夜鳴きめし屋

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928100

感想・レビュー・書評

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  • 続編の方がいいのは、珍しい。
    「鰯三昧」が好み。
    「ひょうたん」では、店先で七輪だったのが、息子の代には専業に。
    こっちの方が売れそうという編集者の助言にしたがったら、ほんとに売れたパターンかもしれない。
    省略が少なく、べったりとした記述だけど、人情話としてはまとまっている。

  • 長五郎にちょっとイラつくも、そんな感じだろうなとも。特別派手な事も起こらないが、しみじみと読んでいられた。三人仲良く暮らして欲しいなあ。一応続編だったのね(前作読んだような気はする…)

  • 江戸の本所にある「鳳来堂」は、主の長五郎が一人で切り盛りしている小さな居酒屋だ。
    元々は父が開いた古道具屋だったが、父が亡くなった際、老いた母と食べていくために居酒屋に変えた。
    居酒屋とはいえ、お酒も飲めるし、ご飯も食べられる。
    母が亡くなると、営業時間はどんどん遅くなり、今では営業時間は午後8時から朝まで。
    夜は早く閉めるお店がほとんどの江戸時代、夜型の人、夜のお仕事をしている人にとってはご飯も食べられる鳳来堂はありがたい存在だ。
    誰が呼んだか、夜鳴き蕎麦屋ならぬ「夜鳴きめし屋」。
    友人たちや常連客にも支えられ、昼夜逆転生活をしている長五郎だが、いい年していまだ独身。
    そんな中、芸者になった初恋の女性の現状を聞き…。

    純粋なんだか、優柔不断なんだかわからない長五郎。
    でもいい人。
    たぶん初恋の女性もそんなところが好きで、でもイライラしてたんだろうなあ。

    連作短編集の体裁だから、少しずつ読めてよかった。
    でもラストが少し急ぎすぎな感じがして、もうちょっと余韻にひたっていたかったなあ。


    収録作品:夜鳴きめし屋 五間堀の雨 深川贔屓 鰯三昧 秋の花 鐘が鳴る

  • この時代の庶民の日常がリアルで面白い。もどかしいこの時代のとも現代に通じるとも言える恋愛模様もいいです。

  • AMAZONより…「本所五間堀にある「鳳来堂」。父親の古道具屋を、息子の長五郎が夜鳴きめし屋として再開。朝方まで営業している店には、父親の友人たちや、近くに住む武士、芸者や夜鷹までさまざまな人々がやってくる。その中に、かつて長五郎と恋仲だった芸者のみさ吉がいた……。『ひょうたん』の世界から十数年後、待望の続編登場!」人情短編集でしょうか、結構肌に合った感じ。父親の代のお話しの『ひょうたん』も読んでみたいです♪

  • 少しはまっている宇江佐真理さんの時代小説
    人情味あふれているけど、きれいごとじゃなく
    ちょっと悲しかったり辛かったりしても
    人を見る目のやさしさを感じる

    魔が差したのかもしれない、人は弱い生き物だ。
     いつ、道を踏み外すかわからない。
     長五郎はそれをおしのから教えられたと思っている。

     お前は拙者を思うて小言を言った。
     それを忘れておらぬ。
     人の話を聞く耳を持てば、
     そうそう道を踏み外さぬものだと、
     拙者は学んだ。
    文中の言葉で、逆のことを言っているようだけど
    違うんだよ・・・縁のあった人を大切に思っていて
    そして、謙虚な気持ちなんだなと思うのです

  • 久々の宇江佐先生の作品
    淡々と物語が進む中、小さなカタルシスがあったのですが、残念ながらなし崩しに時間が解決というオチです

  • いつ事件がおきるかと思っていたけど、これは事件はない。
    人情あふれる人間臭いお話。
    ほっこりも悲しさも幸せも詰め込んだ1冊。
    そううまくはいかないかもだけど、このぐらい良い展開があっても良いよね。

  • 『ひょうたん』から十数年後、息子の長五郎が主人公。
    前作の主人公夫婦を殺してしまう作者の潔さに驚く。

    父の死後、鳳来堂を継いだものの古道具屋の才覚が無く店が立ちゆかなくなったため、長五郎と母は居酒屋を始める。
    店が落ち着いてきた頃母親が死に、長五郎はひとりで夜から明け方まで店を開く”夜鳴きめし屋”となった。

    そこに訪れる客達のエピソードをおりまぜながら、めし屋の日々が綴られる。
    長五郎が一度だけ関係を持った芸姑と再会し、自分の息子らしい少年と真実を明かさぬまま交流するのが全体のストーリーの軸となっている。

    めし屋なので料理の場面が多く出てくるが、どれも美味しそうで、ほとんどの場面が店周辺なので、物語として動きは地味なのだが活き活きとした情景を感じる。

    時代劇にありそうな、ストレートな人情物語でひねりがないハッピーエンドなのだが、それもわかった上で安心して読めるのがよいと思う。
    重厚な物語を期待するとがっかりするかも。
    6話収録されているが1冊でひとつの物語になっているから長編の読み応え。

  • じれったいじれったい。もうもうもう。
    でも良い長さでした。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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