ブルーリア (文学の冒険シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336040275

作品紹介・あらすじ

明けがた5時、ブルーリアが、死んだ。ハイファでモルヒネ注射を打たれて、3時間後に意識不明のまま病院にかつぎこまれてから、1週間後のことだった。白い、こまかな雪が降っていた。ゲルティは窓のほうに目をやって、うれしそうな顔をした。「ねえ、スイスそっくりよ」そういって、彼女は微笑んだ。「イスラエルにも雪が降るなんて、今まで知らなかったわ」…深夜の精神病院でアルバイトをする主人公と、美しく謎めいた女性患者ブルーリアとの密やかな交感を描く表題作のほか、「パレルモの人形」「国境の少年」「薬剤師と世界救済」「真夜中の物語」など、英国統治下の古都エルサレムを舞台に、静謐な日々の記憶の底に潜む悲哀や喜びを、不思議なユーモアを交えて綴る珠玉の短篇の数々。イスラエルを代表する作家シャハルの傑作を精選した本邦初の作品集。仏メディシス賞外国文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ミルハウザーやマラマッドを想起させるような他の掌編も悪くはないけど、やっぱり表題作「ブルーリア」が出色の出来。
    水彩画、というよりもほとんど水墨画のようなリリカルな描写。
    「孤独」とか「絶望」なんて輪郭のはっきりしたわかりやすさからは無縁の、すべてが終わってしまった後の世界のような静謐さが充満している。
    とても、穏やかで、残酷で、限りなく死に近い類の静けさ。

    深夜。
    雪が降り積もるエルサレム。
    精神病院に入院する美しいブルーリア。
    言葉から隔離された彼女に、
    世界の全てを話して聞かせる僕。

    人はほんとうに簡単に消えていってしまう。
    そして、その記憶さえ。その痛みさえ。
    その言葉さえも。

    もしそんな消え去ってしまったものに痕跡が
    あるとすれば、これはそのひとつだと思う。

  • イスラエル人による小説。イスラエルでの生活の過酷さなども垣間見えて、世界観が広がる。

  • エルサレム、イスラエルなどを舞台とした作品です。

  • [ 内容 ]
    明けがた5時、ブルーリアが、死んだ。
    ハイファでモルヒネ注射を打たれて、3時間後に意識不明のまま病院にかつぎこまれてから、1週間後のことだった。
    白い、こまかな雪が降っていた。
    ゲルティは窓のほうに目をやって、うれしそうな顔をした。
    「ねえ、スイスそっくりよ」そういって、彼女は微笑んだ。
    「イスラエルにも雪が降るなんて、今まで知らなかったわ」…深夜の精神病院でアルバイトをする主人公と、美しく謎めいた女性患者ブルーリアとの密やかな交感を描く表題作のほか、「パレルモの人形」「国境の少年」「薬剤師と世界救済」「真夜中の物語」など、英国統治下の古都エルサレムを舞台に、静謐な日々の記憶の底に潜む悲哀や喜びを、不思議なユーモアを交えて綴る珠玉の短篇の数々。
    イスラエルを代表する作家シャハルの傑作を精選した本邦初の作品集。
    仏メディシス賞外国文学賞受賞。

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