数学の言葉で世界を見たら 父から娘に贈る数学

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027404

感想・レビュー・書評

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  • 以前に、時々「この本はとても丁寧に書かれた/作られた本だなぁ…」と感じる本があると書いたことがありますが(そのときは仲野徹著『こわいもの知らずの病理学講義』を読んで)、この本がまたそういう本。
    但し、後半に行くに従いだんだんと数学の深い内容になっていき、私にはよく理解出来なくなりましたが。(笑
    良書。

  • 1.不確実な情報から判断する、2.基本原理に立ち戻ってみる、3.大きな数だって怖くない、4.素数は不思議、5.無限世界と不完全性定理、6.宇宙の形を測る、7.微積は積分から、8.本当にあった空想の数、9.難しさ美しさを測る。数学の言葉で世界を見る。優しく解説してくれている。

  • 数学そのものを学ぶための本というよりは、数学という言葉で世の中をどうとらえることができるのかを知るための本であると思う。

  • 興味本位で読んでみましたが想像していたより確りした内容で、受験勉強以来数学に触れていない身としては結構辛かったです。
    他の方が書いているとおり、目下勉強中の高校生とかであれば楽しく読み進められそう。

    分配則を使って負の数×負の数=正の数になることを導いたり、べき乗でフェルミ推定を簡単にしたりと、自分の中に何となくあった数学の薄い知識が刺激される楽しさはあります。
    後半は全くついていけませんでした!

  • 数学は宇宙を記述する言葉だ。その言葉の仕組みや考え方を書いてある。事例やエピソードが中心で楽しく読める。また、ちゃんと公式の証明もあり、これがまたわかりやすい。数学が好きになる本だ。

  • 大栗先生が娘に数学を語る本。大栗先生の本はいつもわかりやすくて素晴らしい。よく理解している人は明快に説明できるという典型ですね。どの章もおもしろいですが、締めはガロア理論。やはりこれを数学の美しさの典型と考える方は多いんでしょうね。益川先生も学生の頃はガロアに憧れていた、と語っていました。大栗先生のガロア理論の解説、明快でわかりやすいです。ガロア理論について最初に読む本として本書は一番良いのではないでしょうか。5次方程式が解けない理由を正20面体の回転操作が交換しないということに結び付けて解説しています。こうした幾何学的なイメージを解説してある本、少ないような気がします。

  • 前提としている知識、考え方が丁寧に説明してあり、とても分かりやすい。ものごとを表現して、自分で考えるための数学なのだな、ということが分かり、読んでて面白い。

  • 160904 中央図書館
    大栗先生は文章が上手。

  • 『重力とは何か』、『強い力と弱い力』、『超弦理論入門』など宇宙論の本を書かせると随一の大栗先生が、副題にもあるように自らの娘に語るようにして数学について説明した本。娘を含む後の世代のひとたちに向けた「はじめに」の内容が素晴らしい。高校二年の自分の息子に本当に読んでもらいたいと思った。

    全体を通して、数学の本質を捉え、その本質を工夫して伝えようとしていることがとてもよくわかる。章ごとに見ていくと次のような内容が書かれている。

    第1話: 確率の話。特に統計理論を使うためには理解必須のベイズの定理の説明がわかりやすい。日常生活でも偽陽性や偽陰性はきちんと理解しないとね。
    第2話: 整数からゼロ、負数、有理数、無理数が数に加えられていった話。こういうところが不思議だなあと興味を持ってほしいよね。
    第3話: 指数・対数の話だけれど、ケプラーなど中世の天文学の話と絡めた説明が楽しい。後の章への布石もある。ネイピア数eって不思議。
    第4話: 数学の不思議といえばこれだという素数の話。公開鍵暗号方式という実際の役にも立っているというのもこれもまた不思議。
    第5話: 無限といえばカントール。そして、ゲーデルの不完全性定理まで説明する。不完全性定理は俗な理解をしてはいかんね。
    第6話: 幾何学の話。これはピタゴラスの定理の証明法の説明が白眉。デカルトの代数幾何、非ユークリッド幾何などもわかればよし。
    第7話: 微分積分の話。ここでの説明の仕方は本当に感心する。苦悩する高校生に読ませたい。
    第8話: 虚数の説明で、数学の不思議さを堪能できる。三角関数と指数関数が複素数を通してがっちりとつながるオイラーの公式って本当に感嘆する。
    第9話: 群論。大学に入ってから習うものだけれど、自分は、この辺りでちょっと挫折した感がある。高次方程式の解の存在について議論するためにガロアによって始まった群論は、今では素粒子理論など宇宙論に欠かせない。

    著者は、数学を習うことを新しい言葉を習うことになぞらえる。そしてカール大帝の「別の言葉を習うことは、もうひとつの魂を得ることになる」を引いて、数学を身に付けることがそれが実生活に役に立つかどうかによらず、新しく必要な考え方を学ぶことになるという。「これまで語ることができなかったことを語り、解くことのできなかった問題を解くための、新しい言葉を作る。これは、人間の知的活動の最も素晴らしいもののひとつ」だという。ここで書かれた説明は確かに、数学のツールの説明ではなく、そのツールによってどういった問題が解決できるようになったかという視点で書かれている。

    受験を終えた理系の大学一年生に特におすすめかな。もちろん自分も十分楽しめた。

    なお、この本にはWebサイトに公開された付録がつけれられている。こちらも後でちゃんと読んでおこう。
    http://ooguri.caltech.edu/japanese/mathematics


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    『強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く』
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4344982932
    『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4344982614
    『超弦理論入門』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4062578271

  • こんな人が小さいころ近くにいたらなーーーー。。。でも大人になった今でも、出あえてよかった。そう、数学ってこんなに楽しいものなんだよね。本来。

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著者プロフィール

カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授/ウォルター・バーク理論物理学研究所所長
東京大学カブリIPMU主任研究員
米国アスペン物理学センター所長

「2018年 『素粒子論のランドスケープ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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