使用人たちが見たホワイトハウス 世界一有名な「家」の知られざる裏側

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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334978945

感想・レビュー・書評

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  • ホワイトハウスで働く人たちのプライドに感動しました。
    「仕事」っていう、言葉の意味を改めて知った気がします。

  • ふむ

  • 【慎ましやかな大黒柱】大統領の居住空間であると同時に,政策や権力をめぐる米国の中心としても機能するホワイトハウス。そんな「家」に使用人として務める人々に光を当て,その重要な役割を明らかにしていく作品です。著者は,「ブルームバーグ」のホワイトハウス付記者を務めたケイト・アンダーセン・ブラウワー。訳者は,『ブレグジット秘録』の翻訳も手がけた江口泰子。原題は,『The Residence - Inside the Private World of the White House』。

    目の付け所が素晴らしい作品。歴代の大統領一家らを直近で見てきたからこそ明かすことのできる内幕的なエピソードも魅力的ですが,自己犠牲精神を発揮し,一家に献身的に尽くす使用人たちのエピソードには感銘を受けました。

    〜見えてはいるが,見えてはいない。聞こえてはいるが,聞こえてはいない。そして,何も知らない。〜

    やっぱり大統領と言えども人間なんですね☆5つ

  • 新聞に求人広告は掲載されない。それでも、そこで働くスタッフは
    途絶えることはない。アメリカ大統領の公邸であるホワイトハウスだ。

    大統領の政策スタッフや大統領夫人の報道官などが公の場で大統
    領夫妻を支えるスタッフなら、居住部分で働く執事やメイド、ハウス
    キーパー、ドアマン、料理長、パテシエ、フローリスト、電気技師、
    配管工、大工、カリグラファー等々。彼ら・彼女らは決して表には
    出ないが、公の立場から離れた大統領一家が安心してくつろげる
    よう自分の持てる力のすべてを捧げる。

    本書は「ブルームバーグ・ニュース」のホワイトハウス担当記者だった
    著者が、そんな裏方のスタッフにスポットライト当てた作品だ。

    これは「もう一つのアメリカ現代史」でもあるのではないか。著者がイン
    タビューをしたのが概ね退職した元スタッフではあるのだけれど、その
    職を離れても彼ら・彼女らの口の堅さは変わらない。

    そんな口の堅い人たちでも大統領一家との思い出話を著者に語ることで、
    ニュースでは知ることのできないアメリカを教えてくれている。

    暗殺という手段で大統領であった夫を失ったジャクリーン・ケネディと深い
    悲しみを分かち合ったのも、ウォーターゲート事件で辞任に追い込まれる
    ことになったニクソン大統領の苦悩を察したのも、イラン・アメリカ大使館
    人質事件で気の休まることのなかったカーター大統領を支えたのも、
    クリントン大統領の女性スキャンダルで傷ついたヒラリー・クリントンを
    慰めたのも、彼ら。彼女らだ。

    スタッフたちの語る大統領一家の話には尊敬と愛情にあふれている。
    政治的信条は胸の奥深くにしまい込み、その時の大統領一家の為に
    自分の時間も、家族との時間も犠牲にして尽くす。プロフェッショナル
    な集団である。

    勿論、なかには接しにくい大統領やその家族もいた。シャワーの水圧と
    水量に異常なこだわりをもつジョンソン大統領と、配管工の攻防は読んで
    いても「これ以上、どうすりゃいんですか?大統領」と聞きたくなったわ。

    スタッフのシフトに無頓着な大統領や大統領夫人もいた。そんななかで
    素敵だなと思ったのはブッシュ親子。特にスタッフが敬愛を込めて「オー
    ルドマン・ブッシュ」と呼ぶパパ・ブッシュとバーバラ夫人だ。

    大統領になる以前から使用人に囲まれた生活に慣れていたのもあるの
    だろうが、このご夫妻は使用人であろうとも愛情を持って接しているの
    が分かる。政治の面では好ましくないパパ・ブッシュだったけれど、見
    直してしまったわ。

    大統領一家のプライベート部分を支える人々のエピソードの他、専門職
    以外のスタッフにアフリカ系アメリカ人が多くを占める元となった公民権
    運動との関りなどもあって非常に興味深く読めた。

    「私たちは家族なんだよ」

    引退した執事のひとりはそう言う。アメリカ大統領は最長でも8年でホワイト
    ハウスを去る。しかし、彼ら・彼女らは何代もの大統領に仕え、定年後も
    臨時スタッフとしてホワイトハウスに出勤する。

    ある大統領夫人は言う。「ホワイトハウスの本当の住人は彼らなのよ」と。
    間もなく、オバマ大統領がホワイトハウスを去る。そして、ドナルド・トランプ
    氏が新大統領としてホワイトハウスに入る。トランプ氏を迎えるのは、
    プロフェッショナルな大家族である。

    訳者が丁寧な注釈を挿入しているので、アメリカ近現代史やアメリカ政治
    をまったく知らなくても面白く読めると思う。ある程度知っている人には注釈
    の多さが鬱陶しいかもしれないが。

    翻訳も読みやすくて良書なのだが、表紙カバーの写真がいささか残念だ。
    黒服に白手袋は執事を表現しているのだろうが、手の位置が中途半端で
    はないかな?原書のカバー写真のようにお腹の前で手を組むか、後ろ手
    で組んでいた方がしっくりくるんだけど。

  • ホワイトハウスで働くのも、暮らすことも大変なことだと思った。ホワイトハウスの求人がほとんど口コミだということは驚いたし、求人の審査でほとんどが前科に触れて採用されないというのも驚いた。

  • 東2法経図・開架 KW/2016//K

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著者プロフィール

米国のジャーナリスト。CBSニュースのスタッフやFOXニュースのプロデューサーを経て、オバマ政権期にブルームバーグの記者としてホワイトハウスを担当。これまで『ニューヨーク・タイムズ』『タイム』『ワシントン・ポスト』など主要紙誌に寄稿してきた。現在はCNNの寄稿者として活動する。本書First in Lineのほか、The Residence (2015)(邦題『使用人たちが見たホワイトハウス』、光文社)、First Women (2017)、Team of Five (2020) などの著書がある。

「2021年 『アメリカ副大統領 権力への階段』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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