空にピース

著者 :
  • 幻冬舎
4.12
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本棚登録 : 1285
感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344039100

作品紹介・あらすじ

公立小学校教諭のひかりは、都内の赴任先で衝撃を受ける。立ち歩き、暴力、通じない日本語……。強くならなければ、子どもたちは守れない。

公立小学校の教師になって五年目のひかりは、都内の赴任先で出会った人々に衝撃を受けていた。日本語が話せないベトナム国籍のグエン・ティ・ロン、授業中に教室を出て行く今田真亜紅、不登校気味で給食だけ食べに来る佐内大河、クラス分けに抗議をしにくる児童の母親…。
ひかりの前任者は鬱で休職中。さらに同僚からは「この学校ではなにもしないことです。多くのことを見ないようにしてください」と釘をさされてしまう。
持ち前の負けん気に火がついたひかりは、前向きな性格と行動力で、ひとりひとりの児童に向き合おうとするが……。
虐待、貧困、性暴力――。過酷な環境で生き延びる子らに、悩みながら寄り添うひかりが最後に見た希望とは。

感想・レビュー・書評

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  • ムク助さんの本棚にあり、とてもよい本とおすすめされていた本。
    読んでみて、胸がいっぱいになる、心に残る本でした。おすすめありがとうございます。
    「学校の先生って、何て大変なんだろう」と、改めて心に刻まれました、強く。

    主人公の澤木ひかり先生は、6年2組の担任。様々な家庭の子供達がいるクラス。貧困世帯。不法滞在者家庭。育児放棄や、児童ポルノなどなど、たくさんの問題が山積みの学校でした。家庭の問題、社会の問題にどこまで、教師として介入できるか??も、悩みどころです。
    そして、世の中や、家庭の大変さは、無力である子供達にのしかかってくるものです。子供は悩みごと、辛いことがある時、なかなか、人に話したり助けを求めたり、できないものだと感じます。

    「子供がとる行動にはすべて理由がある」
    この物語の、ひかり先生の行動力には、頭が下がりました。気づいてあげられても、なかなか踏み込めないことが、現実には多いように思います。
    教員という仕事の大変さは、私には実際にはわからないほど大変だと感じます。その大変さゆえに、先生が心を病んでしまうとよくききますし…。でも、それはこのひかり先生のように、頑張って子供達に寄り添って導いてくれる先生達が現実にもいるからなんだと思いました。

    今日は9月1日夏休み明けが、多いと思います。子供達皆が元気で登校できますように…と、願わずにはいられないです!

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ムク助さん、こんばんは!!
      コメントありがとうございます!この本をよんで、私もムク助さんと、同じように思いました。読めて良かったです。良い本...
      ムク助さん、こんばんは!!
      コメントありがとうございます!この本をよんで、私もムク助さんと、同じように思いました。読めて良かったです。良い本でした~(^o^)
      2022/09/01
    • mei2catさん
      ご紹介、ありがとうございました。ラスト大好きです。
      ご紹介、ありがとうございました。ラスト大好きです。
      2022/12/06
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      mei2catさん、おはようございます(^^)
      こちらこそ、いつもありがとうございます!
      私もムク助さんのレビューを読んで手に取ったのです!...
      mei2catさん、おはようございます(^^)
      こちらこそ、いつもありがとうございます!
      私もムク助さんのレビューを読んで手に取ったのです!
      とても、良い本でしたよね~
      コメントしていただき思い出して嬉しく思いました~(^ー^)
      2022/12/06
  • 安定の藤岡陽子さんの作品。彼女の文章は漢字とかなの配合率がいいのか、難しい表現を使わないところがいいのか、行間の間隔がいいのか読みやすくってストーリーに入り込みやすいんですが、今回のは問題がてんこ盛りでおまけに、ミステリー仕立ても相まって消化不良おこしてしまいました。

    澤木ひかりは教師5年目にして問題のある小学校に赴任してきた。はじめて高学年を受け持ったのですが、前任の教師はノイローゼになり休職して引継ぎなしに6年2組の担任を任される。そこに集う児童たちはすごかった。都内でもワースト1位の貧困層が暮らす地区らしく、授業中教室を抜け出してフラッといなくなる子に、日本語の解らないベトナムの子、お腹が空くと給食を食べに来る不登校の子などなど、1人でも大変なのに新任教師には荷の重すぎるクラスでした。
    様々な問題が山積みで、貧困に不法滞在、育児放棄に虐待と家庭に問題のある子たちなんですが、問題のなさそうな子供にも抱えている悩みはあって、ひかりは全力で寄り添おうとしている。プライベートの時間も裂いて献身的に寄り添うひかり、わが身に降りかからぬよう無関心を装う先生も多いなか、養護教諭の水野先生の存在はひかりにとって支えになったと思います。
    一人でも理解してくれる同僚がいるってことは嬉しいし話を聞いてくれるだけでも半分は軽くなるし前向きになれますよね。
    子供たちは親は選べない訳だけど、どの子にもラッキーが巡ってくるといいなって思いました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      あ、双六小屋の方のYou Tubeもあった…!!
      素敵すぎる〜(ღ˘͈︶˘͈ღ)♪•*¨*•.¸¸♬.。:*+゜.。:*
      あ、双六小屋の方のYou Tubeもあった…!!
      素敵すぎる〜(ღ˘͈︶˘͈ღ)♪•*¨*•.¸¸♬.。:*+゜.。:*
      2024/03/24
    • つくねさん
      みてくれたんですねww
      別世界が広がってて歩くたびに感動するんですよ。
      新穂高からひらすら歩いて双六小屋まで6時間くらいかかるんですけど...
      みてくれたんですねww
      別世界が広がってて歩くたびに感動するんですよ。
      新穂高からひらすら歩いて双六小屋まで6時間くらいかかるんですけど
      調子悪くなってしまい双六小屋のテン場にテント張りました。
      本当はあと2時間歩いて三俣山荘まで行いって夕方にジビエシチュー食べて翌日、鷲羽岳に登る予定でしたけどヘロヘロになってしまい断念したんです。今年はリベンジしたいです。

      2024/03/25
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      つくねさん、リベンジ頑張ってくださいね。その様子をまた教えてくださいねっ(^^♪

      そっかぁ〜、テントねぇ。
      そういえば小学生の頃家族で父親...
      つくねさん、リベンジ頑張ってくださいね。その様子をまた教えてくださいねっ(^^♪

      そっかぁ〜、テントねぇ。
      そういえば小学生の頃家族で父親がアウトドア好きだったのでキャンプ場(山、海)によく行ってテント泊は、経験してました〜
      (山登りはしてませんケレド…笑)
      テント道具一式持っていって飯ごうで炊いたご飯とかが美味しかったり、テント内で寝るのもワクワクしたのを記憶してますね…。

      前にもしじみさんにコメントしてたようにも思うけれど、社会人になってから、すぐくらいに山登りは数回したきり。富士山登って来たのを最後にそれきりですね…
      めっちゃキツかった〰️笑。でもあの時頑張って登っておいてよかったという自慢の思い出ですよ  ദി ᷇ᵕ ᷆ )♡
      鷲羽岳の登山動画みてしまって…
      こんな絶景みれるなら行きたいなぁとは思うけれど…今となっては体力気力ともに…
      絶対、無理、無理、無理〜^^;
      つくねさ〜ん♡頑張ってね〜( ˆ࿀ˆ )⚑⚐

      2024/03/25
  • 「問題のある子」と言ってしまえばそれまで。
    澤木先生は必死に寄り添い、その子たちの気持ちを理解しようとする。「もっとこうしていたら」という後悔を二度としないために。
    子どもがとる行動には、すべて理由がある。
    みんなの心に澤木先生の思いが届いて良かった。

    重いテーマを扱っているが、とってもさわやかな読後感。ミステリーの要素もあるが全てきれいに回収され、ラストはあたたかい涙。
    うーん、とてもいい本だった。おすすめ。

  • 読みごたえのある一冊


    ある小学校へ赴任される女教師の話なのだが
    直面する問題があまりに重い。


    自分にはどうにもできないような問題ばかりだが
    それでも子どもたちをどうにかしたいと
    奮闘する姿はとても胸が熱くなった


    教師っていう仕事は怖いとあったけど
    本当にその通り。
    正解はないし
    後悔し出したらキリがない。
    なかなかできる仕事じゃないなと
    改めて感じました


    人生の中で小学生6年生は通過点しかないけど
    それでもその先生がいるのといないのでは
    どれだけ人生が変わるのかと考えさせられました


    読了感はなかなかよく
    これだけの重たさですごいなと思います

  • 小学校の教師になって五年目の澤木ひかり。
    彼女が赴任先で受け持った六年二組は、とんでもないほど問題を抱えたクラスだった。

    だが澤木ひかりは、真正面から向き合っていく。

    今の学校は、縦割り社会で校長の言うとうりに事を運ばなければ勤めることはできない。
    サラリーマンと同じである。
    問題があっても、穏便に済ませ事を荒立たせることがあってはいけない…というような。

    澤木ひかりは、生徒のことを第一に考え、寄り添う。
    こんなにも一生懸命で真っ直ぐな先生が、現実どのくらいいるだろうかと思ってしまう。
    子どもたちにとってもまさしく光である。

    「子どもたちの幸せな笑顔が見たくて教師になったのだから」と言ってくれる先生が、たくさんいてくれれば…と願う。

  • 本当に、教師って大変な仕事だと思う。私は、子どもの担任の先生には、感謝しかない。幸せなことだとも思った。
    「子どもの7人に1人が貧困」って、実感がわかないけれど、そういわれて数年は経つと思うし、虐待やネグレクト、それこそ、親が給食費を払ってくれない、なども現実にあるんだろうと思う。
    本書がフィクションだとしてもこの世界のどこかにこんな子がいるのかと思うと胸が痛む。こうして物語にして多くの人に読んでもらえるのはシンプルによい。

    しかし、この物語を読みながら感じた違和感は「大人の連携のなさ」。ひかり以外の教師、学校、行政は何をしてるの?という違和感。
    赴任したてのひかりにそこまで責任を負わすの?学校はこれまで何もしてなかったのに、ひかりを責めちゃうの?学校内の教師の連携がないなら、行政との連携は?
    とてもじゃないけど、赴任したての若い教師が一人で立ち向かえる問題じゃなさすぎる。それをわかってて、校長も副校長も相庭も、ひかりに全てを負わそうとしているのならば、生徒より、教師が問題なんじゃ・・・

    例えば真亜紅のこと。彼が教室を出ていくのなら放っておけ、他の生徒に危害を加えないならそれでよい、というのには一理ある。しかし、そこで終わるのではなく、なにがしかの対応をしなかったら、それはただの放置。学校の、教師の、責任になる。というのは、教育現場の実情を何も知らないから言えることなんだろうか。実際その立場に自分がなったら、相庭がいうように「異動までもなにもしない」、そうなってしまうのだろうか。
    学校・教師で手に負えないのなら行政を頼れないのか。もしそれも機能しないのなら、今後深刻な問題は放置されまくりの日本になるな・・・、とちょっと絶望しかけた。

    問題児を抱えるひかりの奮闘に、さらに殺人事件までが絡んできて若干ミステリーチックになり、少し物語と自分の気持ちが離れた感があったけれど、先が気になり、どんどん読み進んだ読書だった。

    「子どもがとる行動には、すべて理由がある」

    ずっと辛く、重い雰囲気が漂う話だったが、ひかりが教師としての大切な気づきをその都度その都度心に刻んでいく様が、とても尊かった。こんな教師が救われる社会、仕組みでありますように。

    「ひかり」という、いち教師の物語だが、やはり私の大きな関心は子どもたちへ向かう。子どもへの虐待、ネグレクト等々、絶対に見過ごされてはいけない。環境や親を子どもは選べない。大人になりきれない大人から子どもたちを救うために、自分には何ができるのか。大きな宿題を課せられた気がする。

    「神様、どうか、この世に生まれたすべての子どもたちを、幸せにしてください」

    ひかりのこの言葉が少しでも叶いますように。

  • 信じられる人がいる。それが心の支えになる。
    虐待、貧困、性暴力。子どもたちを取り巻く様々な問題。
    担任のひかりは、教師として、関わる大人として、子どもたち一人一人と向き合い、その子の幸せを悩み考えながら、自分にできることを尽くしていく。
    そして、その想いはちゃんと子どもたちに届いていく。
    しかし、それでも、どうにもならない現実もある。罪もない子どもが苦しまなくてはならないなんて。

    教師は大変な仕事だ。仕事量も多く責任も重い。やりがいのある仕事には違いないが、あまりの大変さに心が折れて去っていく人も多いのだろう。

    外国籍の就学不明児の数には驚いた。都内で八千人を超えるという。この数は令和3年度も変わっていない。知らなかったことが恥ずかしい。日本語が不自由な子どもたちへのサポートが足りないことも知った。
    それらを教師一人の力に頼るには限界がある。社会全体で考えるべき大きな問題だ。考えさせられる。

    子どもたちに一生懸命なひかり。純粋な心を持つ子どもたち。希望を感じるラストに勇気をもらった。

  • 一気読みでした。
    良くも悪くも書かれている小学生はみんな素直で、その子らに本気でぶつかる先生がとても眩しかったです。
    いろんな問題を抱える子がいる中で、どう関わっていくか、どんな力になれるのかを考え、
    子どもの変化にやりがいを感じられる人は教師に向いているし、なんなら自分の先生になってほしかったと思います。

  • 『空にピース』 藤岡陽子 (幻冬舎) | 店員のおすすめ | 谷島屋書店|小説・コミック・専門書・ブックカフェ
    https://www.yajimaya.co.jp/recommend/?mode=detail&article=682

    shirako illustration - 空にピース
    https://rakoshirako.com/1621999f2539f5

    小説幻冬3月号発売!藤岡陽子さん特集ほか|「小説幻冬」編集部より|幻冬舎編集部 - 幻冬舎plus
    https://www.gentosha.jp/article/20527/

    空にピース | 株式会社 幻冬舎
    https://gentosha.sakuraweb.com/book/b14192.html

  • 親の平均所得が低く、学区は都内ワースト1の学力。
    ひかりが教師になって5年目の赴任先は、今までの小学校とは違っていて……。

    貧困、虐待、育児放棄、日本語が不得手な在日外国人。

    これでもかと詰め込まれたクラスの問題に、ひとつひとつ向き合っていく。
    熱心なひかりの頑張りと、こどもたちとの心の交流には、じーんときた。

    優美のように、逆境でも荒むのではなく頑張る子、賢く、協調性のある子がいるのも救い。
    クラス自体は明るく、基本的には仲がいいので、暗すぎなかった。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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