毒島刑事最後の事件

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 791
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344036444

作品紹介・あらすじ

史上最悪の刑事VS史上最低の犯罪者
SNSの悪意×匿名性×依存性が引き起こす災厄。
鋭い舌鋒で容疑者を落とす百戦錬磨の刑事・毒島が、
卑劣な敵を相手に最後の戦いに挑む。



刑事・毒島は警視庁随一の検挙率を誇るが、出世には興味がない。犯人を追うことに何よりも生きがいを覚え、仲間内では一を話せば十を返す能弁で煙たがられている。そんな異色の名刑事が、今日も巧みな心理戦で犯人を追い詰める。大手町の連続殺人、出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸攻撃……。捜査の中で見え隠れする<教授>とは一体何者なのか?かつてない強敵との勝負の行方は――。手に汗握るノンストップミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 毒島刑事が名前の如く毒舌を畳みかけ、容疑者を落としていくのが圧巻の連作短編集。連続射殺事件、出版社連続爆破事件、連続塩酸浴びせ事件、連続硫酸タリウム注射事件(どれも連続だねえ)の犯人たちを教唆する「教授」という存在が浮かび上がる。集団にはなじまないが、鋭い洞察力を持つ毒島は次々と犯人を追い詰め、教授に迫っていく。さすがの麻生班長も若き日の犬養隼人刑事も茫然自失の有様である。事件自体は卑劣・悲惨なもので、うわっと思うが、ミステリーとしては読みごたえありだ。勿論、どんでん返しぽいものもある。毒島が辞職して作家になるのもどんでん返しか。

  • 毒島刑事 シリーズ2

    毒島刑事が、作家刑事になる前の話。

    刑事としての勘は抜群。捜査手法は、鉄壁。いち捜査員としての評価は高いが、皮肉を言わせれば、日本一。毒舌に至っては、天下一品の毒島刑事。
    そんな、毒島刑事だが、
    取り調べの最中に、容疑者が自死し、内外からの批判が噴出。その生贄となり、依願退職を申し出て、あっさり、退職が決定した。

    前作よりは、面白かった。

  • うふ。うふふ。うふふふふ…

    いやぁ〜今作も冴え渡る毒島の長ゼリフ。
    そして小馬鹿にしたこの笑い( ̄▽ ̄)素敵

    作家毒島の刑事時代のお話です。
    前作にも自称小説家や一発屋の小説家をぶった斬って
    毒を吐いた毒島ですが、今回も自称小説家らしき容疑者を完膚なきまでに追い詰めてました。
    もう中山七里が喋ってるのか毒島なのかって感じ。
    まさに立板に水の如しです。

    ひたすら爽快な取り調べ(°▽°)

    ドラマ化されてますね、観てないけど。
    佐々木蔵之介の長ゼリフ観てみたいわ(〃ω〃)

  • 「作家刑事毒島」の毒島の現役刑事として関わった最後の事件の話。大手町会社員射殺事件·出版社連続爆破事件·婚活女性へのアシッドアタック·昭和の惨殺事件の犯人達への復讐事件を天下一品の毒舌と皮肉で犯人を追い込んでいく。他では切れる上司の麻生と新人部下の犬養が振り回されているのは楽しい。犯人の劣等感を容赦なく攻撃する展開は痛快だが呆気ないな、と思っていたら全てを繋ぐ「教授」の存在が浮かび上がってからが本番。自分の手を汚さない「教授」との対決の二転三転や結末に毒舌皮肉が効きまくり本領発揮!が堪能出来た。また作家編か刑事編が読んでみたい。

  • 大手町の連続殺人、出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸攻撃、それらの事件の陰に”教授”が存在していた。頭が切れるが毒舌の毒島が犯人に迫る。
    毒島、独特のキャラクターで読むこちら側も楽しませてくれる。心理戦、痛いところをどんどんついてゆく、自白に追い込む毒島も読み応えあるが、今回の社会派内容としては、承認要求、劣等感…今を反映しているのかな。歪んでました。
    この事件を最後に去ってしまったのが寂しいね。
    敵に回したくない人だなあ、さようなら。

  • 『作家刑事毒島』の、刑事時代最後の事件をえがいた連作短編集。

    ブラックユーモアがおもしろい。

    警視庁随一の検挙率で、有能だけれど信用はできない、毒島真理警部補。
    その毒舌で、容疑者を精神的に追い詰めていく。

    きわめてねちっこく、相手の傷を容赦なくえぐっていく。
    毒島は嫌な奴なのに、容疑者を追い詰めるさまには、どこか痛快さがある。

    どの事件も、犯人が犯人で、同情の余地がないからかも。

    • KOROPPYさん
      >goya626さん
      こんにちは。

      そうです、新刊です。
      出版社をこき下ろすブラックユーモアが今回も健在で、前作がおもしろかった方...
      >goya626さん
      こんにちは。

      そうです、新刊です。
      出版社をこき下ろすブラックユーモアが今回も健在で、前作がおもしろかった方には、本作もおすすめです^^
      2020/08/15
    • goya626さん
      毒島、人間としては、どうもなあですけどね。
      毒島、人間としては、どうもなあですけどね。
      2020/08/15
    • KOROPPYさん
      >goya626さんへ
      読んでる分にはおもしろいですが、リアルでは関わりたくないタイプの人間ですね。
      >goya626さんへ
      読んでる分にはおもしろいですが、リアルでは関わりたくないタイプの人間ですね。
      2020/08/16
  • 毒島シリーズの2作目。
    時系列として前作より前になるのかな。
    序盤からの4つの事件。それを裏で操るとされる「教授」。
    個々の事件を解決しながら真の黒幕を暴く物語。
    毒島の狡猾な捜査。話術で真相と容疑者の精神を破壊させる取り調べ。
    結構面白かったです。
    翻弄させる麻生と犬養も他の作品では見られない姿で。
    最後の展開は壮絶で「最後の事件」という結末になったけど。
    毒島のキャラクター、またどこかで見たい!

  • 毒島が現役刑事として最後に扱った事件(事件終了後に引責辞任することとなった事件)を描いた作品。「作家刑事毒島」の前日譚。

    「不倶戴天」「伏竜鳳雛」「優勝劣敗」「奸佞邪智」「自業自得」の5篇で構成される。各事件の犯人は、社会に不満を抱く落伍者たち。彼らは、その不満や憎しみを〈教授〉なる謎の人物に煽られ、犯行手段を示唆され、犯罪へと巧妙に導かれていた。一連の事件の背景には、殺人教唆罪に問えそうもない完全犯罪が潜んでいたのだ。毒島は、〈教授〉を追い詰め、裁くことができるのか?

    「刑事としての勘は抜群、捜査手法は鉄壁。いち捜査員としての評価は高い」が人間性に難ありで、周りから疎まれる毒島。確かに、被疑者を容赦なく責め立てる毒島の毒舌は強烈で、倫理観が欠如した態度と言動は周りの刑事を不快にさせるばかり。だが、読者にはその不快感は伝わってこず、むしろニヒルに犯罪者を追い詰める姿が痛快でカッコいい(著者の術中に嵌まっているな)。毒島もシリーズ化されないかな。

    「犬養は2年前から一課に配属されたばかりの捜査員」とあり、犬養が駆け出しのぺいぺいとして登場する。これも新鮮だった。

  • 明晰な頭脳とずば抜けた能力を持ちながら人格にやや難のある刑事「毒島」の活躍を描いた一冊だ。
    中山作品ではおなじみの犬養刑事がまだ新人扱いの若かりし頃の物語になっている。

    身勝手な思想から起こる理不尽な犯罪の影に潜む、殺人教唆をうかがわせる『教授』と呼ばれる人物。
    彼、あるいは彼女はいったい何者なのか?
    姿を見せない悪人を毒島が追う。

    彼の毒舌の長口上は中山作品の露悪的で粘着質な部分がいかんなく発揮されていて、読んでいて気分が悪くもあり、中山さんらしいなあ、という気持ちにもなる。

  • 毒島真理。-普通の刑事は足を使うのに、毒島は言葉を使う。- そうなのだ。『言葉』で攻め『言葉』で落とす。もうやめてと言いたくなるのだ。毒島VS<教授>。あー、恐い。刑事2年目のルーキー、犬養隼人も登場。(犬養刑事シリーズ大好き) うふふふ。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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