ペンタゴン: 知られざる巨大機構の実体

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334960148

感想・レビュー・書評

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  • ・たとえナポレオンであっても、この機構内にあっては、その能力を無力化されたであろう。ベトナムに展開した各軍は、各々独自に好む作戦方式を有していた。
    …敵に支配された村を前にして、歩兵部隊が正規の包囲掃討作戦を計画すれば、航空騎兵部隊の方は、それは敵を隣村に追い払うだけだとして、奇襲攻撃をかけられる空中強襲作戦を提案した。一方、機甲部隊のほうは、歩兵部隊の攻撃では損害が多すぎ、空中強襲ではヘリコプターを失う、歩兵やヘリボーン部隊の歩兵は、あらゆる地形をすぐ「通過不能」といってくるが、機甲部隊ならアッという間に目標を制圧してみせると主張した。砲兵部隊にいわせれば、あらゆる強襲は不要である。なぜなら砲兵部隊の「一斉」弾幕射撃は、ちっぽけな小屋などその住人ごと粉砕できるからである。また海軍の水上部隊は、もしその村がうまい具合に海岸近くにあるなら、それは陸軍よりも大口径の大砲をもっている海軍の仕事だと主張するし、空軍は戦闘爆撃機を使ったほうが、ずっと速く、よりうまくできると主張する具合である。戦略空軍のほうは、戦闘爆撃機の搭載する爆弾の量など、彼らのB-52に比べるとちっぽけなものだと嘲笑していた。陸軍の「心理作戦」大隊は、これらのあらゆる暴力行為に反対し、村民の南ベトナム政府に対する忠誠度向上を追求すべきだという。特殊作戦部隊はむろん、こうしたすべての方法は下手糞で、無料の予防接種や、子供へ菓子を与えたり、その両親には農工具を与え、新しく組織された村の警備兵に銃を与え、せいぜい一人か二人を殺すくらいでその地域をコントロールし、社会に浸透するやり方のほうがずっとよいと考えた。その一方で、他の米軍将校、つまり南ベトナム政府軍の顧問たちは、もう少し多くの、もっとましな兵器さえ与えられれば、彼らが育てた部隊のほうが、どんな戦いでもいちばんよくやれると主張した。これらの結果として、ある村では前述の方法すべてが、なんの脈絡もなしに実施される、という名誉に浴する羽目になったのである。

  • 朝鮮動乱中、マッカーサー元帥はおしもおされぬ本当の司令官であったが、それでもインチョン上陸の際には、まだ北朝鮮軍がいる最前線まで出かけていってその存在を全軍に知らしめ、部下を把握する努力をした。

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著者プロフィール

ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国防アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。著書は約20ヵ国語に翻訳されている。邦訳には『クーデター入門』(徳間書店)、『ペンタゴン』(光文社)、『アメリカンドリームの終焉』(飛鳥新社)、『ターボ資本主義』(TBSブリタニカ)、『エドワード・ルトワックの戦略論』(毎日新聞社)、『自滅する中国』(芙蓉書房出版)、『中国4.0』(文春新書)、『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書)がある。

「2018年 『ルトワックの”クーデター入門"』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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