無言の旅人

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 116
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344014497

感想・レビュー・書評

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  • 「尊厳死」がこれほど難しいことか…。

    本人の意思、婚約者、血の繋がった家族。
    また主治医達。

    それぞれが考え、悩み、つらく悲しく結論が出せない。

    「大切な人が切実に望んでることを、妨げたり気付かないふりをしたりするのは、ひどいことだからね、僕はそういうことは極力しない。あなたも、そういうことはしない人がだと思う。」

  • 恋人・三島耕一が交通事故で意識不明になった。
    そして、彼が尊厳死の要望書を残していたことがわかり、
    家族の葛藤の日々が始まる。

    生きていてくれるだけでいいと言う母親、
    愛する人の望むようにしたいと思う婚約者。。。

    こんな時、婚約者は、どこまで立ち入ることができるのか。。。
    本人が望むように尊厳死を尊重するべきか。。。
    とても深い問題であり、他人事ではないと感じた。

    もし自分の立場だったら。。。
    何本ものチューブにつながれ、意識もないまま生き延びても、
    それは無駄なような気がするし、
    家族にも、精神的、金銭的に迷惑をかけたくはないので、
    尊厳死を希望したいところだけれど、

    もしも、私が生きている、というだけで、
    それが、誰かの心の支えになるとしたら。。。
    自分だけの思いで、勝手に尊厳死を選ぶことはあまりにも身勝手すぎるのかも。。。
    などとも思ったり。。。

    この本は、患者、家族、医者、それぞれの思いが深く描かれていて、
    尊厳死を考えるのに、とてもいい本だと思います。

    物語は、一転二転して、ミステリーとしても充分楽しめ、
    最後には、疑問に思っていた事が、ふっ。。。と解け、ほっとしました。
    おすすめの1冊です。

  • 尊厳死について、家族の苦悩、本人の苦悩、医療現場の現実など、考えさせられる事がいっぱいありました。

  • 尊厳死をテーマにしたミステリー
    自分の家族が尊厳死を希望した場合、もし自分が脳死状態に陥った時を考えると、答えを出すのは難しい。人の考えは状況や立場によっても変わるもの。

  • 良かった

  • なんともいえない結末。微妙

  • ある日突然事故に遭い植物状態に。家族や婚約者も知らなかった尊厳死の希望。その意向を書いた手紙の存在が周りの人間を動揺、混乱させてしまう。
    尊厳死の是非を問いかける小説かと思い読み進めていくと、実はミステリーでもあったところにより小説としての面白さがあった。
    私自身、無意味な延命治療はして欲しくないと思う一人だけれど、自分自身の気持ちとは別に、実際に命を終わらせる決断をしなくてはならない家族や主治医の複雑な想いもよくわかり、単純に尊厳死の是非は問えないと痛感した。
    重いけれど、大切なテーマを一種のミステリーとしてもうまく書かれた作品でした。

  • 難しい問題ですな・・・。
    家族はどんな形でもこの世にいてほしいと思うし本人もいざ死に向き合うと戸惑うと思う・・・。
    そのときに苦痛を感じているのか、どうなのかもわからないし・・・。
    深い内容だと思いました。

  • ミステリ調だけれど話の筋は見えてるので周囲の変化を読み、自分に照らし合わせてどう考えるのかという小説なんだろう。

  • 尊厳死

     ストーリーは雑なんだが、それだけにテーマがよくわかる。遺されたものたちの葛藤や自身の葛藤。

     なかなか難しい問題だなぁ。でも、自分のことであれば、尊厳死がいい。ただ、それを実行する方に申し訳ない。自死の選択は難しいなぁ。

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著者プロフィール

せんかわ・たまき
1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第1回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念し、医療問題を中心に社会性と娯楽性を兼ね備えた作品を発表する。著書には『転生』『繁殖』『誤飲』『疑医』『鬼嵐』などがある。本作は『幸福の劇薬』に続く「医者探偵・宇賀神晃」シリーズ第二弾!

「2020年 『偽装診療 医者探偵・宇賀神晃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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