少数株主 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344428065

感想・レビュー・書評

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  • 同族会社の少数株をびっくりするような大金に替えたシンデレラの物語なのか?
    それとも、相続のために家財を売らなければばらなかった悪夢の物語か…
    「しょせん金儲けしかできなかった男」そんなセリフ言ってみたいもんですね(^^;
    上場株のトレーダーではなく、オペレーションや社外取締役に立った経験があると
    面白さが倍増するのかなと思ったりします。
    ただ、色恋沙汰は特になくてもいいんじゃないと。。笑

  • ー 目の前の仕事は、人類の歴史の流れが君の目の前で一つになって焦点を結んでいるものなんだ。原始、人の世に不動産というものはなかった。あったのは地面だ。いや、地面という意識も、言葉もなかったのが始まりだ。それが、1万年前に農業が始まって、すべてが変った。ここは自分のものだと標をつける奴が出てきて不動産という法的概念が生まれる。やがてその権利を売買し、貸し借りし、そのうち証券化までするようになった。だから、紛争が起きたら弁護士に頼るほかなくなる。すると、紛争予防のための契約書も弁護士に頼んでつくらなくてはならないことになる。紛争もその予防も、どちらも同じことだ。弁護士にしか見えない世の中の切り取り方があるということだ。

    反対に、そこが子どものころの幼い恋の舞台だったこと、或る人間にとって無限のセンチメンタル・バリューがある場所だということなど、弁護士には認識できはしない。地質学者にとっての土地と弁護士にとっての不動産は違う。同じ地面なのに、まったく別物だ。しかし、弁護士は場合によっては地質学者の意見を聞かねばならない事件も扱うのさ。法律は言葉と同じ。なんにでも絡みつく。そいつが、今、君の体の正面にうずくまって、君の手で触れてもらうのを待っている。勉強する奴には見えるものが、勉強しない奴には見えない。 ー

    勉強にもなるし、小説としてしっかり面白い。
    “大人の会話”がお洒落だけど、嫌味なくこんな会話する人がいるのかなぁ〜、と思ってしまう。

    人は究極的に何のために“働く”のか、を問う作品。

    非上場企業にこそコーポレートガバナンスを求め、少数株主の権利を主張しよう、というのは物語を面白くする仕掛けであって、上手く出来ている作品。

    他の作品も読みたくなったので、数冊購入。

  • この本を読んで、つくづくプロの作家と、文章を書けるアマチュアの違いがわかった。
    内容はプロが料理すれば(例えば池井戸潤がこの内容を基にすれば)もっと面白い本になる可能性もあると思うのに、主人公の説明構しい科白とか、唐突な展開とか、本筋と関係ない知識のひけちらしとかで台無しになっていると思う。
    何事もそうだが、こういった所がアマとプロの違いなんだろう。

  • 全体的に話しが回りくどいと言うか、脱線し過ぎと言うか、なんの話だから分からなくなってしまう。本来の話しは良いテーマを扱っていると思うのにとても残念。

  • 話が長い。無駄が多くてちっとも要領を得ない。そのくせ本筋のストーリーには面白さの欠けらも無い。金持ちの爺さんが金持ちの爺さんのために書いたような本。万札の隅にでも書いてればいいじゃん。

  • 昔よく読んだ牛島信の新しい小説を見かけたので購入。非上場同族会社の少数株主とガバナンスがテーマで相変わらず発想が面白い。そのような株は持っていないが勉強にもなる。 
    しかし本作は会話メインで動きが乏しく出来上がりは今ひとつ。もっとリーガルの切った張ったを見たかった。69歳と65歳のロマンス展開は余分。それより「日本解凍法案」の課題を掘り下げて欲しかった。良いアイデアと思ったが、実際にはどういう課題や問題があるのかがわからなかった。編集者が悪いのかな。発想は良いのだから落ち着いて練り直して欲しい。

  • 非上場企業(同族会社)のガバナンスをテーマにした経済小説だけど、勧善懲悪的な痛快さと、シニアロマンスの切なさも楽しめる意欲的な小説。少数株主について、学べます。

  • 題材はいいのだが、文章力不足かなあ。残念。

  • 非上場の会社が、日本では圧倒的に多い。
    多くは、中小企業で、赤字会社である。
    そして、同族会社であり、株式は会社/取締役会の承認がなければ、
    株は売買されない。
    その中には、長い歴史を持っている会社もある。
    また、不動産を所有している会社もある。
    その場合の 会社の価値は、株式の価格だけではなく
    会社の評価から、株式が評価される。

    金鳥の株式の相続で譲渡を受けた男が、
    わずかな株式にも関わらず、1億円近い相続税を要求された。
    含資産を持っている非上場会社の株式を、どう扱うか?
    その少数の株式を、金融財産にできないか
    ということから、話が始まっているのである。
    面白い視点からの切り込みである。
    また、少数株主の権利がきちんと明記されている。

  • 企業弁護士の牛島氏が今の社会に警鐘を鳴らす経済小説。

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著者プロフィール

弁護士、作家/1949年生まれ。東京大学法学部卒業後、東京地検検事、広島地検検事を経て79年に弁護士に。現在、M&Aやコーポレートガバナンス、不動産証券化、知的財産、情報管理、国際訴訟などで定評のある牛島総合法律事務所代表。日本生命保険社外取締役、朝日工業社社外監査役、一般社団法人東京広島県人会会長、NPO法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長。97年に『株主総会』で小説家デビューしベストセラーに。『社外取締役』『少数株主』などの企業法律小説やエッセイも多数。近著に『日本の生き残る道』(幻冬舎)がある。

「2023年 『会社が変わる!日本が変わる!! 日本再生「最終提言」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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