スコッチ・ゲーム (幻冬舎文庫 に 8-5)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 403
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344412637

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ5作目。
    タカチの過去が語られる。
    ナルシシズムで殺人が起こるのであれば、もうどうしようもない気がする。
    ナルシシズムがない人間はいないと思うけど、
    強すぎるのもまた大変。
    偏見は持たないようにしよう。

  • 気になりすぎて、あっという間に読みきってしまった。

    タカチのアツい感情満載で、いつになく疾走感があります。まぁ、だいたいが飲み過ぎだから、こーゆーのもアリです!

  • 「 酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた。」二つの事件で同じアリバイを主張する重要参考人の謎、高校時代のタカチが辿った悲運。二年後、タクチが述べる真相とは・・・。

    シリーズ5作品目。タカチの高校時代の話ですね。今までの酩酊推理合戦から一転、青春小説のような苦みのあるストーリーに仕上がってます。

  • ナルシシズム理論はかなり的を得てるなと思った。
    犯人お前かよ?!って感じでは合ったが、ストーリーとしては正解だなあ。
    タカチの過去がわかるのが嬉しい。

  • 図書館の排斥処分となった本をもらってきたもの。平成10年でもう排斥かー。ということで表紙も残ってなくて残念。タックシリーズ。読んだことはあるけど、はまって読んだということもなく、やっぱりこれもあんま好きじゃなかった。タカチこと高瀬千帆の高校時代の連続殺人事件だけど、殺害の理由が全然納得できない。これで殺されたお嬢さん方はあまりにもかわいそうじゃないか。自分のせいで、と思ってタカチが立ち直れなくなるんじゃないかと思うほどだけど、まぁそういう子ではないんだなぁ。しかし、こんな自分の教え子とヤっちゃう男と結婚しようと思う人間がいるのが謎だわ。

  • 匠千晶シリーズ第五作。

    そして全ての謎が解けた。
    といっては大げさだろうか。

    「黒の貴婦人」から読み始めてしまったために、
    個人的に勝手に「謎」にしてしまったことに答えが出た感じだった。

    タカチにかけられた殺人容疑とは何だったのか、
    タカチはなぜ謎解きに熱意を傾けるのか、
    なぜ安槻大に来たのか、
    彼女にとってタックの言葉がなぜ重いのか、
    タックを連れて故郷に帰り何があったのか。

    スコッチを川に捨てた訳や、
    次々と女子高生が殺された動機が面白かった。
    誰もがもつナルシシズムは女性には認められ、
    男性には認められないが故に歪んだものとなる、という話も面白かった。

  • 記録

  • ――


    「解ってたんだね?」
    「いえ、探偵したんです」

     …これいつの台詞だっけねぇ。思い出せずに困っています。



     わたしのレヴューをある程度読んでくれている方(そんな奇特なひと居るのか…?)はなんとなくお解りだと思いますが、ステレオタイプな男性/女性像、とか典型的な老人による不理解、とかが極端に嫌い。それもこう、なんだろう明らかに物語上そういった機能を持たされてるひと、っていうのだと最悪。別にそういうひとが居るからって、逆にリベラルな人間(こういう局面で遣うことばかは疑問だけど。何かが薄まる気がする)が輝いて見えるってわけでもないから。
     そんなに単純じゃねぇよ、って、時にはそのステレオタイプな側からも含めて思うこともあるし、もっと云えばそういう形の物語を読むことでそれを乗り越えた風、になってスカッとしている読者の姿というものを見てしまって首をひねるわけだ。固定観念をよりスムーズに固定化する餌を与えんじゃねぇよ、というか。

     というか皆さんは、何故本を読みますか?
     まぁひと口に本、といっても色々だからこの質問は水蒸気のようなものなのかもしれないけれど。
     そして本当は、呼吸するように本を読むのが理想なのかなぁ、とか思っているんだけれど。
     感動するために、とかそれこそ泣き本、とか。自分の考えを補強するために? 耳障りの良いことばを探して? なんで悪い例ばかり並べますかね?(笑
     辛くて読めない、ってことは、無い。結局どんなことばでも、それを研いで自分に突き刺すのは自分自身だから。これはこういう形なんですー、って云われても困る。困るだけでとりあえず手に取るわけだけど、そういう、皆に刺さるように作られた刃は、自分の奥底までは届かないよねきっと。なんか思春期の女子みたいなこと云ってるけど、それはそうでしょう。
     そして、その刃の形が自分にぴったりで安心してるひと、って云うのも少なからず居る。これはなんでもそうかも知れないけど、受け手の啓蒙、っていうのはどんなメディアにとっても大きな課題だよなぁ。


     確かになんでも他人事っぽく受け止めてると思われることは多いし、正論は正論なんだけど別にそれが自分に影響は無いと思ってる、とかよく考えると社会的に破綻してるって云われているのと同じようなことを云われたこともあるけれど、
     なんだろな、別に響かないわけじゃないし、
     ただ、その響きは自分だけのものだって、これは大事に隠してるってことなのか?




     盛大に話が逸れましたが。
     さて、『スコッチ・ゲーム』。普段や短編集のライトな雰囲気とは掛け離れて、全編をどんよりとした空気に包まれている。それは殺人事件の凄惨さだけでなくて、そこに至るまでのタカチの人間関係、家族関係にもあるんだけれど、けれど裏腹な軽妙さも保っているのがやっぱり、象徴的。
     男女のこと、女同士のこと、家族のこと…決して優しくない諸々が、それこそ典型的な描かれ方をしているんだけれどなんていうか、やるんならここまでやれ、っていっそ潔くて。これもしかし、書き手の信頼感の為せるわざなのかもしれない。松尾さんのお耽美小説が非常に読みたいのと一緒で。にしてもこの松尾女史によるナルシズム論は、タカチのひとつの側面を確立させたと云ってもいいんじゃないだろうか。自覚させた、というか。
     その点、現在のタカチの姿を松尾さんはどんなふうに見るんだろうな、と考えてしまった。

     この、やりすぎ、と云うくらいの極端な人物論がけれど、真相解明に対してミスリードになっているのがこれぞミステリ。
     そしてそういった部分を度外視するタックこそが、真相を綺麗に切り分ける。そこには確かにカタルシスがあって、それはミステリとしてはもちろんなんだけれど、散々積み重なっているオレを不機嫌にすると書いた諸々に対する、力強い抵抗のようにも、読めた。
     ☆3.6

  • 21年ぶりの再読。
    というか、この作品を中学2年生に読んではいけないですね。
    めちゃくちゃ地味で気持ち悪くそしてヒリヒリする作品。
    それが初読の時に感じた印象でした。
    しかし、そんな印象は吹き飛ぶ。
    地味な作品ではないし、そのヒリヒリ感は作品の面白さになっている。だからいい作品。

  • タカチの過去と現在を交えながら、殺人事件解明する物語。犯人の意外性や衝撃性、動機はインパクト薄いが、タカチの内面の葛藤や成長を見る上で面白い物語。最後の結びから、タックの事件を扱った、次作への期待が高まる。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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