- Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344029408
作品紹介・あらすじ
老いの兆しは、悲しいはずなのに、嬉々として話してしまうのはなぜだろう?減らない体重も、ひどくなる二日酔いも、乾燥する肌も…それは、劣った自分ではなく、新しい自分。変わる、というのは、実際はちょっとおもしろいことなのだ。「変わりゆくカラダ」を好奇心たっぷりに綴る。
感想・レビュー・書評
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老いの兆し。それに伴って変化していく体。ただただ恐れでしかなかった「下り坂」な状況をユーモラスに語れるのは角田さんだからこそ!このエッセイの連載が始まった頃の角田さんの年齢が今の自分の年齢に近いこともあり、興味津々で読みましたよ。老眼、白髪、更年期、痩せにくい体…中年女性の「あるある」に溢れていて、ああ~そうそうそう!とテーブルをバンバン叩きながら読みたい衝動に(笑)モヤモヤと感じていたこの状況、そうかこれって老化の始まりだったのかと腑に落ちることが多々ありました。
角田さんも語っていたけれど、勿論状況には個人差があるので、角田さん元気だなと思う反面、自分にとって未知の領域である「ぎっくり腰」のエピソードはぞぞぞっとしました。「それは突然やってくる」…そう、この世代になると、何かが突然やってくるのだ!その「何か」はまた人によって様々だろう。私もそれまでは、文中の角田さんのように、来たる更年期や閉経に至るまでの状況がどんなものなのか、年上の知り合いの「大人の話」を聞きながら戦々恐々としていたのだが、突如発覚した病の治療で疑似閉経&薬の副作用による更年期症状を体験することとなってしまった。これで、更年期に対する意識が少し変わったね。
そういう意味で、共感ポイントは人それぞれであり、若い読者にどこまで受け入れられるかはわからないけど…「ちょっと自虐ネタばっかじゃない?」なんて思わず、過度にビビらず、面白がってくれればなと思う。
「私自身の意識としては、そんなに古びていないのに、容れ物は勝手に軽々と年数を受け入れていくのである。」
あとがきのこの一文に、すごく納得!じわじわとくる変化にがっかりしたりため息をついたりすることも多くなるだろうけど、ある程度は笑って受け入れるしかない、その覚悟が少しできたかしら。
ちょっと大きめの活字も読み易くってよかった。短めのエッセイだからということもあるかもしれないが、もしかしたら内容的に、読み易さも考慮してくれたのかなと思っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「容れもの」という表現が独特。
外の話も中の話もあって、
それぞれの変化やそれに対する思いが綴られて。
アラサーの私には、
共感する領域と、まだ知らない領域とがあったが、
未来の自分を想像する一ヒントになったと思う。
共感できたのは運動を始めるということ。
私も最近ランニング→トレイルラン、を始めた笑 -
角田光代さんとほぼ同年代だったんだ。へぇー。
あと数年したら同じようなことを思うのかなと。へへへ。
確かに、老眼の話はチラホラ聞くようになったかな。
そういう自分はもともと近視&乱視のせいか、自覚症状はないけど、そのうちきそう。
加齢は誰にも避けられないから、これは変化を楽しまないと損だよね〜。 -
アラフィフになった角田光代の更年期障害あるある。
集中力がなくなったとか、ほてりなのか本当に暑いのかわからないとか、体重が簡単には減らなくなったとか、霜降りより赤身とか、著者と同年代の私はいちいち「あ〜、わかるわかるw」と共感したり、老化を認めたくない著者に「諦めろ!」と突っ込みを入れたり、友達と話しているような気分で読めた。特に「更年期について語る女性が皆一様に楽しそうなのは、体の変化を面白がっているからだ」という一文は大いに同感。更年期は体の変化が多過ぎて、新しい(しかも扱いづらい)自分を生き直してる感じ。
取り敢えず角田光代氏には、更年期以降は転ぶとヤバいので泥酔しないよう自重して頂きたい。 -
角田さんとは歳が近いので、読んでいて共感する話が沢山あって「一緒だ、そうそう!」と大興奮。
例えば、私も10代の頃から読書好きだけど、今よりも文字の小さい文学小説をよく読んでいて今は無理と思っていた。角田さんもそうと知って嬉しくなりました。
とにかくいっぱい共感どころがあって、読んで良かった~と思いました。 -
四十も後半になり体の変化についてのエッセイ。
うーん、本当にまだ若い私には関係がないし参考になるほど心境が描かれずただ身近なおばさんの話を聞いている程度。
閉経のことは私も知らなかった。 -
図書館で何となく手に取ったけど読んで良かった。自分はまだ20代でこの先の身体の事なんて全く想像つかない分驚かされる内容も多かったな。
今のうちに少しでも健康に気を遣おうと思う反面、年齢を重ねるのも少し楽しそうだと思えた本でした。 -
【実際に、「もし」の発生地点に立ち戻ってみても、「もし」ではないほうを何度だって選んでしまうのだろう。そして、私たちは永遠に、「もし」の先を知ることがない。】
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40代後半の著書が、私というものの容れものになっている、体について書いた連載。更年期をはじめ、いろいろな体の変化を面白おかしく描かれていて、そうなんだあとか、そういうことあるある‼︎と共感したり、楽しく読めました。
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歳をとることについて考えさせられた。
歳は20以上作者が上であるが、軽快なタッチで親近感を感じながらサクサクと読めた。
35歳を過ぎたらランニングをしたくなるとのことだが、30歳の私にはまだ分からない。 -
外見や身体を容れものとゆう表現がすき。
歳を重ねるのが怖いような、楽しみなような気持ちになるエッセイ。歳を重ねるにつれて欠点が突出してくるらしい。憎まれないチャーミングな大人に私もなりたいなあ -
少しずつ歳を重ねて変わっていく身体の話。
私も最近急に白髪が増えてきて戸惑っているので、こういう変化について事前に聞けるのはありがたい。
だって母とか姉妹に聞くのは恥ずかしいから。
それともいざ更年期真っ只中!になったら恥ずかしいどころではなくなるのだろうか?
本書に、若い時に運動をしていた人は年を取っても勘を取り戻すのが早いとあって、なるほどなるほどと頷いたが、同じように読書もそういうものがあり、読書体力という考え方が面白かった。
確かに私も有り余る読書体力を発散させるべく読みまくっていたが、その勘は衰えていない気がする。
それでも活字を目で追い、咀嚼して、わからないなりに理解するというのは体力を消耗するので、気力の落ちてくる年齢になると疲れてしまう。
そのうち著者みたいに漫画も読むのがしんどくなるのかな。
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歳を取る。ということにこれまであまり興味のなかった私。逆に年齢を重ねるたびに肩の力が抜けたような気がしてすごくリラックスした自分がいた。
それがここ最近、体の変化が如実に表立って出てくるようになり急に不安になってきた。
その変化の理由を調べてみたところ、なんと全て老化現象だと書いてある。
老化現象!
あー、一番聞きたくなかった言葉だなー。とうなだれたりもしたけれど、これまで生きてきた年月以上にこの体と付き合っていかなきゃいけないんだなー。と改めて実感したそんなリアルの一冊でした。
角田さんの文章心地よいよね。 -
身体のことを少し知りたくて買ってみた。
勿論、実用書の情報量を求めてはいけない。
あくまでも、エッセイ。
普通の面白さが沢山詰まっている一冊。
ところどころに、膝を打つ表現や新しいことを知ることができる。 -
老化とか加齢とかあまり受け入れたくないものだけど、そのことを面白がりながらレポートしてくれるエッセイ。
ダイエットをしようと思ったら、まず自分に合うものを探さなくてはならない。人格の如く、個性的なもの。
私達は常に「もし」の誘惑と共に生きている。生きている時間が増えるにつれ「もし」などないと実感する様になり、今の自分を積極的に肯定したいが為の仮定になった。
加齢イコール人間ができてくる、は崩れ去り欠点が増長されていく。可愛げがある憎めない老人にならないと…
移動距離はウィルス系の病気を考えるとき、随分重要。移動距離が少ないと風邪をひかなくなった。マスクをするのは大切。 -
自分の老いを見つめるエッセイ。
私が漫画を読まなくなったのは、最近の漫画が難しくなってきたからではなく、自分の漫画体力が低下してしまったからだったのか…。 -
今後私も同じような事を体験するのだろうなと思う。
色々参考になった。 -
「補強される中身」がよかった。
角田さんが検査好きなのだということが、よく分かって、何だかチャーミングだなと思った。遅延型アレルギー検査、エクオールが体内で作ることができるか否か検査、更年期かどうかわかる検査、きっと他にも?を衝動的に受けている -
タイトルはシンプルに自分の身体のこと-とりわけ加齢により変化する-をテーマに書いている。周囲でたくさん語られている世間話のレベルのテーマだが角田さんが持ち出すと一つ深くなる。
加齢によりできなくなることが増えるが、『変わる、というのは、その前にはなんだか不安に思うけれど、実際はちょっと面白いことなのだと思う。』『変化したことで、新しい自分になったように感じるのである』かくして、視力が落ちたなんて話を嬉々とするわけですね。
人間ドックは中年向けのコミュニケーションツールである。
中で「補強される中身」がおかしかった。
加齢イコール人間が出来てくる と小さいときから思っていたが、最近違うような気がするという話。
『人は年をとっても、よりよい人間になったりはしない。』
『急いでいた人はますます急ぎ、怒りっぽかった人はますます怒りやすくなり、たいてい、不寛容になる。寛容に見えるときもあるが、それは認めているのではなくて、どうでもいい、つまり興味がないのである。どちらかというと、美点より、欠点のほうが、増長されていくような気がする。』
『ちいさな欠点は私たちのなかに小分けで詰まっている。でも、それらが飛び出してこないように私たちはいつも注意を払っている。』
『生きていくということは、たしかにいろいろ経験はすることではあるけれど、経験し、賢くなっていくといよりは、経験し、「自主規制しなくても、ま、平気らしい」と知っていくことなのかもしれない。』
納得です。年とると生きることに慣れて、少し図々しくなり「自主規制しなくても、ま、平気らしい」と思うようになる。犬が用心して鼻をひくひくしていたのが、安心と知って、出て来るみたいなものだ。出てくるのが他所様に見せてはならじと思っていた欠点なんだから周囲はいい迷惑だ。
『寛容に見えるときもあるが、それは認めているのではなくて、どうでもいい、つまり興味がないのである。』というのも鋭い。年とると興味の範囲が狭まってくるので、興味の範囲外が増えているだけだ。
ダイエットはその人との相性がある。ただ、『だけ』ダイエットは、どんな体質のどんな性質の人にも効果はない。
『自分が美しくないということは、もっとずっと前から知っていた。「かわいい」が砦であったのだ。』『この容姿問題には逃げ道がある。「私はかわいくないかもししれないが不細工とまではいかないであろう」という中庸にすがるのである。その中庸はある意味ではパラダイスである。そこに安住していれば、きれいなろう、痩せようという努力を放棄できる。
連載期間中、ギックリ腰を二回、尾てい骨の骨折を一回している。その話がまたおかしい
のだが、それは加齢に関係あるのかないのか。同世代のものがこうした事故にあっているところを見ると関係あるのかもしれない。 -
私も将来こうなるのか…と思うと怖いけど、みんななるならいいかな(笑)。
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同じことを書き方変えて何回も聞かされている感じもあるけど。
やっぱり小説の方が好き。 -
こんなふうに自らの容れものと向き合い年齢を重ねて行くのは楽しい。「目指すべきは、悟りでも賢さでもなく、『憎めない』人になることなのである」
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久々に角田光代さんのエッセイを読んだ。
加齢という、誰にでも等しくやってくる悲しい現実を、ユーモアたっぷりに表現していて、相変わらず面白かった。そう、誰にでも来るのだからビクビクその時が来るのを待つのではなく、自分の変化にこっちから受け入れてやる〜!って思わせてくれる明るい内容でした。 -
40過ぎの女性あるある。赤裸々に語っています。角田さんの性格が垣間見れます。
男性が読んでもまあ、理解の一冊になるかもしれませんが…男性向けではなく、女性向けか。しかも、同年代が一番しっくりくるのではないかなあ。 -
加齢あるある。角田さんは自分より少し年上だが共感+自分もこう感じるのかなという思いで読んだ。女性の加齢という部分のみならず、酒を飲み始めたらとことん飲んでしまって自制できないところが一緒(笑)
読書の「体力」が10代半ば~20代半ばがピークというのはその通りなんだろうな。それが年取って減ってきても、運動能力のように残って今も読んでいる。学生のときに長くて分厚い古典をたくさん読んだのが糧になっている。