、嬉しい。