貘の耳たぶ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 722
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429390

感想・レビュー・書評

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  • ずっと複雑な気持ちで読み終わった

    子育てに自信がなかったのか?
    それとも自分自身を好きじゃなく否定的だったのか?

    子供を入れ換えたところで
    どちらか一人は育てなければいけないのに何故?
    同じ育てるなら
    どんな子に育とうと自分の子の方が良いのでは?

    初めから終わりまで繭子の気持ちは全く理解できなかった

  • 取り違え出産の話。どうか、リクにもコウタにも幸せになってほしい。リクが結果的に繭子の元へ行かなくてよかったと思う。コウタと父親の玄関先で離れ離れになるシーンでは涙が出そうになってしまった。最後に、繭子視点のストーリが欲しかった。取り違え発覚以降の繭子の心情がどうだったのか気になる。

  • 実際、自分が母親になり子供が4歳の時に取り違えが発覚したら最初は血の繋がりなんて関係なく、生まれてから4年間必死に育て上げた息子を手放すなんて考えられないのだろう、という気持ちで読んでいた。だが、途中に出てくる郁絵の母親の"自分の子供がこれから小学校、中学校へと上がりそこで虐められるかもしれないし逆に虐める立場になり相手を死に追い詰めてしまうかもしれないその時、血の繋がりを無視して応じれるのか"といった言葉に深く感心した。その文を読み、私は子供のためにも自分のためにも相手の家族のためにも、交換するべきだ、と思った。

    自分の子供はいくら4年間他の親に育てられたからといって自分の子でなくなることはない。血の繋がりがある以上、容姿や性格の本質的な部分は実際自分を産んだ親に似るのだろう。

    この本は繭子と郁絵の2人の視点から書かれていたが一冊を通して非常に心が揺さぶられた本だった。
    内容は正直重かったし終わりもスッキリはしなかったが、事を理解できない子供や親の複雑すぎる心境が表されていて読んでいていくつかの部分で泣きそうになった。

  • 福山雅治主演の映画「そして父になる」では看護師が故意に取り違えたが、この作品は母親が取り替えた。でもそこには悪意なんてものはなく、十分に同情する状況でもあるし、なにより子供を愛していた。仮に取り違えなくても愛しただろうに。そして取り違えられた側ももちろん。同情してしまう感情もあり、でも取り返しのつかなすぎることでもあり。はやく映像化してたくさんの人に知ってほしい作品

  • 新生児の入れ替わり
    それ自体は過去にも存在したテーマですが
    本作は母親自身が自ら取り替えると言うショッキングな内容で先が気になり一気読みでした。

    初めて読む作家さんでしたが文章はとても読みやすかったです。

    ただ全体的に少しづつ浅い印象があり、一番肝心な、自ら産んだ子を自らの手で「取り替え」た、繭子の動機がぼやけてしまい共感出来る部分がないまま読了。

    帝王切開での出産、育児への不安、母親との関係性等、どれもそこまで追い詰められる程の緊迫性も感じられず、国際線パイロットの夫を持つ主婦でありながら何故?と思わざるを得ませんでした。

    登場人物が少ない割に、繭子と繭子の夫、取り替えた新生児の母であり、母親学級で一緒だった郁絵やその夫、繭子の母親、それぞれの内面も描き切れていない印象を受けました。

    繭子の夫がパイロイットと言う事もあり名付けた「航太」と言う名前に対して
    郁絵の息子の名前が「璃空」と言う名前もややこしく感じ読みづらさもありました。

    結末が気になり短時間で読了しましたが、誰も幸せにならず光が見えない結末で子供達の将来を考えた時、悲しさだけが残りました。

  • 記録

  • 繭子が子供を入れ替えた動機があまり共感できないが、その後の展開や夫婦の心情などは良くかけてたと思う。

  • 緊急帝王切開により子供を出産した繭子は、誰も責めていないのに重い産後鬱になる
    ほんの出来心で、自らの子供を友人郁恵の子供と取り替える。小さく生まれた息子を、保育士の彼女の方が良い環境で育ててくれるのではないか、とも。

    四年後、取り違えが明らかになり、繭子は罪の告白をする

    自分の子として育てた繭子の息子をどうしても手放せない郁恵は、本当の息子と繭子の息子を二卵性双生児として育てる決心をする

    繭子の気持ちは全く理解できない。ただただあまりの身勝手さに腹が立つ。子供二人が郁恵夫婦の子供として幸せに成長することだけを願いたい

  • (データ移行)

    芦沢央に外れなし。

  • こんなに読んでて辛い本は久しぶりでした。(当時、我が息子生後6ヶ月_(:3」z)_)心理描写がとても丁寧で、子供を産んだばかりの身としては「分かる」と思ってはいけないんだろうなと思う一方で、部分的にはつい共感してしまうところもあり…。一気に読み倒した。

    自分はどちらかと言うと郁恵に性格が似てると思う。でも、自分だったら海外に逃亡して指名手配されてでも子どもを手放せないと思った。母親の気持ちと愛情に共感しながら読み進めていたら、終盤では子どもの描写がキツくて読んだ後しばらく動けなかった。

    (蛇足)この本を読んでいた数日間、息子の夜泣きがピークでしたが、「あー、私にそっくりな顔で私の腕の中で泣いててくれてありがとう」(?)的な不思議な感情に陥り、夜泣き対応が全く辛くなかった。などと…_(:3」z)_

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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