レッドクローバー

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344039964

感想・レビュー・書評

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  • プロローグ
    第1章 夏
    第2章 鎖
    第3章 火
    第4章 怒
    第5章 子
    エピローグ

    ヒ素が使われた無差別の殺害事件と
    過去の未解決事件が絡み合い、
    徐々に真相が明らかにされていく。

    一見無関係に見える場所も時期も異なる
    事件の根底に息づく歪んだ親子関係。

    抑圧された環境で捻じ曲がり、すり減って
    しまった精神が辿った結末。

    生まれた環境ゆえに人生を選ぶことも叶わず、
    ただ生きることさえもままならなかった
    子供たちの胸に深く刺さる物語でした。








  • なんだか何が言いたかったのかよくわからず、ただただ長い文章を追いかけていた感が否めない。ヒ素がそんなに身近にあって軽い気持ちで殺人を犯すことも理解できないし、やるせなさだけがどこまでも増長していくばかりだった。事件に関わった人はみんな掘り下げても私には上滑りしてどうにもこうにも残念すぎるほど。
    作家さんの相性もあるのかも。

  • 待望のまさきとしかさんの新作。期待を裏切らない面白さ。イヤーな物語ですが厚さを忘れるほどとにかくグイグイ読まされてしまいます。「この人はどうなるのか」「この人はどう絡むのか」と考えながら読むのに「そう来るか!」という嬉しい裏切りが後半どんどん押し寄せます。その一人一人の理由(動機)も狂気的だったりとにかく邪悪だったりするのにいつの間にか納得させられてしまう筆力に驚きます。物語の舞台である土地の習俗的な重苦しさ、主人公の置かれた凄まじい生育環境と孤独。救いがない話ですがページをめくる手が止まらなくなるミステリーを読む楽しみを久々に堪能しました。

  • 暗い
    この前に読んだ「白ゆき紅ばら」となんか雰囲気が似ていて・・・
    真相が知りたくて、アッという間。に読んでしまった。

  • 毎回思うのですが、この作者の文章は好みですね。
    とても読みやすいです。

    今回も楽しく読めたのですが、んー。
    死ぬ殺すが多すぎて、あまりにも…な人ばかりで
    なんだろう。
    湊かなえを読んでる気持ちになりました。


  • 村社会の闇。
    みんな共感出来ない嫌悪感だらけの登場人物だけど
    誰が悪いわけでもない、誰を責めるべきなのか。
    お金がない、教養がないという事の悲劇。
    まさきさんの本は読みやすくあっという間の読了。

  • 『他人に誹謗中傷すると、脳内に快楽物質のドーパミンが分泌されることはよく知られている。快楽を求めてより強い刺激を求めるため、どんどん攻撃性が増していくらしい。』
    プロローグにある言葉をなぞるように、怒りと悪意に満ちた人間ばかりが登場します。
    読んでいくうちに、自分はもっと温かな人との繋がりの中にいるから大丈夫。と思いながらも、足元にぽっかり空いた暗い穴の中に、次の瞬間には堕ちてしまうのではないかという不安な気持ちにとらわれてしまう…。
    最初から最後まで暗い不穏な空気をまとった作品でした。
    それなのに、続きが気になって、焦るように最後までページをめくり続けてしまいました。読ませます‼️
    ミステリーとしても秀逸。

  • 過去と現在
    北海道と東京
    点と点が徐々に繋がってゆく

    これは本当にちひろ?それとも三葉??
    これは本物の久仁子?

    誰が本当なのか
    何が本当なのか
    本当の気持ちや心というのは
    こんなにも伝わらないものなのか

    三葉が生きていくために必要だった
    自分は殺された久仁子の娘というストーリー。
    そうでもしないと生きられないということに
    とても心を痛めた

    誰が誰を殺したのか?
    この人も結局殺されてたのか?
    救われる人は1人もいないのか?

    灰戸町という閉ざされた不気味な舞台
    「奥」「町」という表現
    区別することで、自分より下の人を作ることで人は強くなれるのか?

    過去と現在
    閉ざされた町
    この世界感に、知りたいという思いが溢れ出る

    読後は深く暗く灰色な世界にどっぷりと浸かっていた。


  • 親に愛されない子供の苦しみと切なさ。
    どうしても子供を愛せない親の辛さ。
    悲しくてやるせない話だった。
    北の小さな町が
    舞台のひとつになっていることで
    そこから逃げ出せない閉塞感があり
    余計に胸が苦しくなるようだった。
    結局、ヒ素中毒事件に関わった
    全ての登場人物たちが加害者であり
    また被害者でもあるように感じた。

  • なんともやるせない物語だ。北海道の閉鎖的な町で起こった陰惨な事件が、東京でのヒ素による毒殺事件につながっていく。登場するのは、子供を愛さない、自分勝手な親と家族、それでも子どもは親を求める、が、報われない。愛されたいのに、愛されず、否定され続ける。それが、殺される前に殺すという信条になって子どもは成長していく。普通の家族ってなんだろうとは思うが、ここには仲良し家族とか、家族団欒とかは、全くなくて、貧しく、汚れきり、荒れ果てた家族ばかりだ。荒涼たる気持ちで読み終えようとして、かすかな救いが、主人公の雑誌記者が亡くなった妻に語りかける言葉だけ。幸せって、そんなに手の届かないものなのか?

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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