- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344840935
感想・レビュー・書評
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綾斗は施設育ちで「普通」を知らないから「普通」が分からない、そう思い込んでいる真面目な大学生で何かあるごとに自分が「普通」を知らないからだと自責の念に駆られるのが痛々しい。
都倉は離婚してシングルファーザーで周囲の反対を押し切り保育園児を育てている脳神経外科医。そんなふたりが4歳の都倉の息子を縁に少しづつ距離を縮めていく。
淡々と胸に染み入るようなお話でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼あらすじ
「人が暮らす家」を作りたくて建築を志したのに、施設育ちの自分は家庭を知らない。壁にぶつかっていた大学生の綾斗が出会ったのは、夜も更け、大急ぎで息子を保育園へ迎えに来たスーツ姿のお父さんだった。仲のいい父子に導かれるようにして、綾斗はその保育園で就業体験をさせてもらうことに。「あや先生」としてあのときのお父さん・都倉と再会、激務の傍らひとり懸命に息子の凜を育てる彼を、誰よりいとしく思うようになり……?
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眼鏡属性が無いので普段は眼鏡キャラが出て来る作品は殆ど読まないのですが、前回読んだ「黄金のひとふれ」がとても良かったので期待を込めて購入しました。
取り立てて派手な事が起こる訳ではないのですが、表紙のイメージ通りの優しくて心がほっこりするような温かみのあるお話で、読んでいて心地良さを感じる作者さんらしい作品でした。
ただ、比較的早い段階で二人とも惹かれ合うので、その辺はもう少しゆっくりめに進めても良かったかもしれません。
特に攻めについては、受けに惹かれる理由が分かるような分からないような、ちょっとふわってした感じなので、その辺がもう少し分かりやすければより説得力のある作品になったんじゃないかと思います。
因みに今回は子育てBLという事で攻めの子供(凛)を中心にお話が回るのですが、この凛くん、まだ4歳なのにイラストだと小学生にしか見えなくて少し困りました(笑)
しかも割と内向的な性格な筈なのに、イラストだとやんちゃな男の子にしか見えない…。個人的には髪はストレートでもう少しふくふくした幼い感じの見た目なんだけどなぁ…と思いました(^^;)
とはいえ引っ掛かるとまではいかなかったので最後まで楽しく飲めましたし、あまあま、ほのぼの系のお話が好きな自分にはまさにうってつけの作品でした。
エロ要素はあまりありませんが、読後感も良く、途中でウルッと来るようなシーンもあるので優しい雰囲気のお話が好きな方はおそらく楽しめるんじゃないかな、と思います。
何より私は作者さんの書く文章がとても好きだと、この作品を読んで改めて思いました。
好きな小説は沢山挙げる事が出来ますが、好きな文章というのはなかなか挙げる事が出来ません。それだけ心の琴線に触れるような文章に出逢える機会が少ないという事なのですが…。
作者さんの文章は、心にじんわりと沁みて、読んでいて優しい気持ちになれるんですよね。
とても心地よい文章で、ずっと読んでいたいいくらいでした。
特典小冊子の内容も面白く、眼鏡属性が無くても十分楽しめるお話だったので満足です。読んで良かったと思いました(*^^*) -
施設育ちで、両親どころか祖父母も知らずに育った綾斗。普通の家庭ということが分からず、建築を学んでいても家族というのが分からず、人の気配がないと言われ落ち込む。
偶然見かけた父子の姿に天啓を受け、子供に焦点を合わせた建築を目指すことに。
その一環として、保育園でインターシップを受け、子供の理解と共に、例の父子と関わりを持っていく。 -
中庭さんにしては受の不憫度がマイルド。なので全体的にやわらかく優しい話になっている。内気でおとなしい子供の描写が可愛い(挿絵はさすがに育ちすぎ)。健気で幼気、こういうの上手いなー。