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- Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344426511
感想・レビュー・書評
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『地震や津波で数人の犠牲者が出ても大きな災害なのに、四年前の三月や二十年前の一月に発生した震災の被害は桁外れに大きく、死者の名前よりも数が暴力的に突きつけられたことで、生命の儚さすら感じさせた。
私たちは、死者を弔い、悼み、忘れないことの大切さをあらためて思い知り、生者として永らえ続けている。死者は帰らないが、彼らのために生者にできることはある。
祈るだけではなく、死をもたらした対象を分析して、同じ災禍に遭った時にどれだけ被害を小さくするかを考えるもの務めだろう。なすべきことは多いのだ。』
有栖川有栖の作品としては珍しいジャンル。松本清張の『砂の器』みたいなテイストにしたかったんだろうな。
二つの震災に対する思いと、追いかける事件に対する強い思いが感じられる。
この辺は笠井潔の『哲学者の密室』のテイストで良い。さりげなく、読者への挑戦状もどきもあり、ちゃんとミステリに仕上げていて面白かった!詳細をみるコメント0件をすべて表示