赤い雨 (幻冬舎文庫 と 3-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344400320

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  • 世の中が狂っていく中でひとりついていけず、取り残される孤独感。
    社会風刺かな? すごくいい作品だと思うのに、廃版は惜しい。

  • 表紙が「ベルセルク」っぽい。
    突然降り注いだ赤い雨。
    その日から、人々に変化が現れる。
    反社会的な行動をとっているとみなされた者に対する暴力が容認され
    過激さを増していきます。
    隣人がうるさい、自分の子供がいじめにあっているようだ
    など、さまざまな不満が直接暴力となって相手にぶつけられるように
    なり、公開私刑が行われるようになります。
    その変化を疑問視する主人公。
    彼女だけが赤い雨の影響を受けずに、ただ自分の夫や近所の住人たちが
    変わりゆく様をおびえ続けるのですが、ついに耐え切れずに脱走を図るというもの。
    物語が進むほどに暴力の凄惨さが増していきます。
    しかし、何故赤い雨が降ったのか、については謎のまま。
    なぜ主人公だけが影響を受けないのかは分かりますが。
    ラストも「そこで終わっちゃうの」といった感じ。(2004.10.21)

  • それは些細な始まりだった。ピンク色の雨が降った日から徐々に何かが人を変えていった。
    いじめ、やくざ、詐欺商法……などに泣き寝入りをしていた人々が反旗を翻し始める。正義という名の制裁。穏やかな生活を望む志穂の周りも少しずつ変わっていく。あれほど優しかった夫は、テレビカメラの前で無残に処刑された人を見て歓喜し、そして自ら嬉々として私刑へ参加する。そんな夫に恐れをなした志穂は逃亡を試みたが……。


    最初のくだりは、読んでて痛快さがある。面白いというよりスカッといるという感じだ。
    ごく当たり前の常識をわきまえない人が当然の制裁を加えられるというのは小気味いい。
    それは、現実にはあまり無いから余計に爽快。
    だが、それは表裏一体。故に怖い。そういう意味で凄く怖い小説だ。
    『正義という名の悪』というのはまさしくこういうことだろう。確かに正しいと思うが、ここまで行過ぎれば悪。だが、そのボーダーラインのあやふやさ。それプラス『群集心理』。これを軸に巧みに話を進めて行く。話のテンポの良さはこの人の特徴ですかね。
    気が付いたら読み終わってた。という感じだったな。

    これを読むと、一体何が『正しくて』何が『正しくない』のかを考えさせられる。
    正義と悪の境目はどこなんだろうね……

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著者プロフィール

1968年東京生まれ。学習院大学文学部卒。98年『闇の楽園』で第3回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。作家活動と並行して『Jの利用法』ほか自主製作映画4本を監督。イラスト、写真、クレイアートにも才能を発揮する。

「2013年 『劣化刑事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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