消滅 VANISHING POINT (下) (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344428287

感想・レビュー・書評

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  • エンタメ感溢れる、一冊。

    テロリストは誰?何を消滅させるの?

    上巻に引き続き興味は尽きなかった。「孤独な肺炎」はタイムリーだし、それぞれの視点で人物像を分析するシーンは誰もが見事に怪しくて面白い。

    そして緊迫した状況なのにどこかゆるっと脱力感を感じさせるところ、この緩急が良いアクセントになっていて飽きなかった。
    そして気がつけばあっという間のラスト。

    意外感でいっぱい。
    この「消滅」の着眼点と発想は面白かったな。

    恩田さんのエンタメ感溢れる空港を舞台にしたドロン、最後まで楽しめた。

  • テロリストの予測は意外と簡単だったかも。
    この作品は登場人物たちの心の内、洞察力等が面白いかった。
    タイトルの「消滅」をマイナスで終わらせなかったところに暖かさを感じました!

  • 上巻で色んなネタが盛り込まれていて期待いっぱいで読んだけれど、下巻でのネタの回収は割と平凡な感じだった気がしました。
    もっと奇想天外な結末かなと思ってたので。
    でも、上下巻通して楽しい読書時間でした。
    登場人物がそれぞれ魅力的で思い入れが強くなってたので、読み終わって寂しい気持ちです。

  • 電撃的な解決で終了。結末だけ見ると会議の意味はあったのかな?と思うが、状況として様々な所から読み取れるものがあった。複雑な人間心理、状況、機械と挙げれば多くある。その中で読み進めていくのが面白かった。

  • 上下巻の下巻
    テロリストを探し出しの続き
    展開は遅いなぁと感じつつそれなりに先が気になりました
    そしてもうほんとにテロリストはいないんじゃないかと思いながら読んだ終盤の展開もよかったです

  • 感染症かも?ってくだりは中々怖かった。5年前に初出でコロナウイルス(勿論新型ではないが)って。色々謎が置き去りな気がするがなんとなく大団円。キャスリンのような存在はあちこちにいるのかな。

  • 拍子抜けした感じ。もっと何かすごいこと、例えばパンデミック、暴動などが起こるかと思って読んだ。でもよく考えたら恩田陸さんはそっち系の作家さんではなかったのかもしれない。

  • え、そういうこと⁈
    すべてが明らかになってしまえばなんてことない…というのは読んでる側だからであって、
    これを一からストーリー作りされた恩田陸さんはさすがです。

    結構ミステリーは読んできているのだけれど、
    推理力はなかなかレベルアップしないな。

    でも何故だろう?どう繋がるんだろう?と
    考えながらストーリーを辿るときが一番幸せなので、自力で謎が解けたかはそこまで重要視せず。

    今回も楽しませてもらいました!

  • 空港内のみ(それもほぼ同じ部屋)で話が進むが、閉塞感は全く感じなかった。
    各人物の素性が少しずつ明かされ、テロリストはこの中にはいないのではと思ってからのラストまでの急展開。
    あっという間に3時間ほどで読んでしまった。
    (たまにゾッとするが)キャサリンの空気感がとても素敵で、緊迫したなかたまに出る変な言葉遣いで和んでしまう。
    テロによる死者が出ないことも良い。
    キャサリン、また別の話で出てこないかなー。

  • 最初は登場人物の把握に忙しいのが、このパターンの小説。

    十人を拘束し、テロリストを見つけ出す使命を帯びたキャスリンが、もはや高性能AI過ぎて、想像が出来ない。
    そして、キャスリンは一体どこで、どういう状況で日々仕事をなさっているのかも、想像出来ない。

    そんなハイスペック過ぎる彼女と、彼女に対抗?すべく配置された十人のキャラクターが強すぎて、ゴートゥヘルリークスを立ち上げたという凄腕プログラマー、ベンジャミン・リー・スコットの存在感がなさすぎるのだ。
    筋書き的には、かなりのキーパーソンなのに、パッと出て来て、パッといなくなる、えっ、いやそれ、めっちゃ重要なトコじゃないの!?と思うほど、アッサリ締めくくられてしまうのが、恩田陸らしいと言えば、そうなのかもしれない(笑)

    とは言え、そこまでの伏線回収は楽しくて、一つのお話を読んだ満足はありました。
    以下、長い引用。


    「『ここは入管です。入国を許可するのは、ぶっちゃけこちらです。入国するにふさわしいということを証明しなくてはならないのは、あなた方のほうなのです』
    康久は、ふっと背中にひんやりした恐怖を感じた。さっきキャスリンが人間ではないと知った時に感じた原始的な恐怖とは異なる恐怖。
    それは、自分が今、何か漠然とした巨大なものと対峙しているという恐怖だった。
    キャスリンの向こうにいる巨大な存在。
    官憲ーいや、国家とでもいうべきか。
    国家という、概念上の存在。それは顔がなく、のっぺりとした巨大な壁のようだ。対して、こちらはあまりにも無力で、あまりにもちっぽけな存在である。その国家から拒絶され、弾き飛ばされてしまったら。
    それは、どこかざらりとした、無力感を伴う恐怖だった。」

    ざらりとした、まで載せたかったので、長くなったけれど、すごく印象に残った部分。
    無愛想な入管職員を前に、自分は一体何に緊張しているんだろうと思うことがあったのだけど、こういうことなのかも、と腑に落ちた。

    善良な日本人としての証明。
    なんというか、言葉にすると、急に歪んだ感じ。
    そうすると「消滅」の意図が、クリアになったように思う。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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