アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426313

作品紹介・あらすじ

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 4月の滑りこみ読本
    ・織田父が何気に一番好き
    ・伊坂幸太郎は日常系のほうが好み
    ・特に波風はないが優しい気持ちなれる

  •  自慢じゃないですが、モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』は知ってました(曲も意味も)。でもJPOPに疎い私は、本作が斉藤和義さん絡みの執筆など、知る由もありません。

     ただ、やっぱり伊坂幸太郎さん。小説にモーツァルトのセレナーデのタイトルを冠するなんて素敵ですね。伊坂さんのセンスのよさを感じますし、どんな話?と期待させます。

     本作は6話からなる連作短編集で、伊坂さん曰く「恋愛小説」とのこと。「出会い」がポイントになっている気がしましたが、伊坂さんらしい(ん?らしくない?)軽妙で穏やかな描かれ方をする一方で、ハートウォーミングなんです。もちろん、殺し屋、死神、強盗、案山子など出てきません(笑)。このいつもと違う雰囲気は、賛否あるかもしれませんが、私は好きです。

     そして、気をつけないと登場人物が多く、時系列がコロコロ変わり少々混乱するかも‥。出会い・絆がつながっていき、見事に収束していきます。盛り沢山とも受け止められますが、出会ってから途中の濃密さを削ぎ落とし、カラッと描かれる心地よさは、伊坂さんならではという印象です。また、全体の構成、仕掛け、伏線の回収が相変わらず見事だと思いました。

     「出会い」の偶然の不思議が、次第に「つながり」の妙に意識がいきます。平穏だけではないけれども、ありがちな日常の中の私たちの心の有り様を、照らしてくれているようです。またしても、心に留めたいフレーズがたくさんありました。

  • オーディブルにて。
    伊坂幸太郎にハマる前に映画で見た時には普通に感じたけど、今見ると色々な伏線があって面白かった!
    本の方が時系列変えれるのもあるのかな?
    特に最後のリングボーイが大丈夫?と手話をした後にボードを割ったのは痺れた。
    後で時系列をじっくりみて、また映画を見たい。

  • 名前を覚えるのが苦手で、皆さんの言うこことここが繋がってるのか〜の爽快感をなかなか味わえず残念でした
    もったいない

  • いろんな話、主人公がでて、交わり合っていくのが見ていて楽しかった。
    誰もが傷つくことがないパッピーな雰囲気。
    登場人物が多いので、途中でこの人だれだっけってなったが、満足度高い。

  • 映画の方が良かった。

  • う〜む、あまり好みではなかった〜…たぶんじっくり読む本なんだろうけど、さらさら〜と読んでしまった…最終章で全部繋がる系なのに、最後までさらさらと読んでしまったヨォ。またもう一度読みたいけど、なんだろうなぁ、何かが違った。やはり伊坂さんはサスペンスなのかなぁ。

    p.33 美緒ちゃんを隣の和室の布団に寝かしつけた後、織田由美が、「この間ね」と僕に話した。
    「子供を寝かしつけてた時にね、何か、風の音が聞こえてきたんだよ。うるさくはなくて、静かなんだけど、どこかから」
    「何の話だよ」織田一真はあからさまに興味がなさそうだった。
    「でも後で考えたら、あれってどっかで流れてた音楽なのかなぁ、って気づいたんだよね。
    隣の部屋で、CDがかかってたとか」「かもしれないね」それが?
    「さっきの、出会いの話だけど、結局、出会いってそういうものかなぁ、って今、思ったん
    だ」
    「そういうものって、どういうもの」
    「その時は何だか分からなくて、ただの風かなあ、と思ってたんだけど、後になって、分かるもの。ああ、思えば、あれがそもそもの出会いだったんだなあ、って。これが出会いだ、ってその瞬間に感じるんじゃなくて、後でね、思い返して、分かるもの」「小さく聞こえてくる、夜の音楽みたいに?」

    p.187 「でもまあ、危ない目に遭わないで良かったよ。こんなことを言うのも何だけれど、正義とかそういうのって曖昧で、危ないものなんだから」
    「はい」織田美緒は意外にも殊勝にうなずいた。「お母さんに言われます。自分が正しい、と思いはじめてきたら、自分を心配しろ、って」
    「へえ」
    「あと、相手の間違いを正す時こそ言葉を選べ、って。というか、先生、どうしてここに来たんですか?わたしたちが揉めているのを察知して?」

  • 連作短編群像劇
    地域が仙台だったり関東だったり、視点が過去や現在に行ったり来たりするけど、登場人物達が少しずつ関係していたりする

    所々で「誰が誰とどの時点でどんな関係なんだっけ?」と思うところがあった
    自分で表でも作ればわかりやすいのかもしれない


    映画を先に見てたので、大体の内容は知ってた
    でも、面白く読めた
    流石は伊坂さん、面白い話を書くよね

    映画ではカットされたエピソードは
    ・ドクメンタ
    ・メイクアップ
    二つかな

    確かに他のエピソードに比べるとメインの人達との絡みは薄いのでカットしても影響は少ない



    今作の伊坂さんっぽい言い回し
    ----------------------
    「あの、こちらの方がどなたの娘さんかご存知の上で、そういう風に言ってらっしゃるんですか?」
    「いえ、誰の娘かも知らずに怒っているんだとしたら、あたながちょっと心配になっちゃいまして。命知らずだな、と」
    ----------------------

    世の中、相手の表面上の印象だけで強気に出る輩の何と多い事でしょう
    面と向かってもそうだけど、ネットでも相手の素性を知らずに釈迦に説法食らわしてる哀れな人も屡々見かけますしね

    基本的に、どんな人にも丁寧に接するにこしたことはない

  • 読み進めれば進めるほど面白くなっていった。描かれていなかった箇所も「こういうことがあったんだろうな」と想像して楽しめた。
    ただ『女だからってなめてたら、怖い人の娘さんかもしれませんよ』みたいな脅しを延々と強調する話には辟易。女は男の付属品扱いで『大事にすべき』論は古すぎ。流石に繰り返し使われすぎててうんざりした。
    ラウンドガールの扱いも『は?』って感じだけど、でもあの男の子の登場に繋がるには必要だったんだろう。まあもっと流れは練ってほしいけど。一番熱くなった箇所ではあった。
    あといじめっ子のその後をしっかり描いてくれたら満足なんだけどなー。齊藤さんの歌詞はいくつか気になったから検索して聴いてみたい。

  • 人とのつながりってすごいな
    あぁ、あの子か!というアハ体験

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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