火星に住むつもりかい?

著者 :
  • 光文社
3.50
  • (147)
  • (457)
  • (522)
  • (100)
  • (13)
本棚登録 : 3603
感想 : 516
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • うーん、つまらないって事もないが読むのに時間がかかった。
    この平和警察がある世界は現代の誹謗中傷のあるネット世界を思い起こさせた。

    危険人物認定されられ取調べにあってる人たちを助けるべくその家族たちに雲梯にぶら下がらせるシーンは読むのが辛かった〜

    ツナギの男は以外な人物だったが、真壁さんに関してはやっぱりなと思った。

  • 初めての伊坂幸太郎、読了。社会派推理小説、すごく読み応えがあって良い。勧められて読んでみたら完全にハマりました。現代版魔女狩りの設定がなかなかエグくて、前半はずっと辛さが込み上げ、読み進まず。全体としてはミステリーだからこそ、なんとか辛さも半々で読み切れました。謎解き的な、なるほどね!は無いものの、人間の弱さを考えさせられる中身で、1冊読み終えて、少し大人になれたように感じております。1冊毎の重みが半端じゃなさそうですが、まだまだ伊坂幸太郎、手をつけていこうと思います。

  • 初めて伊坂幸太郎さんの本に手を出した。これまで長閑な本ばかり読んでいたので、なかなか読み進めるのがしんどいぐらいエグいところもあったけど(シーンをありありと想像できるような、のめり込ませるような文章力はすごい)何とか読み切った。
    読み終わりがスカッとしないのは、正義の考え方は人それぞれで、「正解」なんてものは存在しないと、語る本だからだろうな。

  • 読み始めは、平和警察が取り締まっている事件にまとまりがないように感じられた。しかし、それぞれが繫がりだして、登場人物像もわかり始めると、途端に面白くなった。
    後半は予想外の展開で、びっくり!
    伊坂ワールド、やっぱり好きだなと思った。

  • 近未来の仮想日本のSFとでもいうのか‥
    宇宙を舞台にしたSFではありません。
    密告による処刑が公開されるという怖い話だが、そこへ正義の味方が現れ‥?

    平和警察という組織が作られ、海外テロ組織への関与を疑われた人物を取り調べる権限が与えられる。
    指定された地区では、しだいに密告が増えてくる‥

    ごく普通の人々が生活している様子のなかに、突如として町の噂や隣人の逮捕といった出来事が降りかかる。
    不運な人もいるが、すれすれで逮捕を免れる人もいる、ちょっとしたユーモアも含みつつ伊坂さんらしい展開。

    謎の正義の味方が実行力を持っている面白さと、上のほうでも何やら独自の権力争いがおきている不気味さ。
    予想のつかない展開のうちに事態は意外な展開を迎えて、ほっとする‥
    が、怖さは残りますね。
    犯罪者同士のダークな話とは違う怖さ。

    人の心の中にある自然な動き、思いやりや勇気、前向きな気持ちを大切に。
    お天道様に顔向け出来ないことはしちゃいけないよって(笑)
    平和を愛する日本を誇りにしていきたいものです☆

  • 監視、暴力、権力、がテーマのほうの伊坂さん。
    「世の中の苦しんでいる人を一人残らず救わなければ正義とは呼べないのか?」という問いかけが、この手の伊坂作品にはつきもの。私も読みながら考えていたけど、今回ひとつの答えが出た。それは、「目の前の一人だけでも救えたらそれで素晴らしい。ただ、このとき素晴らしいのはその人の正義感ではなく、勇気を出したこと」だということ。
    私たちの社会がいつかこうなる可能性はすごくあって、それが怖いなあと思いながら読んでいた。伊坂さんが見せつけてくるものが正論過ぎて、ハラハラしすぎて、いつもなんだかちょっと気持ちが沈む。
    でもラストは「そうだったのね!!!!」という感じで、とてもうれしい気持ちになったし、良い方向に向かっていく兆しが見えて良かった!

  • この本は面白いというより、上手い本だと思う。
    物語を書いたり書き方について考えたりするような人にとっては
    展開や伏線など唸らされるところはあると思う。
    それが他の伊坂作品と比べてどうかという話になると
    この物語が一番優れているというわけではないと自分は思う。

    伊坂作品は小気味良いものとかなり重めのものとがあるが
    この作品については後者である。
    タイトルからはそれが予想できず、気を晴らそうと手にとったので
    ちょっと予想外な展開に読んでいて気が滅入ってしまった。
    あとがきにも勘違いさせたらごめんというような趣旨があったので
    ちょっと笑ってしまった。


    ネタバレあり。


    いつかこんな時代が来ないとも言い切れない不気味さに、
    本当に読んでいて底冷えするような恐怖を感じた。

    ゼミがトラップというのも読んでいて本当に辛かったし、
    ヒーローが所謂意味でのヒーローではなかったことも
    がっかりというと少し違うような気もするがショックを覚えた。

    特定の登場人物に思わず肩入れしてしまうような
    特別に魅力を感じるキャラクターはいなかったように思う。
    ラストもすっきりとしているとは言いがたく
    読者に解釈を委ねられた終わり方になっている。
    淡々と描かれているからこそ、どこにでも起こり得るようにも思えるのかもしれない。

    こうして物語として書き起こされ、いろんな立場の人からの視点で書かれていると
    わからない一般市民が異常なように見えるが
    実際渦中にいれば徐々に慣れてしまい異常さに気がつけず、
    冤罪という重大な可能性にも目を伏せて、
    犯罪を犯しそうもない人物が犯罪をしたのだと言われてそれを疑うのではなく
    あの人は危険人物だったのだと納得してしまうということは
    現実にありえることであり現実に起こっていることでもあり
    空恐ろしい内容となっている。

    火星に住むつもりはなくこの地球で、日本で住むしかない
    その中で一体自分には何が出来るのだろうか。
    自分が彼らの立場になったら、何が出来るか。しようとするのか。

    動物の本能として、安心できる情報より危険な情報、恐ろしい情報に反応するというのは
    確かに尤もである。
    実際大昔のこととは言え魔女狩りは存在したのだから。
    他人事だと思っていたことが突然自分の身に振りかかる。
    この恐怖は、平和警察などの突飛な設定がなくとも
    現実に起こりうることだ。

    犬や音楽などいつもの伊坂作品にお馴染みのものも登場しつつ
    郵便配達員も序盤から何度も織り込まれている。

    すべての人を救わないことは偽善というあたりは読んでいて胸に痛かった。
    個人的に、ボランティア活動をしていても同じような目にはよく合う。
    全員を助けることは難しい。だがそれをしないなら偽善だと後ろ指をさされ
    何故かひとりも救っていない人が偉そうに人を否定し、
    正しいことというのがよくわからなくなってくる。

    やはり一番興味深かったのは武器となる磁石のくだりで
    磁石を束ねる時S極とN極を揃えると磁力は強くなるが
    向きを揃えない方が安定するというのは大変印象的だった。

  • 最初からいきなり気分のよくない話が続く。重苦しい。本当にありそうななさそうな、でも本当にあったらどうしよう。

    平和警察。一般市民から危険人物を炙り出し、公開処刑する。普通の人たち、ほんの少しだけ疑問を持った一市民たちが、勾留され、尋問、拷問され、処罰される。
    高校生同士のいじめ、諍い。
    女子高生たちを連れ去り襲う大学のサークル。

    これらが、謎の人物により阻止される。正義の味方とは一体何者なのか。目的は。

    嫌な話続きだったのに、そこから謎が深まり気になってくる。読む手が止まらない。これが第二部まで。

    第三部からは正義の味方、警察が言うところの「犯人」の一人称で進む。祖父の死。父の死。その後の、妻の死。知り合いの死。

    この辺から話のスピードが上がってきた。どうなるの。罪のない人たちを守ってくれるの。

    正義の味方を誘き出すための、高校生の公開処刑。そう言いながら処刑の真似が本物の処刑になるかもしれない危うさ。寸前までの息を呑む展開。

    もしかして、正義の味方と金子ゼミを繋いだあの人も、最後のこの客も、変装…というかそもそも本当のところはどっちなのか。
    爆死とか、トップのすげ替え操作とか…侮れない。


    真壁のキャラは、最近観たアニメの刑事とあまりにイメージが近くて、つい重ねてしまった。マイペースだけど正義感の強いあの人。二瓶の気持ちからすると、飄々としてるのに鋭くてどこか気を許せないタイプ。第一印象は平和警察と紙一重な感もあったのだが。

    火星でも散髪屋やりたいのかな、久慈さん。火星ちっとも関係なかったけど。強引にタイトルと結びつけてあるのに英語の意味は違うんですか。でもこっちの解釈もイイ。

  • 物騒な話。
    正義だと言われても、その組織が1番の力を持つと「なんでもあり」になってしまうのね。
    平和警察と名乗っておきながら、全然平和じゃないもん。
    連行したら容疑者に仕立て上げるだけ。こわー。
    自分たちの娯楽のようになってしまっているんだもんなぁ。
    どこか、一箇所に力が集中してしまうのは、全体からみると歪みができてしまうということ。これじゃ、バランスがとれるわけがない。

  • うーん。最後のまとめ方はさすが伊坂幸太郎。ただ、最近思うのだが、伊坂幸太郎の本は読んでいると凄く面白く、スイスイと読んでしまうのだが、あとで、あの小説はどういう内容だったっけ?と思うと、思い出せない、そんな作品が多いような気がする。
    話は逸れたが、内容は、かなりありえない状況で、警察が危険人物と捉えた人物を市民の前でギロチンにかけ、処刑する。その方針に異議を唱えるものが、陰で動き…。
    表向きには自分の知り合いが処刑されるのを防ぐために正義の味方となって、警察組織に対抗する男が現れ、物語を展開していくのだが、やはり、警察の方が一枚上手で、最後には処刑される側になるのだが、事態は意外な展開をみせる。
    伊坂幸太郎の作品は、人間のエグい部分や、グロいシーンなどがあっても、その文体は飄々としていて、あまり深く感じないのだが、結構怖いことを書くなあと改めて感じました。
    最初にも書いたが、残らない作品かもしれないが、面白いのは間違いなし。読んで損はないと思う。

全516件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

伊坂幸太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×