せん-さく (幻冬舎文庫 な 25-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344413764

感想・レビュー・書評

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  • 「俺、帰りたくなくって」
    29歳の主婦・典子は、ネットのオフ会で知り合った15歳の遼介から別れ際、告げられる。
    典子は家出を思いとどまらせようと少しだけつきあうことにしたが
    彼はなかなか帰らない。
    道行きの途中、二人は遼介の級友の両親が殺され、友人自身も行方不明だと知る…。

    29歳の主婦・典子がネットを通じて知り合った仲間と初めて顔を合わせる
    オフ会に参加した。
    その時出会った中学生の遼太に家出すると告げられ驚くが、
    心配になった典子は遼太と一緒に旅をする事にした。
    29歳の主婦が、何ゆえ15歳の少年の不可解な行動に歩調を合わせ、
    少年の万引きに罪悪感を心地よいものと感じたり、
    車を盗んでドライブし、ペーパードライバーの典子事故を起こし
    人を撥ねて殺してしまってもトランクに入れ、車を放置してそのまま逃走する…。
    ある種の運命共同体を形成してしまったのか…?
    どうして?どうして?と違和感がありまくりでした。

    それと最初に登場したパソコンをする二人の少年の内の一人
    引きこもりの少年。
    物語は、遼太と典子。引きこもりの少年。
    二つの視点を交互に繰り返してゆく。
    遼太と引きこもりの少年の関係は早々に予想が出来、
    中盤で早くも明らかになるのですが、
    二転・三転としながら徐々に明らかになっていく真実。驚きました。
    典子の過去にとっても驚かされました。
    二人の環境には同情しましたが、やはり普通の人を殺しても何も感じない…。
    そんな所には共感出来なかったなぁ。

    誰もが現状に何らかの不満を抱きがちですが、
    意外と気付かないのかもしれない。
    当たり前だと思っている事の幸せ。
    改めて幸せなんだなぁって考えました。

    何気ない日常に潜む、普通の人々の悪意と善意の表現が秀逸だったなぁ♪

    これがデビュー作だったのですね。
    この本は数年前に購入してずっと積んでいた本だったのですが、
    読み始めてハンドルネーム「うげ太」←印象深くって覚えてました。
    再読だぁって気付きましたが、全く覚えていなくって
    ハラハラドキドキして楽しめました(*Ü*)*.¸¸♪

    三人にはこれから幸せになって欲しいなぁ。
    三人で会って仲良くして欲しいなって思いました。
    表紙のイラストが内容と凄く合ってて息苦しさを感じる程でした。

  • 終わり方あっさりすぎるぐらいあっさり。

  • 予測が付かない逃避行の顛末、その影にいるもう一人の少年、彼等が抱える心の闇。
    不妊絡みの話は好きじゃないので、読み初めてしばらくは失敗したかなぁと思っていましたが
    どんどん話が広がり、色々なものが見えて良かった。トータルで面白かったと思えた作品でした。

  • この作者の何気ない日常に潜む、普通の人々の悪意と善意の表現が好きです。
    オフ会とかは今では一般的だけど、当時はまだそこまでいかなかった時代のせいか、主人公たちの年齢差のせいか少しぞくぞくした。

    恋愛小説のような、ミステリーのような・・・。
    不思議な空気感を出せる作家さんだと思います。

  • 親殺しの少年とネットで知り合った主婦の逃避行。

    一緒に逃げるうちに主婦の過去が明らかに。。。

  • 続きが気になってどんどん読み進めましたが、典子の過去が少しずつわかってくるあたりからなんとなく興ざめしてしまいました。途中まで、殺人犯の中学生と普通の主婦の逃避行的な物語かと思って読んでるあたりは面白かったけれど。

  • ネットのオフ会で知り合った15歳の少年と
    ひょんなことから”逃避行”の旅を始めてしまった29歳の主婦。
    家出を留まらせようとするも、彼はなかなか帰らない。
    そして道中で知る友人の両親が殺害され、その友人が行方不明になっているという事実。。。

    と、ことの成り行きも展開も全く予想のつかない始まりでしたが、
    最後まで読まねばすっきりしないような気持ちになって、一気に読んでしまいました。

    インターネットを通じた人との出会いや関わり方、そしてオフ会。
    時代設定は今から10年前になっているので、
    当時としては、ネットで繋がった関係が珍しかったかもしれませんが、
    それに加えて、ご近所づきあいや井戸端会議、といったような
    人との繋がりを要点に捉えたミステリーなのかな、なんて思いました。

    巧妙なトリックが云々、、、というよりも話術や作品の構成が捻られているので、
    最後までどんなエンディングを迎えるのかさっぱり予想がつきませんでした。
    こんなミステリー小説もあるんだな、と新発見の一冊。

  • ネットで知り合った主婦と少年の奈落の底への道。この話をニュースで知れば、おそらく何て浅はかで愚かな二人と同情することなく切り捨てるが、二人の愛情のない連帯感が何とも言い難く愛おしい。

  • うっすらと怖い話。

    出だしは冗長な印象が強く、ぐいぐい引き込まれる、という感じではないのだが、それを我慢して読んでいると、いつのまにか引き込まれていく、という初めての感覚を味わった。
    特に典子と遼介が偶然から次々と犯罪を重ねていく部分は、ああ、こういうなしくずしってあるかも、と、妙なリアルさがあって怖かった。
    実際には無いんだけど。
    それと、章のタイトルだけ見直すと、たった4日間の物語なのに、凄く長い時間が経過したような錯覚に陥るのは、やはり内容が濃いから、だろうとおもう。

    それにしても平凡な主婦と思わされていた典子の暴かれていく実像には驚かされる。
    たいした伏線も無いのに、いきなり感を感じないのも筆力の巧さなのかも。

    もう一回読む。

  • 本屋で平積み+POPでかなり幅取ってたので
    釣られて購入。期待して読んだけども…。
    ちと物足りなかった。

    29歳主婦・典子と15歳の遼介の組み合わせで逃避行、
    出会いはネットのオフ会、殺人事件、と
    キーワードだけみると自分好みなのですが、
    POPや背表紙に紹介されているような
    『感動の長編ミステリ』とは感じなかったです。
    一気に最後まで読める勢いはあるけれど、感動はない。

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著者プロフィール

永嶋恵美一九六四年、福岡県生まれ。二〇〇〇年『せん-さく』でデビュー。一六年「ババ抜き」で第六十九回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。主な著書に『転落』『明日の話はしない』『ベストフレンズ』『視線』『一週間のしごと』、「泥棒猫ヒナコの事件簿」シリーズなど。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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