股旅新八景 (長谷川伸傑作選)

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  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336050243

感想・レビュー・書評

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  • 股旅新八景のほかに「人斬り伊太郎」が入っているので、実は9編収録。
    股旅ものと言えば「木枯し紋次郎」くらいしか知らないので、「あっしには係わりがねえ」とは言いながら、なんだかんだで善行を施すのが股旅ものかと思いきや、こいつら全然よろしくない。

    博奕打ちなのはしょうがないにしても、共通するのは腕がたつことくらい。
    やたら短気でけんかっ早いやつがいたり、サイコパスのように些細なことで人を殺して平然としていたり。

    必ずしも勧善懲悪でもなく、読後感がいいとは言い切れない話も多い。

    けれど、地の分を挟まずに2~3ページも続く会話のやり取りが実にテンポよく小気味がいいので、そして多少おバカなので、ここで笑っちゃうと大抵のことは許せてしまえる気がする。

    女を食い物にする男に対して、超絶格好いい啖呵を切る「獄門お蝶」
    義理堅くて男女の機微に疎すぎる段平が可笑しくもぐっとくる「三ツ角段平」
    三五郎の純情が大笑いの「八郎兵衛狐」

    いちばん好きなのは「八丁浜太郎」
    人が生きる意味というのを、さらりと深く教えてくれる。
    人の世の営みの前には敵討ちなんて小さなものであると。

  • いづれ読みたい本
    お弟子さんの本から

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著者プロフィール

1884年、神奈川県横浜市生まれ。1963年、没。小学校を中退後、様々な職を転々とし、20歳の時に横浜新聞社に入社、その後都新聞社に転じ記者のかたわら創作を開始する。1928年に発表した「沓掛時次郎」が話題となり、いわゆる〈股旅〉ものの流行作家となる。代表作「瞼の母」「一本刀俵入」は今に至るまで繰り返し上演・映画化されている。著書に『荒木又右衛門』『日本捕虜志』など多数。

「2018年 『日本敵討ち集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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