- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344006232
作品紹介・あらすじ
2002年2月11日午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず-。質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する、リアルでシリアスなドラマ。謎が謎を呼ぶ"恩田陸ワールド"の真骨頂。
感想・レビュー・書評
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有吉佐和子『悪女について』についてブク友さんたちとやりとりしているなかで、本作がこれと似た形式であると教えてもらった。恩田陸さんは名前は知っていたが読んだことがなかった(しかも男性だと思いこんでおり最近はじめて女性だと知って驚いた)ので、これをきっかけに読んでみることに。
とあるショッピングモールで、死者負傷者を多数出す騒ぎが発生したが、原因がわからない。この事件(事故?)に関するインタビュー会話のみで構成される小説。
・真相は解明されるのか、という興味
・インタビューであぶり出される、各人の知られざる事情、吐露される私的な心情の、意外性
…といったところが面白く、どんどん読み進むことができた。
そして、なんかこう、当時の社会が抱えていた漠然とした不安みたいなものを描きたかったのかなあという感想を持ったのだが、今から二十年ほど前、二〇〇〇年代初頭のそれは、今のそれと通じるところもあるが、こっちはもっと進んじゃっているぜ、まだまだぬるいぜ、と思ってしまう面もあり、同時代作品として読むよりもショックが大きかったかもしれない。一応「あの頃」として記憶がある、私の知っている時代の「時代の空気」とでもいうようなものを、私がこの作品から感じられたということは、恩田陸さんの描く今(当時の今ではなく今の今)を読んだらそこには何が見えるのだろう。怖いけど、読んでみたいと思った。
備忘メモとして、連想した他作品を挙げておく。
・村上春樹『アンダーグラウンド』
(地下鉄サリン事件関係者への聞き取り。ノンフィクション。読みかけたが読みきってない。)
・泡坂妻夫『煙の殺意』
(デパートが火事)
・似鳥鶏『育休刑事』
(ショッピングモールもの) -
怖い話には極力近付かないようようにしています。
苦手だからです。
いつでも怖いものセンサーは作動させているつもりだし、油断なんてしていないつもり。
それでも、怖い話だと知らずに読み始めてしまうことがあります。
読み始めてしばらくしてから気付くのです。自分がやらかしてしまったことに。
そういう場合は途中で読むのを中断するのはご法度。
そんなことしたら頭の中で展開されている想像(妄想)がどんどんエスカレートして、いつまで経っても恐怖の中にいないとならない。
だから、(だからじゃないよ)、もしかしたら私は怖い話ほど読むスピードが速いかもしれない。ちゃんと計測したことはないけれど。
そんなわけで、『Q&A』一気読みでした。
こんなにも淡々と、こんなにも静かに、こんなにも不気味な時間を作り出せるなんて本当にすごい。
「怖い」と怯えながら、早く読み終わりたいと思いながら、ぐいぐいと物語の時間に引き込まれていきました。
そして、読み終わった瞬間、まるで霧が晴れるように恐怖が消えていることに気付きました。
いつの間に?
一体いつから怖くなくなったのか?
自分に問いかけても答えはなく、ぽかんとしてしまいました。
この物語が好きか?と問われれば、『すみません。私は苦手です。』と答えます。
でも、もし、この小説の感想を率直に求められたら…
『怖かった』では片づけられず、『面白かった』という感触ではなく、『驚いた』では言い表せず、
いったいなんと言えばいいのか、私の中にまだ答えはありません。 -
実験的だけど
尻窄みな感じだった。
でも、曖昧な感じの展開でも許される話だったと思う。何年かあけて2度読んだ。 -
これ、評価低いんですね。恩田ファンですが、Q&A好きです。深夜に読んだらハラハラして怖かった。
「その時の人の行動」と「その後の人の行動」、「冷静な判断」、「目撃したことを記憶すること」…恩田さんらしいですよね。
Q&Aとユージニアは同時に読んだせいか話がごっちゃになっている。どちらも好きな小説です。(両方に言えるのは関係者は死ぬってこと。)
2004年発売の恩田陸作品私はすきですよ(*^o^*) -
全編インタビュー形式という、異色の小説。会話から事件の全貌を浮かび上がらせる描写力に脱帽。徐々に明らかになる謎に興味心身で、最後まで一気に読めます。
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QA形式で読みやすかったけど途中からただの会話になっていった。。そのおかげて飽きなかったですけど!
読み進めていくうちに登場人物たちの会話にリンクが見られてきて、リアリティある会話にゾクゾクして楽しかった。
このままあらゆる視点から見た推理か?と思いきや終盤はSFチックになり納得がいかない結末でした。
自分的には、曖昧なりに、全ての人の共通点とかが発覚することで読者に推理を任せる形だったら嬉しかったかなと思いました。
2013.10 -
12組の登場人物たちによる対話からなる物語。
その1つ1つがショートストーリーを読んでいるような、二人舞台を観ているような完成度。
さすが恩田陸。群衆を書かせたら、この人は本当に巧いなあ。
大きな災害が起こると、人はそこに様々な啓示を見、自身の心の闇を投影する。
カタルシス、リセット、神(あるいは大きすぎて見えない存在)、私利私欲、憎しみ、試練、狂気...
理由なく崩れ去る日常に、人はどうにかして意味を見出だそうとあがく。
「いつもの場所、ありふれた当たり前の場所だったんです。だけど、そうじゃなかった。そんな場所でみんな死んだ。やはり、日常など、どこにもなかったんだと悟ったんです」p201
震災しかり、コロナしかり。
私たちも、常に問いを問われ続けている。
《恩田陸を読むぞ2021⑪》
ルール:図書館にある恩田陸の棚の、左側にある本から先入観無しで読んでいく。シリーズ物に当たったら、1から順に読む。
『ある女』が不思議さを散りばめてるとしたら、こちらは不気味さが散りばめられてたような気がします。(すでにうろ覚え気味な...
『ある女』が不思議さを散りばめてるとしたら、こちらは不気味さが散りばめられてたような気がします。(すでにうろ覚え気味なので‥)確かに恩田陸さんが今の今書いたら怖すぎて読めないかもです。
やっぱり怖すぎですかね。ちょっといろんな方の本棚見て恩田陸さんも探ってみます♪
やっぱり怖すぎですかね。ちょっといろんな方の本棚見て恩田陸さんも探ってみます♪