- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784335501326
作品紹介・あらすじ
仏教やキリスト教、イスラームといった救済宗教が、影響力を失いつつある。社会が個人化するなか、宗教もまた私事化が進む一方で、精神世界への関心が高まっている。3.11後の日本社会で、変容する現代宗教はどこへ向かおうとしているのか。
感想・レビュー・書評
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タイトルの通り、現代宗教とスピリチュアリティの動きを
概観した本でそれ以上でもそれ以下でもないが、教科書的に
上手くまとめられている好著である。
世俗化と聖化はどちらか一方に向かって進むのではなく、
振り子のように揺れ動きながら歴史は刻まれていくのだな、
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「このように考えると、『宗教からスピリチュアリティへ』といわれていることは、むしろ『救済宗教からスピリチュアリティへ』、あるいは『救済からスピリチュアリティへ』の展開として理解するのが適切ではないだろうか」
宗教学で用いられるこの「スピリチュアリティ」という概念は厄介である。それは世間で言われているような「スピ」っぽいものを含みうるのだが、実際例えば島薗先生が「スピ」を「スピリチュアリティ」の典型とみなしているかというと、果たしてそうではない。また、一般的に瞑想やらヨガ、はてまたアルコホーリクス・アノニマスみたいな禁酒会やらを「スピリチュアリティ」と呼んでしまうことには、当事者から違和感があるかもしれないけど、これもまた宗教学的には普通に言われていることである。
スピリチュアリティという言葉が指し示すものはもう飽和している。結局のところ宗教団体という形態に属していないけど、やっている内容が宗教団体に似ているものは全部、みたいなのが現状ではなかろうか。
そのことでスピリチュアリティという分析概念がなくなることはないだろうけれど、もう少し細かい概念のほうが分析の際の有用性は高いだろうなと思う。現状すでにいろいろあるけれども、この辺りを個人的に整理していきたい。