明日の子供たち

著者 :
  • 幻冬舎
4.12
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026148

感想・レビュー・書評

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  • 児童養護施設を舞台にした物語。
    考えさせられること、新しく知ることが多かった。
    自分たちの状況を見極め、一歩踏み出そうとする子どもたち。
    それに答えようとする、職員たち。
    胸が熱くなり、何度も涙。
    読後感もさわやか。
    「かわいそう」を安易に使うべきでないのは、同感。

  • 児童養護施設の日常や、関わる人の思いが鮮明で、私なりに大事に読めたと思う。

  • これまた面白かったですねぇ〜

    なんというかきっとすごく調べてるんだろうなって思いました
    多分ですけど有川浩さんてめちゃくちゃちゃんと取材する方なんじゃないかと感じましたいや知らんけど
    とてもファクトを大事にするんではないかとそれでいてそのファクトの裏にある心にもちゃんと気付く目をもった人なんではないかな〜と感じるわけです

    有川浩さんの作品を読むといや勉強になったな〜と感じることが多々あるんですが、一方でちゃんとエンタメとしてもレベルが高いので押し付けがましいところがなくすんなり入ってくるんですよね

    今回も物語としてとても面白かったのと同時に児童保護施設の抱える問題点や課題、社会がどう向き合うべきかちょっと考えさせられましたし

    みんなが慎平ちゃんになろう!
    ってのもひとつの結論かもね

  • 児童養護施設「あしたの家」で育つ子供たちと、そこで働く職員たちの話。

    主人公の三田村慎平は、施設のドキュメンタリーを見て、その職員と子供達のお別れのシーンに感動して、施設の職員を志望した。
    新任らしい動機に、あいつむかつく。と施設では聞き分けが良い子のカナが反発する。

    施設で育ったから可哀想と思われるのがイヤ。
    ドキュメンタリーの作り話信じて、親に捨てられた可哀想な子供の支えになりたいと思っているのが気にくわない。

    16歳の少女には、自分の生い立ちを憐れまれるのが我慢ならなかった。

    カナの進学のこと、奨学金のこと、施設退社後支援センター「ひだまり」の存続危機などを乗り越えながら、徐々に新任だった三田村の熱意が、子供達に伝わり、信頼関係が結ばれていく。


    施設の子供は親を頼るつてがなく、社会の荒波に飲まれやすいデメリットを背負いながら生きていかなければならない。
    大学に進学しても、一回の入院のせいで貯金が底をつき、進学できずに退学するなど、シビアな世界だとつくづく思う。

    今後の進路について真剣に考えないといけないのは16歳の子には辛いことだが、懸命に生きていく彼らの姿は立派だと思った。

  • 「児童養護施設」を扱った話。
    なんだか重たい話のようで、なんだか避けたくなりそうなのに、作中で描かれている世界は、暗さや、辛さが見えながらも、どこか温かく、優しい。
    他の、有川浩さんの作品と同じように。
    それはきっと、「当事者」である、奏子と久志が、安心して暮らせる施設で暮らし、「自分は大切にされている」
    と以前の環境より思えて、「必要とされている」とまでは思えなくても「誰かに必要とされる存在でありたい」と思えていて、「社会に出ても恥ずかしくない自分でいたい」と思っているからじゃないかと感じた。

    読みながら、高校生の時に学校で希望者を募っていたことをきっかけに、一度児童養護施設に行ったことを思い出した。施設に着くと、ものすごい勢いで幼稚園くらいの子たちが寄ってきた。笑顔で。あれは、子どもたちに、試されていたのだと、本を読みながら、10年越しに知って衝撃を受けた。彼らにとって、どんな人間に見えたのだろう。たった1日、数時間の関わりだけれど、「やっぱり人間は信じられない」というような、失望を与えていなかったらいいな、と願う。そして、幸せに、未来を見据えて、暮らしていてほしいと切に願った。

    最後まで読み、何故、有川浩さんが、この本を執筆するようになったのか知り、またまた衝撃を受けた。
    この本は、一種の「種まき」であり、一種の「未来への投資」だと思う。
    自分と関わりのない世界のことを知るのは、難しい。いつの間にか、勝手なイメージを持ってしまう。この本がもっと広まり、児童養護施設の理解や支援につながっていってほしいと思う。
    私に確かに植えられた種に、どう水をやり、育てていくのか、考え続けたい。
    そして、新たに、種を蒔くために、他の人にもこの本を強く勧めたいと思う。

  • 大舎制と呼ばれる大規模児童養護施設『あしたの家』
    新人の三田村慎平・指導員の和泉和恵
    和恵の心の師で羅針盤の猪俣・施設長の福原
    施設で暮らす聞き分けの良い子・谷村奏子
    大人より大人な平田久志
    施設で暮らしてる事を隠してる杏里
    彼や彼女の過去や現在を織り交ぜながら
    児童養護施設を舞台に物語が、繰り広げられてゆく…。

    今迄、児童養護施設について深く考えたり、知ろうとしていなかった。
    ただ何となく漠然と思い描いていたイメージ
    児童養護施設に暮らす子供達は可哀相…。
    そんな、イメージをズバッとひっくり返されました。
    可哀相じゃない!
    児童養護施設に暮らす子供達の気持ちも良く表されてたし、
    児童養護施設の現状も知る事が出来た。
    また、施設を出た後にも、大変な事が沢山ある事も知る事が出来ました。
    私達は、もっともっと考えるべきです。
    考える必要があったなぁ。

    この物語に登場する子供達はとてもカッコ良かったし、
    それを、支える大人達もとてもとても素敵でした。

    テーマは深いですが、重くならずスラスラ読め
    何度も笑い何度も涙が溢れる。
    カナのスピーチのシーンでは、本当に涙が止まらない…。
    とっても、素敵な作品でした。

    読書の素晴らしさに、ついても触れられていて
    うんうん、そうだよね~って嬉しくなりました。

    実在の児童養護施設に暮らす少女が、有川さんに
    「自分達の事を書いて欲しい。そして皆に知って貰いたい…」と、
    手紙を出し、それが受け止められた…素敵な奇跡です。

  • 久しぶりに本を読んで泣いちゃったな。
    「昨日を悔やむ」で、まさかの自衛隊での再会シーンは猪股先生に感情移入。本当に良かった。
    施設の先生方も凄く個性的で皆さん素敵な方たち。
    施設を退所しても、「日だまり」のような場所が彼らには必要なんだという事も知る事が出来たし、
    本当にためになる本でした。

    施設長の言葉にも感謝だわ。
    本を読み続ける意味を見つけ出せました。

  • 三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。
    「BOOKデータベース」より

    「かわいそうだと思われたくない」というのは、そうだろうな、と思う.三田村先生のようだけど、自分だったら、やっぱりそう思ってほしくないと思うだろうな.
    この話を読んで思い出したこと.
    海外で支援活動をしていたことがあるけれど、同じような話がある.海外の子どもたちは3食満足に食べられなくてかわいそう、学校にも行けなくてかわいそう.まぁ、できないことが多くて、足りないものが多いので、そうなんだけど…なんでもかわいそう、とくくるのも違う気がするなぁと思っている.実際に関わってみると、足りないからかわいそうかと言われると、そうじゃないことが多い.
    なんでも思い込みで何かを決めつけるのは、自分がその立場だったらイヤだから、世の中はいろんな立場の人がいる、いろんな境遇の人がいる、と登場人物たちが悟っていくのは、すごく共感がもてる.
    子どもたちは、明日の大人たち.日本でも海外でも同じだな.

  • 児童養護施設の実態をとてもわかりやすく書いてあり今までの概念が変わりました。私の周りにも児童養護施設で暮らしている子供たちがいます。その子たちもこんな想いで暮らしているのかなと思うことでした。でもそのこどもたちを、「かわいそうな子」と感じたことはありません。とってもいい子たちだから。
    施設の子どもたちの想い、先生たちの想い、みんなに伝わればいいなと思います。

  • 有川浩さんの作品で、児童施設という題材にも興味があり、前々から読んでみたいと思っていた本。しかし、題材的にヘビーかなと思い、なかなか手をつけられずにいたのを、ついに読んだというところです。
    子供たちもそれぞれの考えがあり、向き合う指導員もそれぞれの経験則やポリシーで向き合っていく。
    現実にある問題を取り上げていると思うが、そこにうまく結果を入れていることで、ホッとしながら読みことができる。文中の「楽しく読んだものは、全部自分の糧になる」「どの本も誰かを救う可能性がある」という言葉に本の力も感じたし、この本でもそれぞれの人の気持ちに感情移入し、「心が耕された」感じがした。
    そして、最後の協力の欄を見て、ちょっと泣きそうになった。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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