スタンダード所得税法 補正3版

著者 :
  • 弘文堂
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335355875

作品紹介・あらすじ

Lecture/Next Step/Examples/Pointsの4つのパートで構成。事例や図表を使ったわかりやすい記述。複雑な重要条文は骨格を明示。丁寧な相互参照で関連事項が明らか。最新の法改正に対応の学習書!

感想・レビュー・書評

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  • 所得税法に関する理論的解説書。包括的所得概念から始まって10種所得の相違点がポイント解説されている。包括的所得概念のもとでは「違法な所得」も現実の管理支配が及べば所得して扱う点基礎的な事項だ。個人的に所得税法において疑問が解けないのが、事業所得と雑所得の境界線だ。事業所得と雑所得との区分は、所得を生じている経済活動が社会通念上「事業」といえるかによって判断される。ある経済活動が社会通念上事業といえるかどうかについては、判例上、具体的な考慮要素が多数挙げられているが、特に、所得獲得の「安定性」の有無が重視される例が多い。つまり平たく言えば、ある経済的活動から得られる所得で人が暮らしていけるものは「事業」だが、生計のための本業の他に片手間で行っている経済的活動は事業ではないとの解説である。
    例えば監査法人に勤務する会計士が税理士の開業登録をして副業で税理士業を行なった場合は雑所得となるのか。課税実務においては、監査法人からの収入が主であっても税理士業に基づく報酬はほとんどの場合事業所得として認められていると思う。これが赤字となれば給与所得との損益通算も認められよう。この点、不動産所得においては「5棟10室」基準が事業的規模を分かつ境界線となっているが、これは不動産所得が担税力の高い資産性所得であるための要件の厳格化であると考えれば頷ける。一方で税理士業務などから生じる勤労所得についてはその担税力の低さを斟酌して事業所得要件のハードルを下げるべきであるとの発想も生まれないか。とはいえ世間常識を超える損失を事業所得で計上して給与所得との損益通算を行うことは節税ではなく脱税となるので慎重に検討されたい。

  • 345.33||Sa8||Su=3e

  • 4〜5

  • TACのテキストで学習しながら「なんでこんな複雑な制度になっているんだろう」と思っていた数々の事項がしっかり説明されてました。初心者向けに丁寧に作られた良書。

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著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2021年 『租税判例百選〔第7版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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