14歳、ぼくらの疾走: マイクとチック (Y.A.Books)

  • 小峰書店
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338144322

作品紹介・あらすじ

主人公のマイクは、ベルリンのギムナジウムの8年生。家庭は不穏だし、学校では、ただ目立たずにいる。退屈な毎日だ。そこへ、へんな転校生がやってくる。チックという名だ。マイクは不良じみたチックと、行きがかり上、旅にでることになる。それも、オンボロ車を無断で借用して。破天荒なチックのやり方に、はじめは面食らっていたが、その自由気ままな心根に、マイクは魅力を感じる。二人の人生にとって忘れがたい旅がはじまる。
ドイツ児童文学賞、クレメンス・ブレンターノ賞、ハンス・ファラデ賞を受賞。現在16カ国で翻訳されている。

感想・レビュー・書評

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  • 原題はシンプルに「チック」でそれも良いのだけど、邦題もいいなぁ。好き。
    学校で浮いている、というよりいないような存在のマイク。
    夏休みに入ると、アルコール中毒の母は施設へ、父親は若い愛人と不倫旅行で、一人家に残される。
    それ以上に、ほぼ皆が招待された好きなクラスメイトのバースデイパーティに呼ばれなかったことが堪え、落ち込んでいるところに、転入生で変わり者のチックが。
    やはり呼ばれていないチックは、盗んだ車で乗り込んでやろうぜ、とマイクに持ちかける…というところから始まる、一夏のロードノベル。
    二人が出会う人々もとてもユニークで面白いのだけど、何と言っても二人の関係の描き方が絶妙。
    冒頭でいきなり結末を持って来ている構成で、そこにたどり着くのが恐ろしくもあるのだけど、惹きつけられてぐいぐい読んだ。
    同年代の子供達に是非お勧めしたい作品。

  • 青春の煌めき。

    主人公は14才のマーク。
    この世でいちばんの小心者、史上最低のつまんない男、最低の意気地無し、と自分で思い込んでいる。

    学校では友達なし。家庭では、アル中のお母さんがリハビリ施設に行っている間お父さんは若い女性と旅立ってしまう。そんな最低な毎日を送っていたが、転校生の不良少年と盗んだ車で旅に出る。
    旅先で出会うのが今まで会ったことない種類の人たち…家でも学校でも「人間は邪悪だ」と教えられてきたのに、邪悪じゃない人にばかり出会っている❗

    一緒に旅に出たチックとは、どこか遠い星にきっと生命体がいるっていう話で盛り上がったり、つまんない男だなんて一度も思ったことないって言われたり、瑞々しい感動がちりばめられているのだ。

    自分の知っている世界なんて狭いものなんだね。その中で考えていることなんて、ほんのちっぽけなものかもしれない。だから、それに縛られて苦しむなんて、もったいないことだ。

    勇気を出して広い世界に飛び出してみよう‼️

  • クラスでイケてる女子タチャーナが、夏休みにクラスのほぼ全員を泊まりの誕生日パーティーに招待した。マイクは、自分も招待されるものと思いプレゼントにタチャーナが好きなビヨンセの巨大スケッチを4週間かけて描き上げたが、マイクは招待されなかった。その上、アルコール依存症の母親は依存症克服キャンプヘ、父親は若い浮気相手と旅行へ、マイクは父親からお金を渡され、一人家で夏休みを過ごすことになる。そんな時、クラスの嫌われ者のロシア移民のチックと出会い、チックの盗んだ車でチックの祖父が住むというワラキアを目指す。

    とんでもない道中だし、お金はあるものの14歳ではガソリンは買えず、車と同様盗む事になるし、そもそも運転免許はまだない。そこここで出会った忘れられない人たち。なんとも、スゴイ夏休みだ。

  • 読書日:2018年1月5日-1月13日.
    Original title:TSCHICK.
    Author:Wolfgang Herrndorf.
    十四歳の少年二人が車でSüddeutscheを駆け巡ります。

    中でも少年期らしい恋愛事情や感情等々が垣間見え、
    Angela Dorothea Merkel大統領の名前やsmart phone等
    現代の生活に馴染みのあるitemsが登場したりと、
    物語が身近に感じられます。

    MikeとChickとIzaはその後再会を果たせたのか、
    彼等はこれからどの様な人生を歩んで行くのか、
    その後を知りたいと思わせる終わり方で
    是非続編を読みたいと感じ入れる物語です。

  • あだ名がついたこともないマイク・クリンゲンベルクは、まわりからむちゃくちゃつまらないやつと思われ、おまけに友達もいないハゲシウス・ギムラジウムの8年生で14歳。高跳びが得意だったり、絵を描くことが得意だったりするも、そんなことは14歳の世界ではなんてこともない。
    アル中の母と若い恋人のいる父を家族に持ち、秘かにタチャーナ・コージッチにあこがれている。
    アンドレイ・チシャロフというロシア系の転校生が来たことでつまらない学校生活の夏休みが一変する。
    ふたりはひょんなことからラダをかっぱらい、ワラキアへ行こうとしたのだ。
    ワラキア~そこはどこかわからないところ。

    ツーリング・ノビリティ
    フリードマンとその家族(エリザベート、フォロレンティーネ、ヨーナス)
    イザ・シュミット
    じいさん
    言語セラピスト
    電話のおじさん

    P142
    空に瞬く星がだんたんと増えていく。~~「すげえことだよな、そう思わね?」「うんすごい」~想像を超える果てしなさをもった星たちを見つめながら、僕はなぜかぞっとした。感動と驚愕がないまぜだった。瞬く星雲のなかで、もう少しで姿が見えてきそうな虫たちのことについて考え、それからチックのほうへ向くと、チックはじっと僕の目をみつめ、「なにもかもすげえよな」といった。まったくその通りだった。コオロギの声が夜通しあたりに響いていた。

    P157「短針を太陽に向ける!十二と短針との角度の半分の方向が南!」フリードマンの絶叫。

    P215「無計画!地図なし! 計画もなし!」

    P221「カルベ・ディエム!」carpe diem


    Norma
    http://www.norma-online.de/_d_/


    Wallachia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%A9%E3%82%AD%E3%82%A2

    Humana
    http://www.humana.de/de

    P304レールの敷かれた未来に冒険はない。
    冒険は「険しきを冒す」という意味だ。危険を伴うが、魅力に満ちている。
    P307「人生は危険に満ちた冒険か無の二者択一」

    http://www.kodomo.go.jp/event/event/pdf/2011-07_1.pdf

    ちょっと「ライ麦畑」を思い出すような感じ。
    でも、ホールデンほど冷めていないし、相棒のチックがいる。
    ところどころドイツという国に馴染みがないことを感じるけど、どこでも青年の気持ちは同じなんだなぁと思う。
    二人は出自もなにもかも違っているけど、共通のなにかを持ちあわせている。
    決して「悪」ではない。

    危険を冒すことを面倒くさがってはいけない。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00204642

  • SL 2022.3.6-2022.3.7
    14歳のマイクとチックのひと夏のロードムービー。盗んだ車で出かけた先で起こるさまざまな出来事。かなりムチャクチャで楽しい経験。
    チックと、旅先で出会った邪悪じゃない1%の人たちによって大きく成長するマイク。
    一生忘れられない夏休みだね。

  • 文学

  • (図書館員のつぶやき)
    14歳か・・・私はずいぶん昔になっています。みなさんは何していましたか?もし平凡な毎日に破天荒な友達ができたらどうしてたでしょう、この本はふたりの少年の冒険が詰まっていますが、未来!もです。どんな旅でしょう、読んでみらんですか。

  •  映画から観て、原作を読んでみた。
     あまりやらない方法だったけど、原作者が同年生まれということで気になって、映画で観たいろいろな演出や発想が、映画監督による脚色なのか、原作にあるのか確かめてみたくて読んでみた。
     あぁ、やはり原作者の想いなんだなというのが確認できてよかった。昭和40年男の感慨は、国境を越えてドイツと日本で響きあった。

     作品としての感想は、映画の鑑賞メモに記したので、そちらに譲ろう。ともかく、
    「自分が14の時、何をしでかしたか!? 忘れた人、忘れたふりしてる人、必見!」
     の内容。
     原作は、文章で読むだけあって、映画よりもう少し思索に富んでいるし、14歳の「僕」の視点で描かれるが故の、世界に対する瑞々しい発見があって趣き深かった。

     つまり、原作者のヴォルフガング・ヘルンドルフが、よくも14歳の気持ちになれたな、ということの驚き!

    ”「弁護士を呼んでください」。
    (中略)このセリフがなにを意味するのか、僕自身がさっぱりわかってないってこと。”

    ”この車を流れている電気と、物理のときにやったワイヤーを流れている電気とじゃ、まったく違うものに思えた。ここはパラレルワールドなんじゃないかっていうような。でもどっちかというと、あの物理の授業のほうが、パラレルワールドなのかもしれない。”

     これらの気持ち、50を手前にしたオヤジにはなかなか書けないぞ、と思いながら読んだ。そうだ、そうだ、14のあの頃なら、こんな風に考えたろうな、という表現が随所にあった。原作者は、どうやって40年近く時を遡って、主人公マイクの気持ちを表現できたのだろうと不思議でならなかった。

     映画も、原作も、それぞれに良さがあって、どちらも良い作品だったなあ。
     タイトルの変遷が面白い;

    「TSCHICK」・・・原作
    「14歳、ぼくらの疾走(マイクとチック)」・・・邦訳
    「50年後のボクたちは/TSCHICK」・・・映画(邦題/原題)

     映画は、確かに50年後に会おうと約束する場面が印象的だった。原作はそこは意外とサラっとだった気がする。でも「TSCHICK」のひと言で済ますほど、原作のTSCHICKは、意外とインパクト薄い印象。むしろ、映画のチックのほうが大柄で迫力があり、映画の原題(原作と同じ)が、内容とのマッチングがベストだったかな。
     翻訳本の「14歳、ぼくらの疾走」もいいタイトルだと思う。

     自分の外の世界の全てが新鮮で、それでいて日常がたまらなく退屈だったあの頃の、何かをブレイクスルーしたい気持ちを、もう一度思い出させてくれた良作だった。
     下記の発想も大好きだ。

    「日曜日の明け方。チックにいわせると、四時がいちばんいい時間らしい。」

     同年代の原作者、映画『Mesquite Coast』でハリソン・フォードが演じた主人公のセリフに感動したクチかな? コトを決断するにあたり必要なのは、ただの勇気ではなく、
    「午前四時の勇気だ - 4 O'clock morning courage.」
    と、つぶやくのだった。

     午前四時の勇気を持って、何かコトを起こそうぞ!

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