なぜわたしたちは0歳児を授かるのか-親心の幸福論

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  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336051370

感想・レビュー・書評

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  • 保育の専門家ではなく、音楽家が書いているので、多少ふわふわしたかんじの箇所も散見されるが、社会が助け合いや頼り合いではなく、自立重視でなんでも一人で抱え込むようになったことで、孤立し、絆が希薄となり、人間関係を煩わしいものと捉えるようになったというのは共感できた。

    親心は、育てていくもの。
    子どもだけでなく、保育者、他の子供の親、地域との関わりの中で学び、親として成長していく。仕事では得られない親としての幸せや喜びを体験できるということが様々な例で紹介されている。

  • 古くて新しい考え方の本だった。
    著者の、漂うようなというか、散文詩みたいな書き方も多少は影響していると思うのだが、
    2周しても引用箇所をしぼりこむことができなかった。
    かといって買っておこうとも思えなかった。
    それは、そういう価値がないというのではなく、今の自分にはまだ、早くてというか、開発されていない領域とかわかっていない感覚の話で、情報量が多すぎて、吸収消化しきれないのだという結論に達した。わからないということではなく、言っていることは本当にそうだと思うのだが、なんというか、自分の手の届く領域の外にある内容を書いている本という感じだ。手元に残したい本の多くは、「そうだよね。そうだよね。」というものだが、この本は「言われてみればそうかも...」「確かにそんな気がする...」ということばかりなのだ。
    もうちょっとわかるようになったら、近くまで来たら、もう一度読もうと思う。

  • 結婚、出産、子育てという不自由なことに人は幸せを感じてきた。ひととひとが互いに頼りあい、支えあい、信じあう不自由なつながりが「絆」ということ。
    四歳児は「人を頼り、人を信じ、そして幸せそうである」という、人類が目指す究極の幸せの姿である。
    幼児という言葉のコミュニケーションがとれない存在を相手にすることで、親が成長する。祖父母、小学生中学生高校生、父親も幼児と一緒にいるだけで成長する。一日保育者体験が生みだす効果にはとても感動した。

    国が預かり保育をどんどん推進していこうとする一方で、親のニーズに逆らえずに精神的に疲弊し、質が低下していく保育の現場を目の当たりにさせられた。保育への志が高い人ほど、保育の現場に失望して夢をあきらめたり、現場を去ってしまうのはとても悲しいし、もったいない。

    子育てはしたことないけど、著者の講演がとってもおもしろかったので。

  • 「待機児童0」という言葉が流行り、政治家が安易に待機児童0を宣言し、有権者の票を集める。
    その背後に、子供の視点が抜けている事に違和感を感じていた。
    保育所は児童福祉施設であって、忙しい親のコインロッカーではない。本来の保育政策も、労働政策として論じる政治家には、是非読んで欲しい一冊!

  • 「子育ては親育て」とよく言われますが、それを超えた主張をされています。「子供が親を育てる」。すごい発想です。

    子育てをしていれば、子どもがぐずったり、気分がコロッと変わったり、理解不能な言動をしたり、と子どもは全く悪意がないけれど親にしてみれば大変な場面は幾度となく訪れます。子供に手を焼いて、あれこれと汗をかきながら乗り越えているうちに、親が成長していくさまを鋭い視点で語ります。

    特に、園児が描いた絵を母親が刺繍にする園のエピソードには心打たれました。

    ちょうど入学準備品を手縫いで製作していた時期に読みました。きんちゃくや給食用のナプキンは今どきどこでも売っているけれど、こうして自分で縫っていく過程で、私が鍛えられていくのだな、と共感できました。

  • 黒帯Yさんに紹介された本。
    子供を持つ人にはぜひ読んで欲しい本。
    大人として、人間のあり方が勉強できます。

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著者プロフィール

1954年東京生まれ。慶應義塾大学哲学科からカリフォルニア大学(UCLA)民族芸術科に編入、卒業。
尺八奏者としてジョージ・ルーカス制作の「ウィロー」、スピルバーグ監督の「太陽の帝国」をはじめ多数のアメリカ映画に参加。
1988年アメリカにおける学校教育の危機、家庭崩壊の現状を報告したビデオ「今、アメリカで」を制作。
1990年より98年東洋英和女学院短期大学保育科講師。
衆議院・税と社会保障一体化特別委員会公述人、衆議院内閣府委員会「保育の無償化」参考人を務める。
「先進国社会における家庭崩壊」「保育者の役割」に関する講演を保育・教育関係者、父母対象に行い、欧米の後を追う日本の状況に警鐘を鳴らしている。
著書に『家庭崩壊・学級崩壊・学校崩壊』『21 世紀の子育て』『なぜわたしたちは 0 歳児を授かるのか』などがある。

「2022年 『ママがいい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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