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- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344425507
感想・レビュー・書評
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著者自身の子どもの頃の出来事を鮮明に再現した作品。架空の物語ではないので、意図的な起承転結はないし、自分が子どもの頃に同じ経験をした訳でもない。しかし著者の極めて個人的な経験ながら、何故か他者の琴線にも触れて懐かしくなる。目に映るものが新しくかけがえのない時間が、自分にもあったことを思い出す。
この本を読むと、児童文学とは本当はこのようなものではないかと思ったりもする。大人から見た子どもの世界や大人が子どもに伝えたいメッセージを描いた作品ではなく、ただ子どもから見た世界を鮮明に描いているだけの作品である。そこにメッセージはなく、もし仮にあるとするなら、子どもの目に映る世界や子どもの頃に経験する時間はただそれだけで貴重なものだというメッセージである。(実際のところ語彙は大人向けなので、言ってみれば大人向けの児童文学といったところか。)
この子の目にこの世界がどう映っているだろうかと思って子どもを見ていると、かわいく思えてくると同時に、それがいつまでも興味深く新鮮で、幸せな世界であって欲しいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示