明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344432987

作品紹介・あらすじ

足袋職人の弥兵衛は、人も羨む隠居暮らしを送っていた。店は息子に譲ったが、職人としての腕は健在。七日に一度訪ねてくる息子家族との夕餉や、可愛い盛りの孫との遊びを楽しんでいた。だが、最愛の娘の久々の訪問が彼の心を乱してしまう。一体何が? お夏は弥兵衛の胸の内に溜まった灰汁を取り去ることができるのか? 大人気シリーズ第七弾。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸は目黒の永峯町にある、お夏の居酒屋に来る常連客たちと、妖艶で美しいく、お節介なお夏の楽しい物語です。

    【杯事】
    常陸国から逃げてきた、苦み走った風貌にどこか凄みを秘めている禄次郎と娘のお京は、口入屋の不動の龍五郎の噂を聞いて目黒にやってきた。龍五郎が、久兵衛がやっている紙屑屋を紹介する。禄次郎親子は、町中から紙屑拾いが拾ってきた紙屑を仕分けする仕事を丁寧に行って久兵衛の信頼を得る。が、常陸国からヤクザが禄次郎の所に・・・。

    【明日の夕餉】
    足袋屋「小野屋」の隠居弥兵衛の娘、お妙は、芝明神の宮路芝居に出ている役者の芳川輝弥に手紙の書き方を教えてほしいと言われて手本を書いた。輝弥は、その手本を利用してお妙が輝弥に宛てた恋文を拵えて脅してきた。その話を聞いた弥兵衛は、おもいあまってお夏の店でお夏に話す。お夏たちが、輝弥を脅しつけて・・・。

    【白飴】
    お夏の居酒屋からほど近い六軒茶屋町に、小さな道具屋が開店した。主人は菊次郎という。菊次郎は、近くに住む慎ましく暮らす元薬種問屋の母娘になにくれとなく気を使い親切にするようになった。薬種問屋は、盗賊に押し込まれて主人は亡くなり、店は潰れてしまった。菊次郎は、盗賊の一味の中にいた、盗みに入ったのを悔い母娘を探していた。そして気が付いたら娘に惚れていた。菊次郎は、娘に全てを話して詫びた。

    【年取りそば】
    女のエゴとその想いにしがみつく男。耳垢取りを生業とするおぎんは、剣術道場へ通う年下の剣士、高山昭之助を自分だけのものにしておきたくて無理難題を言って自分の傍から離さない。とうとうおぎんは、昭之助に剣術道場へも行くことを禁じる。昭之助は、おぎんがそんなに想ってくれるのならと・・・。

    【読後】
    居酒屋お夏の表紙の絵を17冊見ていて、あれ、春夏秋冬になってから明るく華やかになった。前は、おちついた控えめな色調であったが。もしかすると、お夏の仇討ちという物語のためか。そして、春夏秋冬は、ガラッと感じを変えて、ふっきれたお夏を書き出したのか。人情味たっぷりに書く「白飴」が特に良かった。その後の菊次郎と娘の成り行きが楽しみだ。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ一覧
    08.もみじの宴
    07.明日の夕餉 2024.02.19読了
    06.根深汁   2023.02.15読了
    05.鯰の夫婦  2022.06.23読了
    04.鰻と甘酒  2022.04.20読了
    03.豆腐尽くし 2021.09.22読了
    02.雪見酒   2021.07.01読了
    01.山くじら  2020.09.05読了
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    「図書館」
    居酒屋お夏シリーズの17作目
    明日の夕餉 ー 居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ(第2期)7冊目《文庫本》
    2023.06発行。字の大きさは…中。2024.02.15~19読了。★★★★☆
    杯事、明日の夕餉、白飴、年取りそば、の短編四話。
    図書館から借りて来る2024.02.10

  • 居酒屋お夏・セカンドシリーズ“春夏秋冬” 第七弾。

    毎度お馴染み毒舌女将・お夏と、苦み走った料理人・清次が切り盛りする居酒屋を巡る、人情噺連作四話が収録されています。

    他所から目黒にやってきた、実直だけど訳アリな父娘・禄次郎とお京。(第一話「杯事」)
    七日に一度訪ねてくる息子家族との夕餉を楽しみにしていたのを、愛娘の久々の訪問によって気がかりなことを抱えてしまう足袋職人の弥兵衛。(第二話&表題作「明日の夕餉」)
    不幸な過去を持つ母娘を気遣いつつ、自身もある秘密を抱えている菊次郎。(第三話「白飴」)
    悋気が過ぎる恋人に束縛されている弟子を気遣う剣客・坂村信二郎(第四話「年取りそば」)

    ・・・といった、悩める方々が抱える問題を、お夏&清さんwith昔からの仲間が、裏で色々動いたり仕込んだりして解決していく、お約束の流れとなっております。
    個人的にお気に入りは第三話「白飴」かな。
    若かりし菊次郎とお夏たち“魂風一家”の思わぬ“縁”の話も粋ですし、タイトルにもなっている“白飴”のアイテムとしての使い方が心憎いですね。
    複雑な因縁があっても、菊次郎とおつるちゃんの恋がうまくいくと良いなぁと思いました。

    今回も各話、安定の“ええ話”で心温まる読後感でした。辛い思いをした優しい人が、ちゃんと幸せになれる(で、悪は成敗される)という展開が好きなんですよね。
    次巻も楽しみにしております~。

  • 安定のシリーズ。
    お夏と清次、周辺の人々の人情と距離感が心地いい。

    ---
    ・縁があればそのうちまた会うこともあろう。9
    ・人は四十年ほど生きていると、性質が定まってきて、同じ種類の人間を見分けられるようになるのであろうか。51
    ・「馬鹿な奴だ。おれはお前のたった一人の生みの親なんだぞ。さっさと言っちまって、まず楽にならねえか」145
    ・「こいつはいけねえ、余計な話をしちまったぜ。気障な野郎の下手な口説き文句みてえだよな。ああ、いけねえいけねえ、忘れておくれ」181
    ・自分を女として見ていない男にこそ、心が惹かれるー。182

  • 内容(ブックデータベースより)

    足袋職人の弥兵衛は、人も羨む隠居暮らしを送っていた。店は息子に譲ったが、職人としての腕は健在。七日に一度訪ねてくる息子家族との夕餉や、可愛い盛りの孫との遊びを楽しんでいた。だが、最愛の娘の久々の訪問が彼の心を乱してしまう。一体何が? お夏は弥兵衛の胸の内に溜まった灰汁を取り去ることができるのか? 大人気シリーズ第七弾。

    令和6年1月27日~28日

  • 202306/いつもの感じで楽しめる。

  • 収録作品:杯事 明日の夕餉 白飴 年取りそば

  •  岡本さとるさんの作品にはずれなしです。「明日の夕餉」、居酒屋お夏春夏秋冬シリーズ№7、2023.6発行。杯事、明日の夕餉、白飴、年取りそば の4話、どれも素晴らしいです。特に、杯事と白飴がお気に入りです(^-^)

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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